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バブルの王様 アイチ森下安道伝

アイチ森下安道伝 バブル期に銀行株の買い占めに動いた“街金の帝王”

2022年1月22日 19:00 週刊ポスト

 森下は夫人の豊子や3人の娘とともに、この大きな屋敷で暮らし始めた。のちに恵子夫人とのあいだに生まれた長男と4女は、森下が1991年10月に世田谷区岡本に建てた家に住んだ。こちらも3階建て延べ床面積471.18平米(143坪)の豪華な和風の家だ。先の水谷はその二つの自宅にもしばしば招かれた。こう言う。
 
「絵の好きな会長は、美術家のように自分で家をデザインしていました。田園調布の外塀にあるのも、会長が描いた絵です」
 
 水谷は、田園調布の豪邸の印象を次のように語る。

「あそこができた頃のお正月はすごかったですよ。アイチグループの幹部が全員集まるんです。広い大理石張りのロビーで皆がわいわい飲んでいると、会長が姿を現す。すると全員黙って一列に並び、『新年あけましておめでとうございます』と挨拶をするわけです。そのあと一人ずつ会長の前に進んでお年玉をもらう。『おまえのところは何人いたっけ?』と子供の数を聞きながら、会長が用意したお年玉袋を社員に手渡していました」

 お年玉の金額は子供1人あたり1万円、3人なら3万円だったという。田園調布の邸宅を新築したのが1980年6月だから、当時の貨幣価値からしてもかなりの高額といえる。水谷が相好を崩しながら話した。
 
「それも何十人もいる幹部社員全員に配るのです。私ももらいました。あの頃だと中学生で1000円、高校生で3000円のお年玉が相場でしたから、開けてみて1万円の新札が入っているから気前のよさにびっくり。私も会社をつくってそれを真似しようとしたけど、なかなかできませんでしたね」
 
 電設業者の水谷は森下から紹介を受け、武富士会長の武井保雄が1982年に杉並区高井戸に建設した自宅の電設工事を請け負ったという。

 森下をはじめ、マスコミが嫌みを込めて「帝王」と形容したバブル紳士たちは数多い。武富士の武井は「サラ金の帝王」だ。国鉄職員だった武井は、高利貸しの借金取りに追われながら、個人相手の小口金融を始めた。年齢は森下の2歳上の1930(昭和5)年1月生まれだが、事業を始めたのは森下から5年ほど遅れている。
 
 武井は1966年1月、板橋区蓮根に「富士商事」を立ち上げた。顧客は高島平のマンモス公団のサラリーマン家庭だ。いわゆる団地金融が大当たりし、武井は1974年12月に富士商事を武富士へと改組する。もっとも、すでに1970年代初頭に年商200億円近くに達し、銀行などの金融機関を除けば東京最大の資金量(元手)を誇る街金融業者に成長していたアイチに比べ、70年代初頭の武富士の資金量や貸付残高は4億円に満たなかった。

「武井さんとは、団地金融で何千万円の貸し付けをしていた時代から家族ぐるみの付き合いをしていました。ただ同じ金貸しでも、武富士とアイチでは資金量が段違いでしたから、森下会長が武井さんに金融道を手ほどきしたようなものです。それで武井さんの自宅を建てるときも、会長が武井さんをパリの家具屋に連れて行き、インテリアの手配までしていました。武井さんは注文した家具をキャンセルしたことがあって、会長がその違約金まで払っていました」
 
 水谷をはじめアイチの関係者はそう言い、武富士の元役員もこう話した。
 
「自宅の真正館を建てるときも、武井会長は森下さんの指示で洋館にして大理石張りの床にしたり、何かと相談していました。家の大理石を輸入するというので、森下さんといっしょにヨーロッパにしょっちゅう出かけていましたね」

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