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【注目トピックス 日本株】CACHD Research Memo(9):中期経営計画は一定の成果を上げる。2022年春発表の新戦略に注目

2022年5月12日 16:09

■中長期経営方針

1. まずは長期ビジョンを設定し、社員全員で共有すべき価値観を明確化
2022年2月、CAC Holdings<4725>は長期ビジョン「CAC Vision 2030」と「新中期経営計画」を公表した。「CAC Vision 2030」は、「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」という企業理念(果たすべき使命)をベースに、10年後の「ありたい姿」「向かうべき方向性」を定め、共有することでグループのベクトルを統一させることを主目的に策定されたものである。

「CAC Vison 2030」で特に注目したい点は、中長期的に目指す企業像である「Vision」と社員全員で共有すべき価値観である「Value」が明確にされていることである。同社は、まず「Vision」として「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」を掲げている。そして「Value」については、1) Creativity:既成概念に囚われないアイデアや発想を大切にする、2) Humanity:人間性を重視し、人間らしく生きる、3) Challenge:失敗を恐れずに、挑み続ける、4) Respect:相手を尊重し、常に感謝の気持ちを忘れない、5) Pride:仲間と自らの努力を信じ、社会に誇れる仕事をする、という「Five values」を定めている。いずれも、ICTによる価値創造と変革に挑戦し、顧客指向でCSV(Creating Shared Value、事業を通じた社会貢献)型企業グループへと発展してきた同社の歴史を踏まえれば、一貫性があり社員から見ても納得度の高いものであると考えられる。

また、「CAC Vision 2030」は2021年末にかけて対外公表に先んじて社内的に共有されている。西森社長がWeb会議形式で全社員に向けて直接説明し、幹部社員に対しては対面説明会が数回開催され質疑応答の時間も設けられたという。「社長自らが中長期の経営計画に込めた思いを全社員に語りかける」、当たり前のことながら実際には行われていないケースも多いだけに、同社が「CAC Vision 2030」を如何に重要視しているかが読み取れる。社内向け説明会を受け実施したアンケートでは、10年後の「ありたい姿」と「向かうべき方向性」が定められたことに対し、社員は総じて好印象を持っている模様であり、「CAC Vision 2030」は「ベクトル統一」だけでなく「従業員エンゲージメント向上」にも資する可能性がある。

2. 2022~2025年で新たなビジネスモデル構築を目指す
「CAC Vision 2030」では、2022~2025年(新中期経営計画期間)をプロダクト&サービス基盤(新規事業を継続的に立ち上げる仕組みとビジネス基盤)の構築に充てるフェーズ1と位置付け、2025年12月期における経営指標目標として売上高580億円、営業利益50億円、営業利益率8%以上、ROE10%以上を設定した。そして、2026~2030年は高成長を実現するフェーズ2とし、最終的に高収益・高成長の「デジタルソリューション提供企業」への生まれ変わりを達成するとしている。

同社は「デジタルソリューション」を「顧客課題を先導解決するデジタルプロダクトとサービス(コンサル、サポート)のコンビネーション」と定義している。これまでの受託事業が顧客の要求に応える受け身的で人月単価に規定された変動費型・労働集約型のビジネスモデルであるのに対し、「デジタルソリューション」事業は自社で価格設定が可能な固定費型・収穫逓増型のビジネスモデルであると考えられる。

CRO事業を除いて算出した2021年12月期の業績は、売上高が43,094百万円、営業利益が2,885百万円、営業利益率が6.7%、ROEが6.2%程度となっている。4年後となる2025年12月期における目標値(売上高580億円、営業利益50億円、営業利益率8%以上、ROE10%以上)の達成は簡単とは言えないものの、見通し粗利率25%の受託事業メインの成長であっても販管費をコントロールすれば可能な水準に見える。しかしながら、2030年12月期のイメージとして示されている営業利益率15%以上の達成には固定費型・収穫逓増型のビジネスモデルへの転換が必須と言える。

同社は中期経営計画骨子のなかで、新たなビジネス基盤を構築するために、事業投資及び人材投資の推進に約150億円を投入するとしており、今後4年間で使い切る方針である。2022年1月の組織改編では「戦略投資委員会」「新規事業推進本部」「R&Dセンター部」が新設され、具体的な投資案件やプロダクト戦略が日々練られている。まずは、海外IT事業における構造改革の進捗状況を見極めつつ、今後明らかになる投資内容にも注目しておきたい。

3.「世に知られる優良企業」への進化につながるプロダクト&サービス事業の育成
西森社長は、アニュアルレポート2021のCEOメッセージにおいて「私が入社したとき当社は“知られざる優良企業”という本に掲載されていた。これからは世に知られる優良企業になりたい」との趣旨の発言を行った。

同社は「CAC Vision 2030」において、プロダクト&サービス事業を育てることにより、高成長・高収益を実現することを中長期の目標としている。「ウォークマンの○○」「ファミコンの○○」「宅急便の○○」「Windowsの○○」「iPhoneの○○」等々、優れたプロダクト&サービスには企業のブランド力や知名度を高めるパワーがある。深読みにすぎるかもしれないが、西森社長がプロダクト&サービス事業への注力を選択した理由の一つに「世に知られる優良企業」への強い思いがあると弊社は見ている。世に知られるためには「○○のCAC」と呼ばれるプロダクト&サービスを生み出すことが有力な手段となる。また、ブランド力の高さは値付け力に直結し、受託事業の人月単価に対しても好影響をもたらすことが知られている。「世に知られる優良企業」への進化は簡単な道程ではないが、企業変革を続けてきた同社にとって挑戦のしがいがある目標だろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

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