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バブルの王様 アイチ森下安道伝

アイチ・森下安道伝 戦後最大の経済事件「イトマン事件」のオールキャスト登場

2022年4月30日 19:00 週刊ポスト

「新たに1億円ばかりファイナンスしてくれまへんか」

 許永中が絵画ビジネスで森下たちといっしょに欧州旅行をしてきた件は、前に書いた。当の許は絵画だけでなく、株や不動産の取引でもアイチから融資を受けてきた。森下が許に融通した資金は、トータルで数千億円といわれる。森下はどうやって許と知り合ったのか、90年代初めに森下本人に尋ねたことがある。
 
「もう25年くらい前でしたかな。永中とはじめて会ったのは。まだ30歳そこそこだったけど、それ以来風貌はほとんど変わっていません」

 アイチとの取引は飛び込み同然だった、と森下は言った。
 
「うち(アイチ)の八重洲支店が永中に金を貸していましてね。それが焦げ付いていたんです。焦げ付いたのは、あの頃ですから、3000万円程度だったと思います。それで、八重洲の支店長へ『いっぺんそいつを連れて来いや』と命じた。そうして永中本人がここ(アイチ本社)へやって来た。まだ藤田栄中と名乗っていました」

 当時の許は、「東邦エンタープライズ」という旧東邦生命の保険代理店を設立し、その東京支店を開設したばかりだった。支店は大手町の皇居前にあるパレスホテルの一室を借り、事務所にしていた。
 
「この場で焦げ付きをきれいにしろ」
 
 森下はアイチ本社に許を呼びつけ、そう迫った。一方の許はこう切り返した。
 
「わかりました。ついては新たに1億円ばかりファイナンスしてくれまへんか」
 
 森下はあまりの図々しさになかばあきれながら、半分はその並外れた人懐っこさに魅力を感じたという。

「おまえは頭がおかしいのと違うか。なんで3000万円も焦げ付いている相手に追加で金を貸さなければならんのか」
 
 そう言いながら、森下はまずは3000万円を返済させた。
 
「まあ、そうだな、ほかに担保があれば、改めて新規で融資せんでもないよ」
 
 森下は許の持っている不動産を担保に1億円を新たに貸し付けた。ここから許はひと月に1度のペースで四谷のアイチ本社を訪ね、森下と親しくなっていく。

 やがて許に欧州の絵画を売るようになった森下は、許を京都銀行の株取引に巻き込んだ。既述したように、1980年代末期の森下は、全国の地銀や第二地銀の株を買い漁った。あわよくば銀行を手に入れたいという願望があったからだが、なかでも最も熱をあげたのが、京都銀行株の取得だった。アイチでコスモポリタンに仕手戦の資金を用立てながら、一方で森下は京都銀行の第三者割当増資を引き受け、自らの持ち株を増やした。そのうえで森下は、所有している京都銀行株の何分の一かを許に譲渡した。
 
 株の譲渡は許の希望でもあった。それは、京都銀行株の売り先を想定していたからにほかならない。このとき許は西武セゾングループの代表である堤清二が京都銀行を手に入れたがっていると聞きつけた。情報源は画廊「フジ・インターナショナル・アート」を経営する福本邦雄だとされる。福本は竹下の「登会」をはじめ、中曽根康弘の「南山会」や大平正芳の「大雄会」といった後援組織を主宰する政界の黒幕といわれた。日本共産党の指導者だった福本和夫の長男であり、東大時代に共産党細胞だったセゾンの堤との関係から、京都銀行の件を知ったという。

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