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【注目トピックス 外国株】【フィスコ・コラム】:キューバは緩やかなペソ安か

2016年8月27日 20:15

以前カナダ・バンクーバーに滞在していたころ、キューバを頻繁に訪れているカナダ人と知り合う機会がありました。現地で仕入れたラム酒や葉巻を振る舞われ、キューバの魅力についてよく聞かされました。「住みやすいので将来は移住したい」と話していたのを記憶しています。日本からの距離を考えれば、キューバはかなり縁遠い国で関心もなかったのですが、彼の話を聞いているうちにいつか行ってみたい国の1つになりました。


1961年に国交を断絶した米国とキューバが昨年7月、国交正常化を電撃的に発表し、関係改善に向けて進み始めました。これを機に、日本がこれまでキューバに行ってきた農業関連を中心とした経済援助も加速する見通しで、安倍晋三首相は来月、キューバを初めて訪問する予定と伝えられています。キューバはインフラの老朽化や食料自給率の低下をはじめ米国の経済封鎖による影響が随所にみられるものの、将来的に優れた投資先になる潜在性は高く、今後の成長が期待されています。


米国とキューバの関係を振り返ると、約120年前に宗主国スペインの圧政に強いられていたキューバに米国が接近し、独立を支援したのをきっかけに、多くの米国企業がキューバに進出するようになりました。ただ、富の多くは米国に吸い上げられてしまい、国民生活は窮乏化します。1952年の政変で発足したバティスタ政権もこうした状況を変えることはできませんでした。その後、米国企業排斥などを訴えて支持を広げたフィデル・カストロ(現在のラウル・カストロ国家評議会議長の兄)が1959年に革命政権を樹立(キューバ革命)。革命運動を支援したソ連との関係を強化し、米国との国交断絶に至りました。

それから半世紀あまりの間、ソ連の崩壊など世界の政治力学は大きく変化します。カナダやメキシコ、ブラジルがキューバと良好な経済関係を構築していたことで、ここ数年で米国内にもキューバとの国交回復を望む声が出始め、中南米諸国との関係を重視してきたオバマ大統領は国交正常化に動きました。一方で、キューバは最近5年間の経済成長率は平均で3%に満たないなど、低迷が続いています。ロシアなど関係国の資源安を背景とした経済の減速が、キューバを米国との国交正常化に導いたと言ってもいいでしょう。


主要輸出品であるニッケルの収入が落ち込むなか、観光産業を柱に経済の立て直しを急いでいます。キューバへの訪問者数は2015年に350万人あまりに達しました。人口が1140万人ですから、相当なインバウンドです。国別では、やはりカナダからの渡航者が130万人と突出しています。米国との関係改善はカナダがお膳立てしたことでも知られるように、カナダにおけるキューバ人気は絶大のようです。米国からの渡航者数は2位のドイツと並ぶ18万人程度ながら前年比では2-3割増となっており、今後渡航の自由化が進めばさらに大幅な増加が見込まれます。


一方、キューバの通貨制度は、渡航者には紛らわしいものです。米国との国交断絶により、それまで流通していたドルが使用できなくなり、キューバ国民向けの「人民ペソ」と対外貿易などで使う「兌換ペソ」の二重通貨制度となりました。レートは1ドル=1兌換ペソ=24人民ペソなので、足元では1兌換ペソ=約101円の価値でしょうか。国際通貨基金(IMF)にキューバが今後加盟することになれば、経済開放の進展とともに二重通貨制度も廃止され、「新キューバペソ」として緩やかなペソ安に向かうと予想します。

(吉池 威)

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