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アイチ・森下安道伝 山口組最高幹部との絵画取引とオークション会社の買収

2022年4月19日 19:00 週刊ポスト

 郡たちはアスカインターナショナル指定席の専用回線から電話をかけながら、欧米の名画を大量に落札した。おまけに、そんな特別待遇は大株主となったクリスティーズだけではない。森下たちはやがてサザビーズでも、同じことをやり始めたという。
 
「クリスティーズとサザビーズで春秋2回ずつ、最低でも年に4回のオークションがあります。われわれは1回40億円として、160億円の買い物をするわけです。トータルでいえば、2つのオークションで2000億円以上になる。なにしろルノワールの絵だけで169枚も落札しました。で、サザビーズでも、やたら大きな買い物をする森下会長がクリスティーズの大株主だと知り、電話回線を引かせてくれたわけです。そのくらいのインパクトはあったと思います」(同前・郡)

 サザビーズでいえば、1989年10月18日、アスカインターナショナルによる35億5000万円分の落札が日本で評判になった。マッシュルームスープ缶で有名なキャンベルスープ元会長のドーランコレクション44点のうち、7点。830万ドルでピカソの「オー・ムーラン・ルージュ」他1点、715万ドルでゴッホの「海の男」、374万ドルでモネの「セーヌ川岸」などを落札した。
 
 森下はとりわけイブニングセールと呼ばれた夕方の出ものを好んだ。10億円から100億円までの一級品絵画が30点前後出品される。日本は真夜中だが、アイチ社員が電話で起こすと森下が即決した。もちろんすべてを買うわけではないが、イブニングセールの扱い高は1500億円ほどに上る。

「それを大量に買うアスカ1社の送金額は、日本でおこなわれる全てのオークション1年分の扱い高をはるかに超えていました。日本のオークションはせいぜい年180億円ほどの取り扱いですから、足元にもおよびません」(郡)
 
 バブル全盛期の1990年5月、日本人が125億円でゴッホの「医師ガシェの肖像」、119億円でルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」を落札して話題になった。これは大昭和製紙名誉会長の齊藤了英の命を受けた銀座の小林画廊による落札だった。ZOZOTOWN創業者のバスキアの絵の購入額が123億円だから、それが日常的におこなわれているようなものだ。森下はこうして買い集めた絵画をバブル紳士たちに売りさばいていった。

(第二部第7回へつづく)

【プロフィール】
森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ―「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。近著に『菅義偉の正体』『墜落「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか』など。

※週刊ポスト2022年4月22日号


【連載「バブルの王様 アイチ森下安道伝」第一部第1回~】バブル紳士が頼った「マムシが死んだ」

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