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【注目トピックス 経済総合】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆減税も、インフラも◆

2016年11月20日 9:50



〇金利水準は当面の目安到達、政策動向を注視〇

減税は共和党を一つにする、と言われる。レーガノミクス以来約30年ぶりとなるトランプ減税への期待が、急激な市場変化をもたらした大きな柱のようだ。所得減税、法人減税とりわけ海外利益への大幅減税などがどういった展開を見せるかが焦点になろう。米企業が海外に溜め込んだ利益はアップルの2000億ドルを筆頭に2兆6000億ドルに上るとされる。これにタックスヘイブンに流出した資産を含めると、かなりの資金が米国に還流する可能性がある。

一方、大型減税策は20兆ドル規模の連邦債務を5兆ドル規模で膨らませるとの見立てが出ている。財政悪化と移民制限による人手不足、インフラ投資などによる需要増、保護貿易による物価上昇などが重なるとインフレ圧力が高まる。急激な金利上昇が起こった背景だが、休み明け14日の米国債市場は30年債が3.0%、10年債が一時2.3%、2年債が1.0%の、当面のフシ目と見られたゾーンに到達した。トランプ政策が困難との見方に傾けば一気に崩れるリスクがあるが、なお一段上昇を主張する向きも増え始めており、高水準の綱引き相場に移行すると見られる。減税の最大のハードルは来年3月期限の連邦債務上限枠と見られている。その議論が本格化する来年1-2月頃までは今の基調が持続する公算がある。

14日付WSJ紙は「トランプ氏のインフラ投資計画、失速の恐れも」と題する記事を配信した。ほぼ全てのメディアがトランプ批判のスタンスだったので、違和感はないが、投資減税で民間資金を呼び込む方法だけでは限界が指摘されることになろう。

11日(トランプ前提ではないと見られる)岸田外相は外務省の有識者会合から「新時代の日米経済関係の構築」と題する提言を受け取った。この中で、今後の課題として「米国内の交通・発電・水と言った分野での膨大なインフラ事業に、日本側の技術や資金で応えていくと言う形で協力を進めていくべきである」との主張が盛り込まれた。ズバリ、昨日3割減益決算となった郵貯・簡保の資金が自主運用拡大の旗印の下、米国インフラマネーに流入するかどうかが焦点になると考えられる。米国が日本マネーを求めてきた事例で思い起こされるのは、福田康夫元首相の「あなたと違うんです」辞任劇。サブプライム危機に陥った米国が住宅金融会社の救済資金を強引に求めてきたが、福田元首相は自らの辞任と引き換えに拒否したと伝聞される。首相の辞任表明は08年9月1日、その2週間後にリーマン破綻劇となった。それを継いだのは麻生内閣、当時の要人は残っており、米国への新たな資金供給を巡って、どういった議論が交わされるか、(積極姿勢と見られる)安倍首相の言動を含めて注目されるところだ。

14日、世界の首脳の中で唯一電話をしてこなかったと揶揄された習近平中国国家主席とトランプ氏が電話会談を行った。「協力を確認、近い内に会談することで合意」と通り一遍的な内容だったようだが、対中政策は深い霧状態にある。中国人民元安が進行、7年8か月ぶりに1ドル=6.83元のフシ目を突破。トランプ大統領が就任初日に中国を為替操作国に指定するかどうか注目されている。また、中国が7日の全人代で可決成立させたサイバーセキュリティ—法案に世界の経済団体から非難の声が高まり、香港などの民主化運動が危機的状況にある。トランプ氏の対中政策も今後大きな焦点となろう。


以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/11/15号)


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