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【注目トピックス 経済総合】【フィスコ・コラム】為替介入は政治力次第

2016年5月8日 12:40

米財務省が半年ごとに議会に提出する「為替報告書」で日本など5カ国を「為替監視対象国」とし、ドル・円に関しては「秩序立っている」と指摘したことで、円高が多少進んでも日本の通貨当局による為替介入を行うことは難しくなったと思われます。日本は「急激な円高は好ましくない」「注意深く見守る」とのお決まりの口先介入でいつまで凌げるでしょうか。

ドル・円は年初の120円26銭からから足元107円付近まで、4カ月あまりで約13円、15%も下落しています。このペースで円高が進むと、早ければ6月中にも節目の100円を割り込む可能性があります。第2次安倍晋三内閣が発足して間もない2013年春先以来の水準に逆戻りすることになります。これだけ急激な円高が進んでいるのですから、「秩序立った」動きであるとは思えませんが、日本の閣僚や日銀総裁は懸念を表明するだけです。まるで親会社から理不尽な要求を突き付けられた子会社の役員のように見えます。

しかし、日本はかつて年間30兆円に達する史上最大規模の円売り介入を実施したこともありました。日経平均株価は2003年4月に一時7600円付近まで下落し、政局は一気に流動化。しかし、当時の小泉政権は秋の総選挙で再び信認を得ると、「これでもか」と介入規模を拡大し、とうとう乗り切りました。2003年4月から2004年3月までの1年間で介入金額は30兆円を超えていました。

これだけの介入ができたのは、当時米国がイラク戦争に伴い国際社会から孤立する可能性が高まるなか、その是非は別として日本が真っ先に支持を打ち出したことと無関係ではないでしょう。国内の反対意見に配慮した英国からの要請を受けて日本が支持表明を急いだことや、介入資金が米国債の購入に充てられたため米金利の上昇が抑えられる効果がありました。そうした背景はあったにせよ、空前の為替介入を米国が「黙認」したのは、小泉−ブッシュ時代の日米関係において日本が米国に「貸し」を作ったことが側面にあると考えます。

現在の日米関係はどうでしょうか。軍事費を削減したいオバマ政権の意向を受け入れ、安倍首相は安保法案の成立に心血を注ぎました。その「見返り」は、日本の首相として初の米国議会演説という安倍首相の個人的な野望を満たしただけだったのでしょうか。

訪問国や経済支援ばかりに関心が向かいがちですが、オーストラリアの次期潜水艦開発での落選を含め、このところの安倍外交には綻びが目立ちます。少なくとも、「為替監視対象国」とされることは、これまでの日米関係では考えられなかったはずです。

為替政策は安全保障と並ぶ国家の意思であり、慎重さが求められるのは理解できますが、経済の生命線を脅かす市場の投機的な動きは抑え込む必要があります。今後も、ドル買い材料がなくなる局面では仕掛け的な円買いが見込まれます。このままだと安倍首相が最も恐れる株価の下落に拍車がかかるため、7月に行われる参院選での自民圧勝シナリオを投資家は見直さなければならないでしょう。

<MT>

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