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アイチ・森下安道伝 山口組最高幹部との絵画取引とオークション会社の買収

2022年4月19日 19:00 週刊ポスト

 世界の2大オークション会社の買収に乗り出すまでになった森下は、ますます美術品の売買にのめり込んだ。そのために日本の大学を卒業したばかりの三女の雅美(仮名)をパリのクリスティーズに“留学”させたことまである。彼女をニューヨークの社交界「インターナショナル・デビュタント・ボール(舞踏会)」にデビューさせた前後のことだ。森下自身がこう話した。
 
「娘に美術品の取引を覚えさせようと思ってね。やっぱり海外に住んでないとそれがわからないから、しばらく雅美をクリスティーズに預けたんですがね」
 
 雅美はスタジエという立場で、1年半ほどクリスティーズに勤めた。いわばオークションの見習いである。折しも、東京・青山でアスカインターナショナルを設立した頃だ。森下はクリスティーズやサザビーズに頻繁に通い、美術品を手当たり次第に買い漁り、雅美に対しあわよくばフランス人との結婚を望んだ。青山に設立したアスカインターナショナルは、瞬く間に日動画廊を抜き去り、美術品取扱高が日本一になった。

年4回のオークションで160億円の買い物

 クリスティーズとサザビーズは春と秋にローテーションを設定し、ロンドンとニューヨークでそれぞれ2~3週間かけてオークションを実施する。夏は画商やそのスポンサーが休暇をとるため、オークションも休む。それ以外の季節には、たまにエキストラと称した特別なオークションがおこなわれる。画商たちは、まず春と夏のそれぞれのオークション期間、ロンドンとニューヨークにひと月半以上張り付き、会場に通う。森下はそのための拠点としてニューヨークのトランプタワーを購入した。

 世界の名だたる画商のなかでも、クリスティーズのオーナーの一人になった森下は、特別待遇を受けた。やがてクリスティーズのオークション会場に専用の電話回線を引きこみ、日本から向かった幹部社員に指示を出した。派遣されたアイチ社員の一人が、秘書室長からアスカインターナショナルの社長になった郡清隆だ。
 
「1980年代の終わり頃は、クリスティーズとサザビーズでおこなわれる春と秋のローテーションのオークションはもちろん、エキストラのときも必ずニューヨークとロンドンに行っていました。飛行機代が何百万円かかろうが、絵の値段に比べると安いものですから。コンコルドで欧州から米国に飛んだこともあります」

 郡がバブル全盛期のアスカインターナショナルについて語った。
 
「オークションの会場に専用の電話線を引いていたのなんて、うちだけでした。オークションは昼と夜の2部制で、昼間は10時から6時くらいまで8時間、夜はそのあと7時前から始まり、2時間ほど続きます。とくに長い昼のオークションでは、他の画商たちは会場に張り付いていなければならないので大変なんですが、私たちは日本にいる森下会長からホットラインで指示されるから楽でした。『5番目に出てくるルノワールを狙え』とか『7番目のシャガールだ』と命じられ、その順番が来るまで席を外せる。なので、合間に外でサンドイッチを食べたり、コーヒーを飲んでいました」

 オークションに臨む画商の後ろには、通常、それぞれ買い手となるスポンサーがついている。だが、オークション会場へ電話できるようなホットラインなどない。スポンサーの指示を受けられないため、会場を離れられない。一方、アイチの郡たちは日本の森下と電話でつながっている。適当にオークション会場を離れ、狙い目の絵画が出る頃合いを見計らって戻り、札を入れた。郡が続ける。
 
「クリスティーズの会場には、職員が『〇××が札を入れている』などと競売のコンディションについて状況を説明する電話が備えてありました。その会話はもちろん英語で、職員でもない私たちだけが日本語で森下会長とやりとりしていたので奇異に感じたのでしょうね。それで、『なぜお前たちだけ専用回線の電話をつなげてもらっているのか、不公平じゃないか』と他の画商からクレームがついたことがありました。でも、クリスティーズから『あの人たちは株主さんですから』と説明をしてもらい、納得していました。なにしろ私たちが1回オークションに行けば、40億円前後の買い物をするわけです。特別扱いなのは当然だったかもしれません」

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