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【注目トピックス 日本株】日本調剤 Research Memo(7):国の推進する施策を自社の成長エンジンに転化することが可能

2016年6月7日 16:11

■日本調剤の成長戦略と投資の視点

(3)日本調剤<3341>の対応状況

a)概要
「患者のための薬局ビジョン」とそれを受けた2016年度の調剤報酬改定は、調剤薬局業界全体に対して短期的にも中長期的にも大きな影響を与えるものと弊社では予想している。そうしたなかで同社は、短期的な業績インパクトを限定的なものに抑制して収益成長を維持し、中長期的には国の推進する施策を自社の成長エンジンに転化させていくことが可能であると弊社では考えている。

弊社がそう考える理由は、国が現在進めている施策を、同社が先取りして遂行してきた実績があるからだ。

一例として、国が医療費削減の中心的施策として行ってきたジェネリック医薬品の推進策がある。同社は、調剤薬局事業においてジェネリック医薬品使用率が2016年3月期時点で79.0%を達成しており、国が目標とする80%の達成を早期に実現する見通しが立った状態だ。また、2005年には子会社として日本ジェネリックを設立し、ジェネリック医薬品の製造・販売に進出した。国は入院患者に対するジェネリック医薬品使用も推進しており持続的な市場拡大が期待出来る分野だ。医薬品製造販売事業部門は2013年3月期に黒字転換を果たした後は順調に利益成長が続いている状況にある。

b)“かかりつけ薬局”化の推進
今後、業界全体の中心的テーマになってくるとみられるのは“かかりつけ薬局・薬剤師”への対応だ。同社はこの点についてもすでにアクションを起こしている。2015年9月から「かかりつけ薬局キャンペーン」として、「かかりつけ薬局宣言」のテレビCMを行っているほか、HP上でかかりつけ薬局のメリットを説明するスペシャルコンテンツを公開中だ。「かかりつけ薬局」の公的な定義はなく、前出の「かかりつけ薬剤師指導料」の加算とも直接的には対応しない。同社自身は、店舗の体制整備や薬剤師の質向上といったインフラ的要素も交えながら、“患者との強いリレーションシップを築く体制ができている店舗”をかかりつけ薬局と位置付けている。

同社がかかりつけ薬局化推進に注力するのは、その延長線上に国が進めている「地域包括ケアシステム」の概念があり、在宅医療の中でかかりつけ薬局が期待されているためだ。在宅医療とは、従来は病院で一元的に提供されていた医療サービスが、地域の個々の医療機関で役割分担をされて患者の自宅において提供される状況、ということができる。具体的には医師は訪問診療を、看護師は訪問看護を、理学療法士は訪問リハビリを、という具合だ。こうした役割分担の輪の中で、薬局・薬剤師には訪問薬剤指導を行うことが期待されている。

同社はこの流れを見据えて在宅医療対応実績を積み上げて来ている。在宅患者に対する適切な薬学的管理・指導の実施は、2016年度改定後も基準調剤加算の算定の施設基準の1つとなっており、また、介護保険報酬として居宅療養管理指導料を受け取ることができる。また、かかりつけ薬剤師指導料算定のためには患者の同意書が必要となるため、薬剤師の業務が“対人業務”の性質を一層強く帯びることになる。その関係強化のためにも在宅医療対応はさらに重要性を増してくると弊社では考えている。

c)業界再編への対応
長期的には、業界再編が同社の成長戦略上、重要テーマとなってくるだろう。かかりつけ薬局化や在宅医療対応などの高機能薬局化は、薬剤師の質的向上のみならず人的増強のニーズも引き起こし、それが個人経営の薬局や中小薬局チェーンの淘汰へとつながってくると考えられるからだ。

同社を含む業界大手各社は、言うまでもなくこの流れを見通して、それぞれに対応を進めている。基本的には同社のようなトップクラスの大手調剤薬局チェーンが受け皿の役割を果たしていくものと弊社では考えている。業界再編に関して、同社は店舗網の拡大よりも店舗の質の向上を優先させることで再編の波を乗り切る考えのようだ。調剤報酬改定は既存店売上にとっては減収要因として働くが、加算や減算回避の策も規定されているため、それらを着実に実行して改定のマイナス影響を吸収していくことが店舗の収益力を高めることになるとの期待が働いていると思われる。

こうした同社の基本方針には十分説得力があると弊社では考えている。一般に、調剤薬局の収入は処方せん単価と処方せん枚数(客数)の積で求められる。そして処方せん単価は技術料(調剤基本料、各種加算、調剤料、薬学管理料などの合計)と薬剤料から成り、収入増のために薬局の自助努力が及ぶのは主として技術料と客数の2項目である。同社が行っていることはこうした調剤薬局の収入構造に即したものであるということが、同社の施策を評価する理由だ。

店舗の収益力を測定する最適指標として、弊社では1店舗当たり売上高を考えている。前述の収入内訳のうち技術料はそのまま粗利益となり、薬剤料はその一定割合(約10%)が粗利益になるという構造であるため、売上高を確保することが何より利益確保につながるためだ。同社の2016年3月期のそれは368百万円で、大手調剤薬局チェーンの中でトップを維持したものとみられる。同社の経営の基本方針は順調に進捗していると評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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