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【注目トピックス 日本株】安田倉庫 Research Memo(3):成長事業である物流事業と、安定収益事業である不動産事業を展開(1)

2022年6月22日 15:23

■事業概要

安田倉庫<9324>は物流事業と不動産事業を展開している。主力の物流事業では、倉庫業や運送事業、港湾運送事業、通関業などを行っている。首都圏と関西圏の好立地に物流拠点を配し、保管、流通加工、輸配送といった一連の高品質な物流サービスを展開しているが、単純な物流サービスにとどまらず、精密機器や医療機器向けにカスタマイズした物流サービスなど、顧客の課題を解決するソリューションサービスまで行っている。また、アジアへ向けた国際輸送では、陸・海・空の輸送手段を一元的にコーディネートする複合一貫輸送のサービスなども手掛けている。創業以来手掛けている不動産事業では、東京と横浜の好立地にオフィスビルやマンションを展開するほか、都市環境との調和に配慮した再開発事業も行っている。2022年3月期の事業別営業収益構成比は物流事業87.4%、不動産事業12.6%、営業利益構成比は物流事業60.4%、不動産事業39.6%であった。物流事業は成長事業、不動産事業は安定収益事業という位置付けになっている。

1. 物流事業
近年の物流事業は、保管して出荷するという単純な物流サービスだけでなく、顧客や商品に合わせて付加価値を加えたソリューションサービスが求められている。同社の物流事業をサービス別に区分すると、一般的な国内物流サービス、メディカル物流サービス、ITキッティングサービス、オフィスサポートサービス、海外・国際物流サービスの5つに分けることができる。そのなかでもメディカル物流やITキッティングなど専門的な作業が伴うサービスは、相対的に付加価値が高い。一方、輸配送ネットワークは物流事業者にとってなくてはならないものだが、なかでも陸上運送は人手不足のうえ競争が激しく、専門的な作業が伴うサービスと比較して相対的に利益率が低くなっている。同社はソリューションサービスを強化する一方、輸配送でアライアンスを広げることで、物流事業の収益を向上させる方針である。なお、2022年4月に「大黒営業所」内にEC専用センターを設け、EC物流サービスを新たに開始した(詳細は後述)。

(1) 国内物流サービス
同社は首都圏や関西圏を中心とした利便性の高い好立地に物流施設を保有し、顧客の多様な保管・配送ニーズに対し、保管や倉庫作業、陸運、国際貨物取扱、物流賃貸など、同社の有する機能を組み合わせた総合物流サービスを提供している。特に首都圏では、横浜港や東京港、羽田空港に至近の京浜地域に倉庫を集中させることで、競合に対して優位性の強い倉庫ネットワークを形成しており、効率的で高品質な物流サービスを実現している。また、豊富な実績やノウハウ、独自の倉庫管理システム、さらには顧客の利便性や効率化を考えてカスタマイズしたサービスを積極的に導入することで、顧客のサプライチェーンを支えている。

倉庫・物流センター運営に関しては、引き受けた後も継続的に業務改善や効率化・最適化を進めている。保管設備においては、顧客の商品特性に合わせた最適な保管環境や効率的なレイアウトを提案、各種温度帯倉庫や空調設備など様々な要望にも対応することができる。流通加工の経験も豊富で、入庫前の受入検品から倉庫内におけるラベル貼り・値札付け、梱包・包装、セット組み、通電検査など、顧客の要望に応じて専門スタッフがきめ細かく柔軟に対応している。

サービス品質の裏付けとなるWMS(倉庫管理システム)は、「YOURS II(Yasuda Original Useful & Reliable System II)」と呼ばれる独自の総合物流管理システムを導入している。これにより、各物流センターをオンラインで結び、物流のオペレーションを効率的かつ正確にコントロールすることができる。また、物流の基本となる入出庫や在庫ロケーション情報、ロットやシリアルナンバーのコントロールができるほか、EDIやインターネット、ファイル転送によって顧客のシステムと容易にリンクすることが可能で、物流情報の共有化も実現している。危機管理面では、地震などの災害に備え、「YOURS II」を支えるホストコンピュータとネットワークの二重化体制を構築しており、1台がシステムダウンした場合でも、即座に2台目に処理が移され、1時間以内の復旧が可能となっている。委託先のデータセンターも耐震設備や監視機能が徹底されており、常に安全かつ正確な管理がなされている。このように、同社の倉庫及び物流センターは顧客が安心してアウトソーシングできる体制をとっているため、年々取扱量を増やしており、それに伴い施設面積も着実に拡大している。なお、首都圏全域と東北地域を結ぶ新たな物流拠点として、2024年3月に、東北自動車道加須IC至近に大型物流倉庫を開設する計画である。

輸配送に関しては、小型・中型車による首都圏と関西圏での区域配送、大型車による関東・関西・九州間の幹線長距離輸送など、高品質な自社一貫輸配送の体制を構築している。これに加え、大西運輸(株)及びオオニシ機工(株)の子会社化により北陸圏、南信貨物自動車(株)の子会社化により長野県全域での輸配送も強化されている。このうち、2021年11月に子会社化した南信貨物自動車は長野県全域に拠点を展開し、甲信地区から関東・中京地区までを結ぶネットワークを有している。また、大型車輌から小型車輌、冷蔵・冷凍車輌など300台を超える豊富な車輌と、一時保管・荷役・流通加工作業のノウハウにより、顧客のニーズに最適な物流サービスを提供し、安定した業績を維持している。子会社化によって南信貨物自動車の持つネットワークやサービスノウハウの共有によるシナジー増大を図ることで、同社の輸配送ネットワークとサービスメニューの更なる拡充を見込んでいる。

また同社は、商品の特性や配送量、納品リードタイムといった条件に基づいて最適な輸送方法を選択でき、自社拠点・自社車輌に加え、アライアンス先の輸送機能を使うことで全国へ効率的に配送することができる。例えば、サーバーラックやATMなどの精密機器の輸送には、特殊車輌(エアーサスペンション・パワーゲート)を使用することで、納品先での設置作業も可能となる。さらには、メディカル(医薬品・ヘルスケア・試薬など)や家電などの商材については、自社車輌やアライアンス先を活用した輸配送ネットワークによる共同配送サービスも行っている。ほかにも、顧客の販売情報に基づいた各拠点在庫の適時配分や全国配送といった複数拠点管理、商品特性や環境対応を考慮して設計・開発された包装資材による包装設計など、顧客のサプライチェーン全般をサポートしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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