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【注目トピックス 日本株】安田倉庫 Research Memo(4):成長事業である物流事業と、安定収益事業である不動産事業を展開(2)

2022年6月22日 15:24

■事業概要

(2) メディカル物流サービス
安田倉庫<9324>は、医療用医薬品から一般用医薬品、試薬、医療機器までを扱っており、専用設備の導入や認証・許可の取得、専用輸配送網の整備など、専門性の高いサービスを提供している。メディカル物流サービスでは、特に高度な保管・管理体制が要求されることから、温度管理や冷蔵庫設備など商品特性に応じて保管環境を整備する一方、自家発電設備や衛星電話を備えることで非常時の運用も可能となっている。また同社は、医療用医薬品や一般用医薬品の製造・販売を行う顧客のために、GMP※1で要求されるGDP※2に対応した設備・保管管理、センター運営、配送インフラなどの物流体制を構築しており、地震や停電などの不測の事態に備え、BCP※3を意識した倉庫構造となっている。一方、センター運営面では、薬剤師など経験豊かな専門スタッフによる高品質な作業体制を整えており、記録管理が重要となるGDP対応のため、管理薬剤師による各種手順書の整備も行っている。

※1 GMP(Good Manufacturing Practices):医薬品製造における製造管理と品質管理の基準。
※2 GDP(Good Distribution Practices):GMPを補完する、保管や輸送までを含む流通過程での品質管理基準。
※3 BCP(Business Continuity Plan):地震、津波、大雨、大雪といった自然災害や、事故、停電など予測不可能な緊急事態の際に取る施策で、重要業務の被害を最小限に抑え、企業運営を滞らせないための行動指針。

配送に関しては、共同配送によって東西の物流センターから全国の卸・医療施設へ毎日商品を届けている。なかでも首都圏と関西圏では自社車輌による配送を行っており、配送ルートの固定化による安定・迅速・高品質で繁閑を問わない納品が可能となっている。また、生産工場から物流センターを経由して全国の卸・医療施設へ、温度記録管理が可能な医薬品専用車輌による一貫輸配送サービスも提供している。さらに、メディカル関連貨物の製品情報・包装の変更案内や患者向け冊子のオンデマンド印刷サービスなどにも対応することで、販促資材の製作管理や進捗管理も行っている。このほか、添付文書封入や薬事ラベルの貼付など流通加工や入荷検査、預託品の返却受入センターの運営といった流通加工サービスについても多くの実績がある。このように、メディカル物流に最適な倉庫設備や保管環境を関東や関西に有し、GDPへの適合やアウトソーシングを検討している顧客に対応していることから、メーカーの海外展開の拠点となっている倉庫もある。

同社はメディカル物流サービスの更なる拡充・高度化も進めている。具体的には、物流事業者として初めて医療機器修理業許可(修理区分:特管第一区分から特管第八区分まで)を取得し、OKIクロステック(株)と業務提携して医療機器の修理業務に参入した。医療機器キッティング業務や医療施設などから回収した製品を修理する機能が加わることで、倉庫・物流機能に加えて医療機器の検査・点検・検品・薬事ラベル添付業務、洗浄・廃棄、修理、コールセンター業務、オンライン遠隔監視サービス、AI予兆診断による故障予測適時保守など、高度なサービスをトータルに提供できるようになる。このほかにも、九州営業所で医薬品製造業を取得、輸入医薬品原料など出荷判定前の貨物の保管サービスを開始しており、サービスの高度化に合わせてGMP省令に適合した組織体制の構築や薬剤師の採用を実施している。また、グループ会社の日本ビジネス ロジスティクス(株)では米国ISTA(国際安全輸送協会)認定の包装設計試験ラボを保有するほか、JISやISO、ASTMなど公的試験規格を評価試験する設備も有している。2022年2月には、包装試験サービスの1つである医療機器滅菌包装でのASTM F1980に基づいた加速劣化試験において「ISO/IEC17025:2017」認定を取得した。このように、同社のメディカル物流サービスは利便性・信頼性が高いことから、近年好調に推移している。

