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バブルの王様 アイチ森下安道伝

アイチ・森下安道伝 戦後最大の経済事件「イトマン事件」のオールキャスト登場

2022年4月30日 19:00 週刊ポスト

 許は堤に売るため、京都銀行株を買い集めた。森下から譲渡された株を足がかりに、市場で100万株、200万株と買い増していった。購入する株式を担保に金を借り、株を買い増していくやり方だ。仕手筋の常套手段でもあり、いわばコスモポリタンの池田と同じ発想だ。許はコスモポリタンの池田のことを「池ちゃん」と呼んで、二人は親しくしていた。
 
 許は、アイチの森下やコスモポリタンの池田が進めてきた京都銀行株の買い占めに相乗りしたようなものだといえる。許の持ち株はあっという間に2300万株に達し、実に京都銀行の発行済み株式の7%を占めた。株価の時価評価額にすると230億円。株を買う資金の出どころの大半がアイチだったのは、いうまでもない。

「こんなに株を買ってどうするつもりなのか。金利は払えるのか」
 
 森下は慌ただしく京都銀行株を買い集める許に対し、そう問いかけた。が、堤に株を売る腹積もりの許は平然としていたという。

 もっともこの京都銀行株仕手戦の参戦は、失敗に終わった。肝心の堤が土壇場で買い取りを拒否したからだ。ただし、株を担保にとっている森下は、いざとなれば抵当権を行使して許の株を手に入れればいい。そこは池田に対しても同じだが、京都銀行株の買い占めは、そうした異なった思惑が絡み合い、進んでいったのである。
 
 この京都銀行株の仕手戦は1988年7月頃までのこと。つまり池田が姿を消すひと月前である。池田の失踪はもっぱら雅叙園観光ホテルの経営問題がらみで語られることが多いが、京都銀行株とも無縁ではないように感じる。

手提げの紙袋で渡された現金を新聞紙で覆い隠して持ち運んだ

〈雅叙園(観光ホテル)は、コスモポリタンの池田保次が経営権を握り、手形を乱発したことから、経営危機に陥り、池田に対する債権者ら、つまり、私やアイチの森下安道、丸益産業の種子田益夫、大阪府民信組の南野洋らが相談し、その経営を見ることになって、まず、私が右債権者仲間から推されて、雅叙園に送り込まれたのです〉
 
 大阪地検に対する許の供述は、次のように続く。
 
〈何もやりたくて自ら進んで雅叙園の経営に乗り出したわけでもなく、(中略)右南野が、協和綜合開発の伊藤(寿永光)に雅叙園を任せたらと勧めてくれ、伊藤に雅叙園の経営をバトンタッチすることになったのです〉
 
 こうして許や伊藤、南野らが、池田による雅叙園観光ホテル株買い占め劇のあと処理を手掛けていった。それはのちのイトマン事件に登場する役者たちのオールキャストでもある。

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