*12:07JST プリモGHD Research Memo(7):国内事業の既存店成長と海外事業の市場開拓を加速(1)
■プリモグローバルホールディングス<367A>の中長期の成長戦略と財務戦略
1. 中長期の成長戦略
(1) 中期経営計画の重要KPI
中期経営計画では、2024年8月期から2027年8月期に、持続的な高成長と収益性の向上を目指す。連結売上収益はCAGR5〜7%、連結事業利益は同10〜15%と、利益成長を売上成長よりも高いレンジに設定しており、最終期における事業利益率は12%以上に引き上げるとし、収益力の改善を伴う成長を志向する。また、資本効率の明確な向上を経営目標に据え、最終期におけるROEは13%以上を目指す。すなわち、高収益体質への転換と資本効率改善を同時に実現する戦略である。
(2) 国内事業戦略:既存店舗の収益力向上と顧客基盤の深耕を加速
国内事業戦略は、既存店舗の収益力向上を主軸とする。店舗運営の高度化においては、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の改善、すなわち店舗の「見せ方」と「顧客体験の設計」の見直しが重要な施策である。具体的には、店舗移転・改装を通じて商品の配置や陳列方法を最適化し、顧客が比較検討しやすい環境を整えるとともに、店内の動線や滞在空間を工夫することで接客機会を最大化する。また接客ブースの個室化などで顧客が集中して検討できる環境を整備するほか、照明や内装、什器を含めた空間全体でブランドの世界観を表現し、価格以上の価値を感じさせる顧客体験を提供する。ブライダルジュエリーは購入に至るプロセスにも価値がある商材であり、こうした取り組みが成約率及び客単価の向上に直結する。
加えて、デジタル技術の活用や人財育成により接客品質の底上げを図る。AIを活用した教育支援などを通じて接客スキルの平準化と高度化を進め、どの店舗においても価値の高い顧客体験を提供できる体制を構築する。また、「I-PRIMO」と「LAZARE DIAMOND」のブランドポートフォリオの最適化により、顧客の価格帯・嗜好に応じた対応力を強化し、取り込み可能な顧客層を拡大する。
さらに、CRMの強化にも取り組んでいる。年間約4万組の既存顧客に対してアニバーサリージュエリーの提案などを行うことで、リピーター顧客の創出を進めている。ブライダルにとどまらず、結婚後の記念日等の各種ライフイベントに応じて継続的な関係を構築することで生涯顧客化を図るとともに、利益率の改善を図る戦略である。以上の施策により、国内事業は単なる店舗拡大にとどまらず、既存顧客基盤の高度活用を通じた収益性向上を目指す。
(3) 海外事業戦略
海外事業では、日本国内で培ってきた「高品質な商品」「きめ細やかな日本式おもてなし」「ブライダルジュエリー専門店としての高いブランド力」を競争優位の源泉としている。これを台湾、香港、中国本土、シンガポールへと段階的に移植し、接客品質や顧客体験まで含めた事業モデル全体を水平展開している。
現在、台湾では「I-PRIMO」に加えて「K.UNO」や「STAR JEWELRY」を展開し、マルチブランド戦略により収益基盤を強化している。中国本土では既存店の収益性改善と新規出店の再開が重要なテーマである。特に圧倒的な人口を背景としたポテンシャルを持つ中国本土事業は、景気低迷の影響を受けて一時的に苦戦したものの、営業体制の見直しや現地マネジメントの最適化、マーケティング施策の再構築により収益性が大きく改善し、2025年8月期に当初計画より早期に黒字化を達成した。この結果、2025年11月の鄭州市出店に続き、2026年4月には北京市及び杭州市へ新規出店を実施した。中国本土事業の収益改善を背景に、2027年8月期に予定していた3店舗の新規出店を2026年8期に前倒ししており、成長投資を再加速している。
加えて、中国本土では有力な高級商業施設側から複数の出店要請を受けており、ブランド認知の向上と収益性改善の両面で好循環が生まれている。これは優良立地への選別的な出店が可能になっていることを意味しており、資本効率の観点からも重要である。
さらに中国本土の次の成長軸として位置付けられているのが東南アジアである。シンガポールに続き、2026年にはマレーシアへの進出を予定している。これを起点としてインドネシア、ベトナムなど周辺国への展開も視野に入れている。マレーシアについては、まず数年間は年間1店舗程度の慎重な出店を進め、現地での収益性と事業モデルの再現性を確認しながら拡大する方針である。その後、成功事例を蓄積しながら出店ペースを加速させ、新たな海外収益基盤へと育成する。まずは、2026年6月にクアラルンプールにおいて出店したマレーシア1号店の動向に注目したい。
同社は、台湾、香港、中国本土、シンガポールでの展開を通じて、海外においても「日本式おもてなし」による接客モデルが十分に通用することを実証してきた。したがって、今後の海外戦略はゼロから市場を開拓する段階にはなく、既存の成功モデルを効率的に再現・拡張するフェーズにある。海外事業は国内事業で磨き上げたビジネスモデルを活用できる高成長領域であり、国内の深耕戦略と対をなす中長期的な企業価値向上の主たるドライバーとして位置付けられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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