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【注目トピックス 日本株】DCMホールディングス:PB強化とリフォーム事業拡大で収益改革を進める国内最大級ホームセンター

*12:49JST DCMホールディングス:PB強化とリフォーム事業拡大で収益改革を進める国内最大級ホームセンター
DCMホールディングス<3050>は、北海道のホーマック、東海、北陸のカーマ、四国、関西のダイキなど複数の地域ホームセンターが統合して誕生した国内最大級のホームセンターグループ。グループ店舗数は全国で900店舗超と圧倒的な規模を持ち、ホームセンター市場約4兆円の中で5,000〜6,000億円の売上規模を有しトップシェアを占める。生活用品、DIY、園芸、ペット用品などを幅広く扱い、地域に密着した店舗運営が特徴だ。

同社の事業構造はホームセンター事業が中心で、収益の柱は生活密着型の商品群とプライベートブランド(PB)商品である。PB「DCMブランド」はナショナルブランドより粗利利率が高く、2025年度上期の構成比30%から2030年度に50%まで引き上げる方針だ。規模の経済を活かした仕入れ効率化や物流最適化に取り組み、統合オペレーションによるローコスト運営が強みとなる。また、ホームテックのM&Aによりリフォーム事業を本格拡大し、「生活快適化総合企業」への進化を図っている。

2026年2月期第2四半期(中間期)の業績は、営業収益2,803億円(前年同期比2.6%減)、営業利益208億円(同1.1%減)と減収減益で着地した。北海道・東北地域で3〜5月の気温が低く春商戦が出遅れたほか、前期の南海トラフ特需の反動減、夏季の猛暑影響など、天候要因が売上に逆風となった。販管費についてはコスト抑制を進めたことによって、オペレーション効率化の成果が表れている。一方、当期純利益はシンジケートローン手数料削減により121億円(前年同期比3.6%増)と微増を確保した。

部門別では全体的に伸び悩みが見られたものの、PB商品は利益貢献が大きく、既存店売上の弱含みを補完した。さらに、グループインしたケーヨーが営業利益率で6〜7%改善し、統合効果が顕在化している。粗利利改善(商品統一)とオペレーション改善によるコスト削減が進んでおり、9月にグループインしたエンチョーでも同様の効果が期待される。仕入れ、物流コストの上昇にも、適正価格販売と商品MDの工夫により吸収する姿勢を貫いている。

今期の通期見通しは、営業収益5,536億円(前期比1.7%増)、営業利益350億円(同5.3%増)と増収増益を計画し、現時点で計画の据え置きを発表している。上期は営業利益が想定を約10億円下回ったが、PB強化とコスト見直しにより通期ベースでの利益確保を見込む。下期からエンチョーの5カ月分を取り込む予定で、売上押し上げ要因となる。市場としてはホームセンター全体の成長は鈍化しているが、DIY需要、生活必需品の底堅さ、住環境改善ニーズは継続しており、中期的には安定した需要環境が続くと見る。

競合他社との比較では、全国900店規模の店舗網を持つDCMは購買力・物流網・PB開発力で優位性が高い。カインズ、コメリ、コーナン商事など大手がPBを強化する中でも、規模メリットを活かした統合オペレーションは容易に模倣できない強みだ。さらに、M&A後のPMI(統合プロセス)を短期で成果につなげる実行力はケーヨーの改善により実証されており、今後の再編局面でも競争力を持つと評価できる。

同社は「第3次中期経営計画(2023-2025年度)」の最終年度を迎えているが、円安による原価上昇や人件費の増加で利益計画は下方見直しとなった。一方で、PB商品の強化、店舗オペレーションの統一・効率化が着実に進み、収益基盤はむしろ強化されてきた。店舗戦略では、大型店においてレジャー、DIY、ペット関連など専門店化を進め、中型・小型店は改装と効率化を実験的に推進。地域特性を踏まえた多様な店舗フォーマットを再構築している。

M&Aは今後も積極的に推進する方針で、ホームセンターを中心とした事業統合でスケールメリットを最大化しつつ、リフォーム事業を全国に広げることで住生活関連のサービスプラットフォームとしての価値向上を図る。リフォーム市場は人口減少下でも一定の需要が見込める分野であり、長期的な成長領域として位置づけられる。

株主還元方針は、配当性向35%を基本とした利益成長に応じた増配を目指す。2026年2月期は年間46円の配当を計画。さらに将来的には配当性向40%を視野に入れ、自己株式の取得も機動的に検討、総還元性向70%をターゲットとする。現状PBRは0.7倍と割安水準にあるが、次期中計で資本効率の改善が期待される。PB比率引き上げや店舗統合効果が進む中、収益性改善による株価のリバリュー余地は大きい。

総じて、DCMホールディングスは国内トップクラスのスケールと高い統合能力を武器に、PB強化とM&A、店舗改革を通じて収益基盤を再構築している。ホームセンター市場が成熟局面にある中で、リフォーム事業とPB戦略という成長エンジンを持ち、ROE改善とPBR1倍回復に向けた着実な成長が期待できる。中長期的な利益成長と還元両面で注目したい。

<HM>

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