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【注目トピックス 日本株】新晃工業 Research Memo(5):足元端境期の業界だが、中期的には回復見込み

2022年1月13日 16:05

■新晃工業<6458>の中期経営計画

1. 事業環境認識
2021年空調機器の業界環境は、東京オリンピック・パラリンピック特需後の端境期にコロナ禍の影響が重なり、更新物件の延期など特に短期的な案件が落ち込んでいる。また、長期的には、人口減少などにより新規のビル建築が減少していくと見られている。今後はテレワークの普及による影響が及ぶ可能性も考えられる。足元の環境はややネガティブな見方となっているが、一方で東京や大阪の大規模再開発など大型新築案件が動き出しており、このため2023年頃には新築物件の回復が見込まれる。また、2025年頃には、市場を退出した大手メーカー分を含め、納入後20~30年が経過したAHUの更新需要を中心にサービス事業の拡大が予想される。海外では、アジア最大市場である中国でハイテク分野の投資が加速し、製造業を中心に内需の拡大が見込まれる。したがって業界環境は、2021年に一時的な端境期で悪化したものの、中期的に回復すると見込まれている。

2025年3月期営業利益75億円を目指す
2. 中期経営計画「move.2025」
こうした事業環境予測から、同社は中期的に既設工事につながる新築ビル向けAHUの受注などを拡大し、新設・既設両面でシェアと収益性を確保する方針である。特に既設工事では、手厚いサービスを強みとする新晃アトモスを強化することで、10年~20年後に既設の更新需要を収益の柱とする考えである。戦略スタンスは変わらないと思われるが、そのためには人口減少による新築ビルの着工減や人手不足による作業量のボトルネック、ノウハウの伝承といった中長期的な課題の解消も必要になってくる。そこで同社は、中期経営計画「move.2025」を策定した。SIMAプロジェクトによってデジタル化・自動化を進めることを前提に、中長期的な課題を解消しつつビジネスモデルのバージョンアップを図っていく。つまり、生産性を引き上げて高収益を維持するとともに、技術深耕と品質向上を進めて成長を狙う。数値目標として2025年3月期に売上高520億円、営業利益75億円を目指す。こうした戦略のバックボーンとして、同社は製品を通じた環境負荷低減や人材育成、ガバナンス強化といったESG経営を推進し、社会課題の解決にも貢献していく考えである。

中期経営計画達成のカギとなるSIMAプロジェクト
3. SIMAプロジェクト
中期経営計画のなかで最も重要な取り組みであり、計画達成の前提にもなっているのがSIMAプロジェクトである。SIMAプロジェクトは、2019年にスタートした、個別受注生産方式を次世代化して原価低減につなげるというプロジェクトで、2023年には増益貢献など一定以上の効果の発現が期待されている。同社はこれまで、営業力など強みと言える労働集約的なビジネスによって、オーダーメイド製品を製造し手厚いサービスを提供してきた。これは、同社が現在評価されるポイントでもあるが、中長期的には労働集約的なビジネスから脱却しなければ同社の収益力が低下する恐れがある。このため、営業・設計・積算・製造を一から再定義することで事業基盤を強化し、製品やサービスなど評価される要素を損なわずに将来的に高い収益力の確保を目指す、というのがSIMAプロジェクトの狙いである。

製造面では、BOM(Bill of Materials:部品表や部品構成表のこと)や3D CADなどを導入してAHUの設計から積算、製造までをデジタル化・自動化し、工程全体を一気通貫で連携するシステム基盤を構築する。SIMAプロジェクトで簡素化された作業に関しては、セル生産方式からライン生産方式へシフトしてデジタル設計・生産体制を有する新たな工場の実現につなげ、一層の生産能力の増強と効率化を図る。営業面では、製造面のバージョンアップを背景に、高精度の需要予測に基づく受注計画を策定し、体系化された営業手法・プロセスを通じて、図面・見積・納期に関する顧客の疑問にその場でリアルタイムに回答するなど、新たな営業スタイルを確立する。同社の需要予測は先行き2年後まで高精度に見通すことができ、既に営業ツールとして利用されている。このようにSIMAプロジェクトでは、営業・設計・積算・製造のすべての業務・作業において製販一体となった高効率の仕組みを標準化することを目指している。中長期的に進行するベテランの退社や人手不足にも対応できることから、同社にとってSIMAプロジェクトは社運を賭けたプロジェクトと言うことができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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