(3) ITキッティングサービス
IT機器の各種設定や動作確認のほか、保管やキッティング作業、運用管理作業、保守までのサービスをワンストップで提供している。かつて大手PCメーカーの取り扱いが多かったことから、PCやタブレット、スマートフォンなどのカスタマイズ作業、POS端末やATM端末の保管から設置、大型サーバーの移設、回収した商品の廃棄やデータ消去などのサービスまで手掛けており、IT機器に特化した物流ソリューションとして定評がある。

なかでもIT機器のキッティングについては、都心エリアに複数のキッティング専用施設を有し、専門エンジニアによる高品質なサービスを提供している。具体的には、コンビニエンスストアなどに設置されるATM端末の保管・キッティング作業・配送・設置・動作確認作業や、閉店時の引き上げ、リファービッシュ作業(引き上げた中古機器を新品に準じる状態に仕上げ再利用すること)などがある。このほかIT機器の初期導入、社内運用・保守及び回収・データ消去・廃棄までの一連の業務をワンストップで提供する「IT機器ライフサイクルサービス」や、データセンター移設などに伴う「サーバー製品移設サービス」、コールセンター対応などの「IT機器保守物流サービス」など、専門性の高いサービスを提供している。

(4) オフィスサポートサービス
顧客のオフィス空間を快適にする様々なメニューを取り揃え、文書の安全な保管・検索・管理から、引越や引越に伴うレイアウト設計まで、オフィスにおける様々なニーズにきめ細かくワンストップで対応している。なかでも文書保管サービスでは、書類や各種メディアを耐震性に優れた専用室で保管し、24時間体制のセキュリティで機密保持にも万全を期している。預かった書類は、ファイリング整理から書類の電子化、情報検索・配信、廃棄まで各種サービスを一貫して請け負うことができ、顧客の文書管理の効率化とオフィスの省スペース化をサポートしている。また、独自のWeb在庫照会システムを利用することで、保管してある文書の在庫状況をリアルタイムに確認、倉庫への文書箱の入出庫指示なども簡単に行うことができる。文書リサイクル処理サービスでは、保管期限を過ぎた文書や不要になった文書などを破砕・溶解処理によって紙製品へとリサイクルし、機密保持と資源の有効活用を同時に実現している。

(5) 海外・国際物流サービス
アジアを中心に独自のネットワークを構築しており、日本発着の国際輸送やそれに伴う通関業務など、顧客の国際物流と海外展開をサポートしている。国際海上輸送では顧客の貨物特性に応じたサービスを用意しており、アパレル輸送ではハンガー納品(工場出荷時のハンガーに掛けたままの状態での納品)に対応、独自の断熱ハンガーコンテナに収納することで輸送中のシワ防止や到着後のプレスなどの作業軽減を可能にしている。大型機械や鉄鋼・建材などの大型の重量物・長尺貨物の輸送については、事前に綿密な打ち合わせをすることで在来船への適切な積載方法などを調整している。また、酒類・飲料などの液体輸送については、同社保有のタンクコンテナを利用して輸送することができる。同社の連結子会社である芙蓉エアカーゴ(株)では、越境EC関連航空貨物を取り扱っており、近年、取扱量が増大している。

通関業務では、複雑な税関申告手続や食品衛生法・動植物検疫をはじめとする法令関係手続の申請などをサポートしている。また、同社は「AEO(Authorized Economic Operator)通関業者(認定通関業者)」の認定を受けており、通関手続きを簡素化・迅速化することができる。航空輸送は混載ネットワークにより迅速かつ最適な方法でサービスを提供しており、成田空港や関西国際空港などでは芙蓉エアカーゴ(株)と連携して通関サービスや航空輸送サービスを展開している。中国やベトナム、インドネシアの自社拠点と海外代理店ネットワークを結ぶことによって、日本を経由しない三国間輸送サービスも提供している。

連結子会社の安田物流(上海)では、上海市内の大型自社物流センターを中心に、高品質・高付加価値なサービスを提供している。具体的には、品質検査・セット組み・ラベル貼りなどの作業や商品保管、中国全土への配送といった倉庫業はもちろん、中国EC販売のサポートや物流コンサルティングまで幅広く対応している。事業の拡大途上にコロナ禍が重なり現在は難しい運営が続いているが、今後が期待されるサービスである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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