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【注目トピックス 日本株】学研HD Research Memo(9):DX戦略を推進する子会社を新設し、新規サービス創出や収益性向上を加速する方針

2022年1月11日 16:09

■今後の見通し

2. 中期経営計画「Gakken2023」
(1) 経営方針
学研ホールディングス<9470>は2021年9月期から中期経営計画「Gakken2023」をスタートさせている。教育分野と医療福祉分野を両輪として、DXの推進とグローバル展開も進めながら「揺るぎない成長基盤の確立」を図り、持続的な企業価値の向上を目指していく方針だ。

コロナ禍によって社会様式や生活様式が急速に変化するなか、この3年間で取り組むべき課題として、1)コロナ禍による「新常態」への適応、2)デジタル・トランスフォーメーション、3)国内成熟市場への偏重、の3点を掲げ、こうした課題に対して、1)オープン・イノベーション(協創)の積極活用、2)事業ポートフォリオの最適化(選択・成長)、3)グローバル展開による新市場の開拓等に取り組み、2030年までの長期ビジョンを実現するための成長基盤を構築していく。また、これら目標を達成していくための戦略領域への投資額(M&A含む)として、2021年9月期から2025年9月期までの5年間で500億円を予定している。内訳は、DX戦略で250億円、幼児・グローバル事業で250億円を目安としている。

(2) 経営数値目標
2023年9月期の経営数値目標は、売上高165,000百万円、営業利益7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,800百万円、ROE8.0%以上、配当性向30.0%以上とした。また、事業セグメント別では教育分野で売上高82,000百万円、営業利益4,500百万円、医療福祉分野で売上高76,000百万円、営業利益3,600百万円を目標としている。

前述のとおり1年目は計画を上回る順調な滑り出しを見せた。事業セグメント別では、医療福祉分野がほぼ計画どおりの進捗だったのに対して、事業構造改革の効果等により教育分野で想定以上に収益性が改善した。このため、2022年9月期の教育分野の営業利益計画は中期計画最終年度の目標値を上回る格好となっている。今後、構造改革に加えてDX戦略の効果が顕在化してくれば、2023年9月期の教育分野の営業利益は当初目標を大きく上回る可能性もあると弊社では見ている。

一方、医療福祉分野についてはサ高住やグループホーム等の新拠点開設が計画どおりに進めば※、超高齢化社会の到来で需要は十分に見込めることから売上目標の達成は可能と弊社では見ている。課題は収益性の向上にあり、離職率の動向がカギを握ると見られる。特に介護スタッフは労働に対して給与水準の低いことが離職率の高さや、慢性的な人材不足の一因と見られている。現在取り組んでいる人材採用・育成システムをさらに強化していくことで離職率の低減を図り、収益性向上につなげていく考えだ。政府で介護士の処遇改善に向けた施策を今後導入する方針を表明しており、人材不足の緩和につながる可能性がある。その他についてはコロナ禍の長期化によりグローバル事業の取り組みが遅れているものの、アジアの新興国では教育熱が高まっており、コロナ禍が収束すれば積極的に展開していく予定となっている。

※2023年9月期でサ高住等を221事業所(2021年9月期169事業所)、グループホーム312棟(同281棟)を計画している。

(3) 成長戦略の進捗状況
a) DX戦略
DX戦略として、同社グループのサービスを利用している会員を「Gakken ID」に統合していくことで、顧客の囲い込みを行い、幼児から高齢者まで一貫して「学研」のサービスを提供する環境を整備し顧客のLTV最大化を実現していく方針だ。従来は、グループ各社がそれぞれで顧客管理やプロモーション施策を行っており、グループシナジーが限定的なものにとどまっていた。「Gakken ID」のプラットフォームに統合することでサービスの登録・決済や顧客管理の一元化が図られ、顧客の利便性が向上する。また、プラットフォームを通じて顧客体験(UX)向上や戦略的プロモーションを行うことで、グループ内の他のサービスの利用促進を図ることも可能となり、顧客のLTV向上並びに顧客獲得コストの低減につながるものと予想される。「Gakken ID」の登録会員数は2021年3月時点の20万人から同年9月には36万人と順調に拡大している。同社グループのデジタル会員数は100万人以上となっていることから、当面は100万人の会員登録を目指していく。

また、Ed-Techに代表される新規ビジネスの創出等を目的とした新会社、Gakken LEAPを2021年12月に設立した。新規サービスの開発などDX戦略を加速していくためには、新たな報酬体系にして優秀なDX人材を集める必要があるほか、Ed-Tech領域のベンチャー企業などとの連携、協業、同業者とのエコシステムの構築を機動的に行うためにDX戦略を担う専門の子会社が必要と判断した。今後は同社が核となってグループのコンテンツ、チャネルをフル活用し、DX戦略を推進していくことになる。2025年までの5年間で資本提携なども含めて250億円の投資を行う予定だ。M&Aの実績として、2021年9月期にリカレント教育領域のベンチャー企業2社※をグループ化している。

※資格総合サイト「資格Times」、教育総合サイト「学びTimes」の運営等を行う(株)ベンド、中国語学習のオンラインプラットフォームの提供と中国語教師とのマッチングサービスを行う(株)ドントコイを子会社化した。

b) 幼児戦略
同社は幼児領域の基盤強化を目的に、保育園等の子育て支援施設で業界トップのJPホールディングスと資本業務提携を実施した。資本業務提携の狙いは、子育て支援事業で高い収益性を実現する経営ノウハウを吸収することに加えて、「学研教室」の生徒数を拡大するため、幼児段階から顧客囲い込みを推進するなどシナジー戦略を推進していくことにある。

資本業務提携後の具体的な取り組みとして、同社で子育て支援事業の本部組織を変更し、安全管理強化の仕組みの構築に取り組んでいるほか、学研アカデミーの保育士養成コースにJPホールディングスの保育士の受け入れを行い、両社で保育品質の向上に取り組んでいる。

また、顧客の囲い込み(卒園児の学研教室送客)戦略としては、JPホールディングスの運営施設において「学研教室」の認知度向上施策を実施しているほか、園児保護者と継続的な接点創出に取り組んでいる。また、幼児向け教育コンテンツ・教材の拡販を進めるため幼児教育研修を実施し、幼児教室の導入園数をさらに拡大していく計画となっている。

c) グローバル戦略
同社グループの海外展開としては、学研教室や塾、介護施設の運営等をアジア地域で展開しており、2021年9月期の売上実績で約45億円、構成比率で約3%の水準となっている。同社はこれら既存事業のオーガニックな成長に加えて、新規事業を展開していくことで、2030年9月期に海外売上比率を30%まで引き上げていく長期ビジョンを掲げている。新規事業としては、同社が得意とする幼児教育を東南アジアで、非認知教育を中国市場で展開していくほか、アイ・シー・ネットのネットワークを活用したODAシナジーによる事業創造(中東地域でのSTEAM教育等)などを想定している。中国市場では学習塾が国策によって事実上、公営化されているが、非認知教育となる幼児教育の分野は規制対象外となっており、展開余地があると見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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