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【注目トピックス 経済総合】【フィスコ・コラム】人民元はどこまで下げるか

2016年8月14日 7:58

昨年夏の「中国ショック」を覚えているでしょうか。中国の通貨安誘導により、人民元は1ドル=6.2元付近から4%超下落。中国経済は通貨安が必要なほど悪化しているとの憶測を呼び、国際金融市場を混乱に陥れました。中国人民銀行は「国内外の経済情勢を踏まえると、人民元が持続的に下落する根拠はない」と強弁していましたが、この1年間で8%下落しています。人民元の国際化に向けたこの1年を振り返るとともに、今後の人民元の値動きを考えてみましょう。


「中国ショック」は、6月15日に上海総合株価指数が5178.19ポイントの高値を付けた後の急落がきっかけでした。14営業日で実に30%程度もの大きな下げを記録。この時は、中国政府や金融当局は投資家に対し株式の売却に一定の規制をかけるなど、株安に対応していました。が、それも束の間、8月11日から3日連続で人民元の対ドル基準値を切り下げました。これで中国経済の悪化への懸念が強まり、欧米やアジアの株式市場では売りが売りを呼ぶ世界同時株安につながりました。


中国政府や当局の介入や利下げなどにより、混乱はいったん収束しました。しかし、2016年に入ると、年初から再び対ドル基準値を切り下げ、5営業日で6.50元から6.60元付近まで下落。国際金融市場に再び混乱が広がりました。その後、春先にかけて人民元高に振れたほか、上海総合株価指数が2600ポイント台まで下落し、大底を打ったことで中国発の混乱は鎮静化に向かいました。それ以降、中国の経済指標は低調にもかかわらず「織り込み済み」とされ、市場の反応も限定的になりました。


人民元はどこまで下落するのか——中国の当局者でないのでわかりませんが、人民元の国際化のスケジュールを考えると、足元では1つの節目を迎えているように思えます。昨年8月時点では、6.2元だった人民元について、中国当局は輸出業者を支援するために最大10%の切り下げが必要と考えていたフシがあります。6.2元を10%切り下げると6.8元です。一方、市場関係者は6.7元が元安政策の「出口」とみていました。年初の混乱後の元高を経て4月以降は再び元安方向に振れており、7月18日には約6年ぶりの安値となる6.7030元を付け、ちょうどそのぐらいの水準に到達しています。


この1年間の人民元の値動きを追ってみると、ある法則が浮かび上がってきます。大体3カ月かけて4-5%元安にした後は次の3カ月で2-3%元高方向に戻し、またその水準から3カ月かけて4-5%元安にした後、さらに次の3カ月で2-3%元高方向に戻すというパターンです。このペースにより、6.2元だった相場は1年かけて6.7元まで元安が進みました。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ時期の後ずれや英国の欧州連合(EU)離脱問題などが多少は影響した可能性もありますが、チャートからはその痕跡は見つけられません。


この法則に従えば、10月ぐらいには6.55元まで元高方向に戻し、来年にかけて6.9元まで元安が進むと推測できます。ただ、10月は、国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)採用に伴う組み入れ開始のタイミングです。管理フロート制から変動相場制に移行するのであれば、人民元が各国通貨と自由に取引できる「ハードカレンシー」化は不可避です。今後はオフショア市場とオンショア市場の一本化や交換性を高めるなどの人民元の改革が見込まれ、各国の人民元保有ニーズが高まることを考慮すれば、元高に振れやすくなります。10月以降に元安基調が続くとしても、ペースは緩やかになるのではないでしょうか。

(吉池 威)

<MT>

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