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森下安道伝 妻や愛人を次々と社長に据えた“マムシ式”家族経営

2021年12月4日 19:00 週刊ポスト

サンポール事件で森下は有罪判決を受けるも、すぐに復活を遂げる(1975年撮影/時事通信フォト)
サンポール事件で森下は有罪判決を受けるも、すぐに復活を遂げる(1975年撮影/時事通信フォト)

【連載『バブルの王様』第5回】貸付総額1兆円を超える大手ノンバンク「アイチ」を率いた森下安道は、取り立ての厳しさから「マムシ」と怖れられる一方、妻や家族をビジネスに関わらせ重用する二面性があった。『バブルの王様 アイチ森下安道伝』の5回目、ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。(文中敬称略)。

 * * *
 終戦の明くる1946(昭和21)年6月15日、塚本幸一はビルマから復員したその足で京都に婦人洋装装身具卸「和江商事」を創業した。やがて東京に瀟洒なワコール新宿ビルを建て、高級下着のブランドイメージを築く。
 
 1973年2月、その新宿通りのワコールビルの向かいにモダンなビルが出現した。全面ガラス張りで、むしろワコール新宿ビルより目立つ。通りを歩く人々は、8階建てビルの屋上にある巨大な「AICHI」の看板を見上げた。アイチの本社ビルだ。が、何をしている会社なのかクビを捻った。ここが日本最大の街金融業の拠点だと人々の口の端にのぼったのは、前号で紹介したトイレ洗剤メーカー「サンポール」の事件以降である。
 
 森下安道が本社を九段から四谷に移転したのは、まだ40歳という若さだった。本社ビル完成後、意気揚々と週刊サンケイのインタビューに答えている。
 
〈「私どもは手形の売買業者ですが、金を貸してやるんだ、というのではなく、私どものお金という商品を、お客さまに買っていただくのだ、ということなのです。つまり、お客さまあっての企業ですから、私どもの利益が伸びてきましたら、そのつど、決算のたびごとに金利を下げて、お客さまに喜んでいただいている、いわば、共存共栄をモットーにして歩んできた」〉(1973年3月30日号)
 
 インタビューで森下は、やたらこれまでの貸出金利を下げる、と強調した。当時の貸出し上限法定金利である日歩30銭(年利109.5%)を意識し、今も金利はそれよりずっと低く設定しているとも述べている。それは、捜査当局の目を気にしていたからにほかならない。

 森下は週刊サンケイのインタビューから2年後の1975年、サンポール事件で強要罪に問われた。翌1976年には懲役1年、執行猶予2年の有罪判決を受けている。
 
 くだんのインタビューで森下は、1980年にアイチの社長から退く、とも語っている。それからやや遅れ、登記上は1986年9月に代表取締役を降りている。この間、森下は実父の伊作にアイチ社長の肩書を与え、社員たちは森下本人を会長と呼ぶようになった。インタビューの終わりにこの先の抱負を問われ、こう風呂敷を広げた。
 
〈「四十七(1972)年度の年間取扱高が百八十億円ですが、これを五十五年には千五百億円にもっていきたいと思っています」〉
 
 サンポール事件で、法定金利を超える高利の手形割引業は躓いた。しかし、すぐに復活した。

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