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【GRICI】池上彰さん、間違えていませんか? 中国共産党「党主席」制度に関して(2)【中国問題グローバル研究所】

2022年6月22日 10:10

◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「池上彰さん、間違えていませんか? 中国共産党「党主席」制度に関して(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。

◆「間違い」その2_「主席になると圧倒的に強い立場になる」?
最も大きな間違いは「主席になると圧倒的に強い立場になります」という言葉だ。

池上氏にお聞きしたいのは、なぜ「主席になると圧倒的に強い立場になります」と判断なさったのかということである。これは、本気で知りたい。どうすれば、そういう考え方に至ることができるのか、その「論理」を知りたいと本気で思うのである。

では、なぜ「主席になると圧倒的に強い立場にならないのか」に関してご説明したい。詳細な経緯は拙著『習近平 父を破滅させたトウ小平への復讐』(※2)に書いてあるが、史実を知らなくても、誰にでも分かる例で、まずご説明しよう。

たとえば某大学にワンマンな(あるいは厄介な)「学長」がいたとする。その学長の力を削ぐには、「副学長」のポストを複数設けて、力を分散させるという方法がよく採用されている。表面上は「学長」の負担を減らすという理由を付けるのだが、実際は「学長一人の判断で大学運営が間違った方向に行かないようにする」というのが目的だ。

企業における社長も副社長も類似の目的で存在するのもあるだろう。

これと同じで、かつて「党主席」制度の時代には、毛沢東の独走を阻むため(あるいは他の野心に燃えた人の出世コースのため)に「副主席」というポストが設けられた。

そうなると毛沢東主席の力はトップ一人ではなくなるので、「副主席」が多大なる力を持ったり、副主席同士で権力闘争をしたりする。

党主席だけでなく、国家主席に関しても同じだ。国家副主席が複数いたし、今もいる。事実毛沢東は、トウ小平の策略により、劉少奇・党副主席を「国家主席」に持っていかれてしまい、結果、毛沢東は下野して、劉少奇を打倒するために文化大革命を起こしたほどだ。

紆余曲折を経ながら最終的に1982年9月に「党主席制度」を撤廃したのは、毛沢東死後に「党主席と国家主席と国務院総理」すべての職を得ていた華国鋒を、トウ小平が打倒するために断行したためである。

毛沢東が自ら後継者と定めた華国鋒をトウ小平は打倒し、子飼いの胡耀邦をトップに持っていくために「副主席」のポストがある「党主席制度」を撤廃して、「副」のポストがない「一人だけの総書記制度」に持っていったのである。なぜならトウ小平は華国鋒を下野させるために非常に狡賢く動いたが、華国鋒が最後に「党副主席」に残っていたので、「党主席制度」そのものを撤廃してしまわないと完全な華国鋒追い落としにつながらないので、トウ小平は最後の打撃を華国鋒に加えるために撤廃してしまったのである。

決して毛沢東の個人崇拝がまずかったから「党主席制度」を撤廃したのではない。

したがって「党主席制度」は「副主席がいるので力が弱く」、「中共中央総書記制度」は「副」がいないので、「一人」だけトップを占めることができるから、圧倒的に「総書記制度」の方が強く、権力が揺るがない。

もう一度繰り返すが、池上氏の“それは彼を個人崇拝したのがまずかったのだという反省から、共産党の「党主席」というポストをなくし「総書記」としたのに”という言葉も間違っている。

「華国鋒を倒し、子飼いの胡耀邦をトップにさせるために」、トウ小平が権力闘争として断行したのである。

毛沢東の個人崇拝がまずかったので「党主席制度」を撤廃したのではない。華国鋒は、最後は「党副主席」の職位に落とされたが、華国鋒を完全に追い出すには「党主席制度そのものを撤廃する」しかなかったのである。

したがって、真逆だ。

◆なぜ「党副主席」というポストが生まれたのか?
これに関しては話が長くなるが、習近平の三期目を考察するには前掲の『習近平 父を破滅させたトウ小平への復讐』(※3)を読んで頂くしかない。

ひとことで言うなら、トウ小平が野心を持ち、毛沢東が後継者と決めていた高崗(ガオガーン、こうこう)を陰謀によって自殺に追い込み、陳雲と二人で権力の座を奪取しようと画策した結果が生んだものだ。

このいきさつを書くと長くなって一冊の本になる。実際それを本にしたのが『習近平 父を破滅させてトウ小平への復讐』なので、真相を知りたい方は、そちらをお目通し頂きたい。1956年9月の第八回党大会の結果と推移が第二章に書いてある。このとき初めて「党副主席」というポストが新設され、トウ小平の陰謀を手助けして高崗を自殺に追いやった陳雲が党副主席(中国共産党中央委員会副主席)に就任し、トウ小平自身は、別途新設した中共中央書記処総書記の座を射止めた(『習近平 父を破滅させたトウ小平への復讐』第二章 p.119 図表2-2 参照)。

その10年前の1946年4月、筆者がまだ5歳だったときに、長春市に攻め込んできた中国共産党軍の一人であった若い「趙兄さん」(のちに毛沢東の日本語通訳の一人となる趙安博という共産党員)と筆者は生活を共にし、父は当時の長春市の書記をしていた林楓(りんぷう)と信頼関係にあった。中国共産党軍は同年5月には長春から消えたが、1947年晩秋になると長春市は中国共産党軍によって食糧封鎖され、多くの餓死者を出していった。そういった原体験が「中国共産党とは何か」を追い詰めていく、筆者の原点になっている(詳細は『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』)(※4)。だから老体に鞭打ちながら「中国共産党の正体」を追い続けている。上述したのは、そういった原体験により積み重ねてきた知識だ。

さて、冒頭に話を戻そうか。

池上さん、教えてください。

あなたはなぜ「主席になると圧倒的に強い立場になります」とお考えになったのですか?私に見えていない要素があるかもしれませんので、本気で知りたく思っております。その昔、名刺を交換したことはありましたが、良かったらhttps://grici.or.jp/contactまでお知らせください。お待ちしています。

「池上彰さん、間違えていませんか? 中国共産党「党主席」制度に関して(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。

写真: 新華社/アフロ

(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.amazon.co.jp/dp/4828422641/
(※3)https://www.amazon.co.jp/dp/4828422641/
(※4)https://www.amazon.co.jp/dp/4408650242/

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