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【注目トピックス 日本株】アジア投資 Research Memo(1):投資損失の一巡と海外ファンドの収益寄与により黒字転換を達成

2016年6月24日 8:01

日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、主力のベンチャー投資のほか、グロース投資やメガソーラー事業投資などの新規投資分野にも注力している。1981年に経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業や中堅・中小企業等への投資を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は39,335百万円(17ファンド)、同社の自己資金及び運用ファンドによる投資残高は18,783百万円となっている(2016年3月期末現在)。

経済情勢や株式市場等の影響を受けやすい事業特性から業績は不安定な状況で推移してきたが、有利子負債の返済やコスト削減に取り組み、財務体質の改善に一定のめどが立ってきた。また、安定収益の拡大を目的として参入したメガソーラー事業投資も順調に立ち上がっている。2015年12月には香港の大手投資グループFirst Eastern グループとの資本業務提携と成長資金調達のための新株予約権の発行も行っており、同社は新たな成長フェーズに入るものとみられる。

2016年3月期の業績(ファンド連結基準)※は、営業収益が前期比33.7%減の4,596百万円と減収となったものの、総合的な収益力を示す親会社株主に帰属する当期純利益は707百万円(前期は731百万円の損失)と黒字転換を達成した。売却案件の小型化により減収となったものの、投資損失の一巡や海外ファンドの収益寄与により大幅な損益改善となった。また、ファンド運用残高は前期末比10.3%減の39,335百万円と縮小傾向が続いているものの、3年振りに2つのファンド(合計で5,201百万円)を新設しており、中身の入れ替えを伴う運用資産の拡大に向けて最初の一歩を踏み出したと言える。

※なお、同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。

2016年3月期の業績(従来連結基準)は、営業収益が前期比10.8%減の4,043百万円と減収となったものの、親会社株主に帰属する当期利益は597百万円(前期は850百万円の損失)と、営業利益以下のすべての利益段階で大幅な増益、及び黒字転換を実現している。

2017年3月期の業績予想について同社は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。ただ、今期については、ある一定の前提を元に策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示しており、営業収益を前期比26.1%増の5,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同37.2%減の375百万円と見込んでいる。成功報酬などの不確実性の高い収益を織り込んでいないことから親会社株主に帰属する当期純利益は減益の格好となるが、2期連続での黒字を確保する見通しである。弊社でも、同社の業績見込値の前提には合理性があることから、投資案件の売却が計画どおりに進捗すれば十分に実現可能であるとみている。

同社は、今後の事業計画のテーマとして、(1)国内投資実行、(2)First Easternとの提携推進、(3)再生可能エネルギー投資拡大、(4)既存ポートフォリオの価値向上(VA)の4つを掲げており、事業拡大に向けて舵を切る方針である。特に、2018年3月期までに100MW超の売電を開始するとともに、2020年3月期までにはファンド運用残高を増加させる計画であり、財務基盤の健全性や安定収益を確保しつつ、優良資産の積み上げを図っていく構えである。

弊社では、これまでの課題であった財務体質の改善に一定のめどが立ったことや安定収益の確保を目的として取り組んできたメガソーラー事業も順調に進展していることから、これからの運用資産拡大に向けた動きに注目している。特に、豊富な実績や幅広いネットワークをもつFirst Easternグループとの連携がカギを握るものとみており、今後の動向をフォローしていきたい。

また、メガソーラー事業については、上場インフラファンド市場の開設など、計画当初と比べて外部環境が大きく変化していることを受け、投資案件の一部売却も視野に入れる方針へと見直しを行っているが、投資案件の含み益の拡大や、それを実現する機会が増えていることは同社にとって大きなアドバンテージになるものとみている。

■Check Point
・2016年3月期の投資先IPO実績は国内6社、海外2社に
・損失処理の一巡と好調な海外ファンドの収益寄与により最終黒字化を実現
・従来連結基準では増収・2期連続の黒字を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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