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【ランチタイムコメント】日経平均は5日ぶり大幅反落、米CPIショックも織り込みはまだ不十分?

2022年9月14日 12:14

 日経平均は5日ぶり大幅反落。622.81円安の27991.82円(出来高概算5億7693万株)
で前場の取引を終えている。

 13日の米株式市場でダウ平均は1276.37ドル安(-3.94%)と5日ぶりに急反落。8月消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなったため、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速懸念が高まった。長期金利の急伸でハイテク株の売りが加速し、相場をさらに押し下げ。FRBの過剰な利上げによる景気後退懸念も浮上し、サービスや小売なども売られ一段安に。手仕舞い売りも膨らみ引けまで下げ止まらなかった。ナスダック総合指数も-5.15%と急落。日経平均は481.93円安からギャップダウンで始まると、すぐに28000円を割り込み、寄り付き直後に27795.64円(818.99円安)まで下落。ただ、円安を支援要因とした輸出企業やインバウンド関連銘柄への押し目買いなども支えに下げ渋ると、買い戻しが入り、一時は28000円を回復。その後も同水準を挟んだ一進一退で底堅く推移した。

 個別では、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、キーエンス<
6861>などの主力ハイテク株のほか、ラクスル<4384>、マネーフォワード<3994>、ラクス<3923>などのグロース株が軒並み大きく下落。ヤーマン<6630>は決算が嫌気されて急落。中国電力<9504>は今期見通しが失望されて大幅安。一方、ダブル・スコープ<6619>、レノバ<9519>の個人投資家人気の高い両銘柄が高い。前日の米株式市場でエネルギー関連が相対的に底堅ったことでINPEX<1605>、三井物産<8031>、三菱重<7011>、大阪チタ<5726>などが堅調。連日で賑わっていたインバウンド関連も底堅く、JAL<9201>、高島屋<8233>、エアトリ<6191>などが買われている。エイチ・アイ・エス<9603>は決算があく抜け感にも繋がり大幅高。三井ハイテック<6966>は好決算を手掛かりにハイテク株安のなか逆行高となった。

 セクターでは電気機器、ゴム製品、金属製品を筆頭にほぼ全面安。一方、鉱業のみが上昇となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体89%、対して値上がり銘柄は9%となっている。

 米CPIの上振れによるネガティブサプライズで日経平均は再び心理的な節目である28000円及び25日移動平均線を割り込んだ。一方、直近の相次ぐ水際対策緩和に関する報道を支援要因に、インバウンド関連銘柄には引き続き買いが入っているほか、再び1ドル=145円を窺う水準まで急速に進んだ円安・ドル高進行を背景に自動車関連の一角は買われるなど、押し目買い意欲も見られている。日経平均は急落後に一時28000円まで買い戻される場面もあった。米国株の急落時でも相対的に日本株の底堅い動きが続いていることは評価できる。

 しかし、米国株が落ち着かない限り、日本株も良くてせいぜいレンジ相場を維持することくらいしかできないだろう。米8月CPIは前年比+8.3%と予想(+8.0%)を大きく上振れ、前月比でも+0.1%と減速の予想(-0.1%)に対して上振れた。米国でガソリン価格の下落傾向が続いていたことで、事前にはむしろ予想を下回って7%台の伸びまでの減速もあり得るのではないかという声もあった。それだけに、上振れはネガティブササプライズである。

 また、より深刻なのはFRBが重要視するコア指数の上振れ度合いだ。変動の激しい食品・エネルギーを除いたコア指数は前年比+6.3%と7月(+5.9%)から大きく加速し、予想(+6.1%)も大幅に上振れた。前月比では+0.6%と7月(+0.3%)及び予想(+0.3%)から2倍の上振れとなった。単月の上振れ(下振れ)では基調の判断は難しく、過剰反応するべきではないかもしれないが、足元の株式市場では、インフレ減速期待やFRBの金融政策の織り込み進展を理由に楽観的なムードが広がっていたため、頭を冷やすには十分すぎるインパクトがあった。

 市場では20日から開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75pt利上げは完全に織り込まれ、一部では1.00ptの利上げも指摘しており、確率としても3割程にまで上昇した。実際のところ、1.00ptへの緊急利上げ幅拡大に踏み切れば、FRBの動揺が市場に伝播しかねないため、確率は低いだろう。それよりは、0.5ptへの利上げ幅縮小が見込まれていた11月会合での4回連続での0.75pt利上げ確率がかなり高まってきたといえる。11月の0.75pt利上げ確率は足元で5割程にまで上昇してきている。

 金利先物市場の動きを見ると、市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は4.3%台後半にまで大きく上がってきた。ただ、依然として時期としては来年3月頃からの政策金利の横ばい、その後の緩やかな利下げを予想している。金利水準としては目線が切り上がったものの、FRBの積極的な金融引き締めが景気後退を招き、来年半ばには利下げ転換を迫られるとの見方は変えていないようだ。

 しかし、FRBは人々にインフレ心理が根付くのを一番恐れており、これを防ぐために速やかに需要が供給を下回る水準にまで低下する手段として利上げを続けるとしている。今後も高インフレが続くのであれば、FRBは高いインフレ期待の定着を阻止するために粘り強く高金利を維持するとみられ、簡単には利下げに転じることはないだろう。

 パウエルFRB議長も家計や企業に痛みが伴ってでもインフレ沈静化を最優先にすることを主張しており、年明け以降に景気が悪化したとしても早々に利下げに転じることはないのではないだろうか。実際、ジャクソンホール会議では、1970年台後半のウィリアム・ミラー議長時代を例に挙げ、景気悪化に応じて利下げに転じた結果、インフレをぶり返してしまった過ちと、それを再び繰り返すことの危険性を指摘している。

 まだ今晩の米8月卸売物価指数(PPI)の発表が残っているうえ、重要なのは来週に控えるFOMCではあるが、現時点で筆者としては、市場はまだFRBのタカ派スタンスを完全には織り込みきれていない気がしてならない。

 後場の日経平均は28000円を挟んだ一進一退が続きそうだ。前場の急落した局面では国内機関投資家による押し目買いが入っていたとの声が聞かれており、日本株の現状水準は割安との見方を裏付ける動きとして歓迎される。一方、今晩以降の米株式市場の動向が気掛かりで積極的に押し目買いを入れられる状況でもなかろう。強気派と弱気派の拮抗は続き、指数は心理的な節目を意識したもみ合いが続きそうだ。
(仲村幸浩)

<AK>

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