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バブルの王様 アイチ森下安道伝

バブルの王様・森下安道伝 「投資ジャーナル」中江滋樹の逃亡を手助け

2022年3月8日 19:00 週刊ポスト

「投資ジャーナル」代表・中江滋樹と森下安道氏の関係は(写真奥が中村。1985年6月。写真/共同通信社)
「投資ジャーナル」代表・中江滋樹と森下安道氏の関係は(写真奥が中村。1985年6月。写真/共同通信社)

【連載『バブルの王様』第二部第2回】貸付総額1兆円超のノンバンク・アイチを率いてバブルの頂点に君臨した森下安道。その存在は、時代の寵児となった“バブル紳士”たちにとっても別格だった。『バブルの王様 アイチ森下安道伝』の第二部第2回、ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。(文中敬称略)。

 * * *
 東京と大阪の地方検察庁に置かれた特別捜査部は、長らく政財界の大型疑獄事件を摘発する最強の捜査機関と評されてきた。その東京地検特捜部が、街金融業者の森下安道を捜査のターゲットに据えた。いわば偽装増資というけちな経済犯に過ぎない。にもかかわらず標的にしたのは、捜査当局にとって、この時期の森下がそれほど目立った存在だったというほかない。
 
 貸金業だけでなく、国内外問わず十指にあまるゴルフ場経営で勇名を轟かせた森下は、1980年代に入るとサラリーマン金融に乗り出した。1982年5月、東京・四谷のアイチ本社ビルの中に「ローンズ・アルファ」を設立する。武井保雄が率いた武富士の成功を意識しながら、個人の小口金融分野の将来性を見込んだのであろう。
 
 もっともそんな矢先、サラ金各社の強引な融資取り立てが、大きな社会問題に発展した。国会でもサラ金問題が取り上げられた結果、非難が殺到し、多くの業者がピンチに陥った。借り手はいても融資の元手の調達に窮し、倒産が相次ぐようになる。

 その口火を切ったのが準大手「ヤタガイ・クレジット」だった。1984年7月、東京地裁に和議を申請したヤタガイは、団地金融の元祖として武富士と比肩されてきた古い業者だ。和議は表向き会社の再建を目指す。が、手形の不渡りにより、事実上、ヤタガイの倒産処理がおこなわれた。そこから消費者金融界の第一次再編が起きる。
 
 このヤタガイの債権整理委員会の代表として名乗りを挙げた人物、それが「コーリン産業」社長の小谷光浩である。改めて説明するまでもなく、1980年代後半から1990年代にかけ、仕手集団「光進グループ」を率いた伝説の相場師だ。またヤタガイの大口債権者として、大物地上げ屋と名の轟いた名古屋「今池ビルヂング」代表の加藤正見も登場した。
 
 そして実は、この小谷や加藤の裏で、アイチの森下が倒産処理に加わっていた。二人とも森下とは旧知の間柄だ。加藤は森下を貸金業に導いた張本人であり、小谷は手形割引で森下を金主としてきた。表には出ないが、二人の後ろに控え、森下はヤタガイの債権を買い取った。
 
 森下にとって個人相手の小口債権はさほど興味はなかったが、ヤタガイは東京の都心に優良店を数多く持ち、蔵王スキー場の山荘などの不動産を運営してきた。森下の狙いはそこだった。森下はヤタガイの債権をまとめて買いあげ、不動産などを売却した。そうして自ら設立したローンズ・アルファの事業に組み入れたのである。

 もっとも、サラ金事業は失敗に終わった。ヤタガイの倒産以降、世のサラ金批判がますます高まり、銀行取引もできなくなって最大手の武富士でさえ資金繰りに苦しんだ。
 
 アイチグループのローンズ・アルファは最後発のサラ金業者であり、顧客もなかなかつかない。やむなく武富士など大手で借りられなくなった顧客に貸し付けていたが、とうぜん残るのは焦げ付きの山だ。ヤタガイを買い取った森下には悪名しか残らず、むしろ捜査当局に目をつけられた。

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