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バブルの王様 アイチ森下安道伝

アイチ・森下安道伝 戦後最大の経済事件「イトマン事件」のオールキャスト登場

2022年4月30日 19:00 週刊ポスト

「マムシ」と呼ばれた森下安道氏
バブル紳士たちが次々に頼り、取り立ての厳しさから「マムシ」と呼ばれた森下安道氏

【連載『バブルの王様』第二部最終回】貸付総額1兆円のノンバンク・アイチを率いた森下安道の元には、バブル紳士をはじめ怪人物たちが群がった。それが“戦後最大の経済事件”と呼ばれるイトマン事件に繋がっていく。『バブルの王様 アイチ森下安道伝』の第二部第最終回、ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。(文中敬称略)。

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 バブル紳士はもとより反社会勢力の住人、さらには日本の政官界や欧米の社交界にいたるまで、森下安道の交友は果てしなく広がった。そのネットワークには、一般にあまり知られていない接点もある。前号で紹介した山口組の瀧澤孝を森下に引き合わせたのは、須江満実なる人物なのだという。森下と同年代だった不動産・金融ブローカーである。
 
 アンダーグラウンドの人脈に通じる須江は、「ノマツ興産」という不動産会社を経営してきた。斯界では、あの「最上興産」の偽造手形を駆使して地上げの帝王、早坂太吉から41億円も騙し取った男だと語られる。ニセの土地権利証づくりなどはお手のもので、いわゆる地面師詐欺などを働いて前科6犯。詐欺師を騙すクロサギ師と称されたツワモノである。
 
 森下本人によれば、「池田保次を連れてきた」のが、アイチに出入りしていた須江だったという。山口組系組長から地上げ屋に“宗旨替え”し、コスモポリタンを立ち上げた池田は1980年代後半、東証一部上場の中堅ゼネコン「東海興業」株を買い占め、最強の仕手集団と恐れられた。その金主である森下と池田は、しばしばセットで取り沙汰されてきた。コスモポリタンが京都銀行などの地方銀行株を買い漁ると、アイチはそれら地銀の大株主となった。ごみ焼却炉メーカー「タクマ」をはじめ、池田の手掛けた仕手戦のバックが森下だと囁かれたのも無理はなかった。

 その池田が勇名を轟かせた走りが、東海興業株の買い占めだといえる。コスモポリタンによる株争奪戦は、証券界のみならず、政財官界にも波紋を呼んだ。折しもリクルートグループの不動産会社「リクルートコスモス」の未公開株がばら撒かれた1986年6月から翌1987年春にかけての時期にあたる。リクルート疑獄そのものは、〈川崎市助役へ一億円利益供与疑惑〉と題した1988年6月18日付の朝日新聞朝刊によって明るみに出たが、未公開株の譲渡と同じ頃、池田は東海興業の株取引に血道をあげていた。
 
 森下に資金繰りを頼んで東海興業株を購入した池田は、そこから準大手ゼネコン「青木建設」に東海興業との合併を持ち掛けた。株の買い取りを打診された青木建設は前のめりになる。

 実際、池田は1987年3月、買い集めた東海興業の2000万株を一株あたり1800円で青木建設に売り抜けた。売却額は実に約350億円にのぼり、池田はこの仕手戦で100億以上を荒稼ぎしたと伝えられる。むろんこの間、金主の森下も相当な利益を得ているが、見方を変えれば、森下と池田は、青木建設の東海興業合併計画にひと役買ったことになる。
 
 青木建設といえば、竹下登銘柄と呼ばれた政界のスポンサー企業であり、おまけにリクルート疑惑が囁かれるさなかのことだ。竹下自身、コスモスの未公開株譲渡が浮上していただけに、青木建設の株取引は、兜町や北浜の話題をさらった。

 青木建設の合併計画はその後、東海興業側の反発を食らい、とん挫する。6月には、東海側が500万株を買い戻し、青木側が大株主に留まり、東海を支えることで折り合った。むろん森下や池田は痛くも痒くもない。それどころか、池田はこの間も、双方のトラブル処理に首を突っ込んで存在感を示した。
 
 この東海興業を巡る一連の株取引では、現役国会議員の名前が何人も浮かんだ。池田の相談相手となった一人が、亀井静香である。おまけに亀井はこのあと、池田の薦める自動車内装部品メーカー「シロキ工業」20万株や紡績会社「オーミケンシ」18万株を池田とともに買いあげた。挙げ句、当時の相場で3億4000万円だったそれらの株を5億円で池田に買い取らせていた事実まで判明する。
 
 シロキ株やオーミケンシ株の売買について、亀井事務所は「他の政治家に頼まれて窓口になっただけで、利益は得ていない」と言い訳をした。それでいて、コスモポリタンからの5000万円授受疑惑まで浮上した。

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