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【注目トピックス 日本株】アップル Research Memo(3):中国事業撤退により、リスクを排除、財務安全性を回復

2016年10月3日 16:06

■グループ再編

(1)創業者の復帰

アップルインターナショナル<2788>の創業者で筆頭株主(所有株式比率32.1%)である久保和喜社長は、2007年から病気療養に入り、グループ経営の第一線を離れたが、健康を回復して2013年に会長兼社長として経営の最前線に復帰した。それ以降、グループの再編に取り組んだ。グループ再編の目的は、リスク要因の排除と、財務の安全性回復である。中国事業からの撤退により、中国に関連する為替リスク、市場リスク、カントリーリスクを排除した。また、子会社に対する債務保証を外し、財務の安全性を改善した。

(2)リーマンショック後に中国やマレーシア関連の特別損失を計上

地域別売上高では、中国(香港特別行政区を除く)が2007年12月期の17,529百万円から2009年12月期に27,194百万円へ拡大した。2008年9月のリーマンショック後に、日本は大幅な景気後退に見舞われたが、中国は4兆元(約56兆円)の景気刺激策を打った。さすがに2010年12月期から中国での売上高は減少傾向にあったが、2014年12月期には25,727百万円と売上を伸ばした。一方、アジアの売上高が急速に縮小し、2007年12月期の26,517百万円から2012年12月期には5,275百万円に減少した。中国事業からの撤退と同時に、アジアと日本を強化した。アジアの売上高は、2015年12月期に19,714百万円へ回復した。日本の売上高は、2007年12月期の9,531百万円から2012年12月期に2,854百万円へ減少し、2015年12月期に5,745百万円まで戻した。中国は、売上構成比でピーク時に66.3%を占めた。それが2015年12月期にまったくなくなったことから、かつて500億円を超えていた総売上高は、半分以下に縮小した。しかし、収益性を回復し、事業上のリスクを排除し、財務の安全性を高めた。

中国の事業は、金利負担が重くのしかかった。支払利息が営業利益を上回り、経常損失に陥る主因となった。リーマンショック後に事業環境が変化し、2009年12月期、2010年12月期、2013年12月期、2014年12月期に主に中国とマレーシアに関連する長期売掛金の処理及び貸倒引当金の繰入、海外子会社ののれん代の減損処理を実施し、度々大きな特別損失を計上した。2009年12月期に巨額となった特別損失(3,522百万円)の主要なものは、海外子会社のれん代の減損損失が905百万円、マレーシア債権の貸倒引当金繰入額が1,101百万円であった。2014年12月期は、連結営業利益589百万円に対し、営業外費用に支払利息762百万円と中国子会社及びマレーシア債権の貸倒引当金繰入額771百万円が計上され、経常損失に陥った。同期の特別損失(834百万円)は、子会社株式の売却損(310百万円)、中国子会社事業損失引当金(434百万円)を含んだ。

(3)リスクの高い中国関連子会社の株式を譲渡

同社は、子会社の所有比率を減少、次いで全株売却と段階を踏んで、グループ事業の選択と集中、バランスシートのスリム化を推し進めた。連結子会社数は、2009年12月期に28社あった。持分法適用会社も多い時で11社存在した。2016年12月末では、連結子会社数は8社に、持分法適用会社数も3社に減る見込みだ。

メルセデスベンツ車の販売に従事していたPRIME ON CORPORATION LIMITEDは、2015年1月より連結対象から持分法適用へ、さらに2016年3月に全株式を譲渡した。2016年1月に、日本の子会社であったアイ・エム自販の全株式を手放した。同子会社の借入金に対する同社債務保証(金額410百万円)も不要になった。一連のグループ再編はほぼ終了した。

(4)貸倒引当金繰入と売掛金の大幅減少と回復

2008年12月期末の流動資産のうち売掛金と未収金は10,859百万円に上ったが、2011年12月期末には2,459百万円へと大幅に縮小した。2009年12月期と2010年12月期に特別損失として、貸倒引当金繰入額をそれぞれ1,101百万円と414百万円計上したことから、翌2011年12月期末の売掛金減少に拍車をかけた。売上債権回転期間で見ると、2006年12月期は2.4ヶ月であったが、2011年12月期には0.6ヶ月まで縮小した。その後、日本及び中国事業の売上高は拡大基調に戻った。2015年12月期は、中国子会社の連結対象から持分法適用への異動があり、売上高は前期比37.5%減少したが、売上債権回転期間は前期の1.1ヶ月から1.6ヶ月に増えた。

(5)財務の安全性が改善

短期的な支払い能力を表す流動比率(=流動資産÷流動負債)は、2008年12月期末の179.3%から2014年12月期末に113.4%まで低下したが、2015年12月期末は161.2.%まで回復した。さらに、流動資産の中でより換金性の高い現預金や売掛金などの当座資産を使用した当座比率(=当座資産÷流動負債)は2008年12月期末の120.8%から2014年14月期末に78.4%へ下落したが、2015年12月期末には安全性が高いと言われる100%を超える123.3%に上昇した。また、長期支払能力を示す自己資本比率(=自己資本÷総資本)の推移は、同様な期間に44.9%から21.8%へ低下し、2015年12月期末に63.5%へ大幅に上昇した。2016年12期第2四半期では、財務の安全性がさらに大幅に向上した。

2014年12月期末の短期借入金11,735百万円のうち、中国関連が10,513百万円を占めており、資金繰り面で他の事業展開を圧迫する要因となっていた。社債の格付などで重視される指標であるD/Eレシオ(=有利子負債÷自己資本)は、2013年12月期末に2.85倍まで上昇した。2015年12月期末は中国関連の借入金がなくなったことから、有利子負債は前期末の11,957百万円から2,587百万円へ大きく減少し、D/Eレシオは1を大きく切る0.45倍へと急改善した。2016年12月期第2四半期は、有利子負債の圧縮をしたが、さらに短期借入金を返済し、長期借入金と入れ替えた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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