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FX自動売買「少額運用」の落とし穴 元手数千円では始められない…他

 FX自動売買を少額で始めることで、得られるメリットも多いが、FX初心者がハマってしまう落とし穴も…。ここでは「最新のFX自動売買ツール比較」の記事で紹介しているFX自動売買を少額で活用する方法、注意点を紹介する。

    【目次】

  1. 1.初心者がハマる? FX自動売買「少額運用」の落とし穴4選
    1. 元手が数千円程度では始められない場合も
    2. 利益が貯まるまで時間がかかることも
    3. 注文1本あたりの損失額は抑えられるが、低リスクではない
    4. 自分に合わない自動売買ツールで運用してしまう
  2. 2.FX自動売買の少額運用で得られるメリット4つ
    1. 含み損に耐えられる余力が増す
    2. 仕掛ける注文の価格帯を広げ、相場対応力を向上
    3. 稼働する自動売買プログラムを増やせる
    4. 注文本数の密度を上げ収益チャンス増
  3. 3.FX自動売買の少額取引方法は2つ
    1. 注文1本あたりの取引量を1000通貨単位の少額にする
    2. 注文数を減らして運用額を少額にする

初心者がハマる? FX自動売買「少額運用」の落とし穴4選

【FX自動売買の少額運用で注意したい点】

  • 元手が数千円程度では始めにくい
  • 利益が貯まるまで時間がかかる
  • 注文1本あたりの損失額は抑えられるが、低リスクではない
  • 自分に合わない自動売買ツールで運用してしまう

 FX初心者が自動売買を少額で実践する上で気を付けたい点を4つピックアップする。

元手が数千円程度では始められない場合も

FX自動売買ループイフダンの収益イメージ

複数の注文を使用するため、運用資金は膨らみやすい
(ループイフダンの過去実績ランキングより、クリックすると拡大)

 FX自動売買は、1本の注文なら数千円程度でも始めることはできるが、実践できる戦略の幅は狭い。

 近年、人気を集めている発注系・リピート系においては、複数本の注文を使うことを基本とする自動売買ツールが多く、また自動売買は裁量取引よりもポジションを長く保有することが多いため、含み損を抱えることも一般的。こうした自動売買で実践する場合、数千円程度の最低必要証拠金ギリギリの元手資金で始めたとしても、強制ロスカットに陥りやすいため、まともな運用は難しいだろう

利益が貯まるまで時間がかかることも

FX自動売買トライオートFXの収益イメージ

時間をかけてコツコツ利益を稼ぐことで大きな収益を目指す自動売買も
(トライオートFXの過去実績例、クリックすると拡大)

 利益をコツコツ稼ぐ発注系・リピート系自動売買においては、1回あたりの利益額は数百円、数千円となるケースも多く、ある程度の利益が貯まるまで時間を要することもある。どういった戦略で自動売買を活用したいのか、運用を始める前にしっかり考えておこう。

 FX初心者でも始めやすいといわれる「目先の相場を予想しないかわりに、幅広い価格帯に注文を多数仕掛け、取引回数を重ね、小さな利益を積み上げる」という自動売買の運用スタイルでは、数か月、年単位で利益を狙う戦略になる。

注文1本あたりの損失額は抑えられるが、低リスクではない

 複数本の注文を活用するケースが多い自動売買で、注文1本あたりを少額にして始めたとしても、何十万円といった多額の損を被らないとは限らない。

 自動売買は、FX初心者でも裁量取引より多い注文本数で始めるケースも多く、また中長期で運用するスタイルも多いため、戦略とは異なる相場変動をすると、じわじわ含み損を膨らます可能性があるという点は把握しておこう。

 しかし自動売買の少額運用は損失額を減らせる点に限らず、戦略の幅を広げられる点にも目を向けたい。これは後述の「少額のFX自動売買で得られるメリット4つ」を参照。

自分に合わない自動売買ツールで運用してしまう

「幅広い価格帯から収益チャンスを狙う」「直近で発生しているトレンド相場を狙う」など、自動売買を活用するための目的はトレーダーごとに様々だろう。

 FX自動売買は目的に応じた戦略を実行するために合うツールを選ぶようにしたい。少額OK、簡単に始められる、低コスト、過去実績がすごい、などの表面的な特徴だけで自動売買ツールを選ぶと、考えていた戦略とは違う運用になる可能性がある。

 少額で自動売買を始める上でも、まずは自分がどのような自動売買を実行したいのかを確認し、自動売買ツール選びをした方が賢明だろう

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FX自動売買で稼げない人の行動とFX自動売買で稼ぐコツ・注目ポイント

FX自動売買の少額運用で得られるメリット4つ

【FX自動売買の少額運用で得られるメリット4つ】

  • 含み損に耐えられる余力が増す
  • 仕掛ける注文の価格帯を広げ、相場対応力を向上
  • 稼働する自動売買プログラムを増やせる
  • 仕掛けた価格帯の中の注文数を増やし、収益チャンスUP

 少額で取引する自動売買は、損失額を10000通貨などで取引するよりも抑えられる以外にも様々なメリットがある。自動売買の運用戦略を広げる少額取引の活用方法を見ていこう。

含み損に耐えられる余力が増す

 1本あたりの注文を少額にできれば、損益額が小さくなり、運用に必要な資金も減るため、含み損に耐えられる余力が増す。これは発注系・リピート系自動売買でもシストレ系自動売買のどちらにも共通している。

 FX自動売買は大損を被り、含み損を抱えながらでも、コツコツ利益を稼ぎ収益をプラス圏にもっていくことは可能なので、相場から退場させられてしまうことには細心の注意を払う必要がある。自己資金に対して無理のない範囲内で損にも耐えられるよう、少額取引を活用した運用を検討したい。

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自動売買の適切な初期資金を考察

仕掛ける注文の価格帯を広げ、相場対応力を向上

FX自動売買トラリピの注文イメージ

広い価格帯に注文を仕掛けると運用対応力はUPする
(トラリピの設定画面より、クリックすると拡大)

 発注系・リピート系自動売買では、1本あたりの注文における取引量を少額にし、その分の余剰資金で注文本数を増やした戦略を実践することも可能。

 注文本数を増やすにあたり、仕掛ける価格帯を広げるようにできれば、戦略の寿命を延ばすこともできる。例えば1ドル=100~120円の間に1円間隔で、5000通貨の買い注文を20本仕掛けていた場合、1ドル=80~120円の間に1円間隔で1000通貨の買い注文を40本仕掛ける戦略に変更するというイメージ。

 2020年3月のコロナ・ショックでは一時1ドル=100円近辺まで下落したが、もし注文を仕掛けていた価格帯が1ドル=100円までなら、パニックに陥った可能性もあるが、1ドル=80円まで仕掛ける戦略であったなら、まだ下落に耐えられる余地はある。このように仕掛ける注文の価格帯を広げることは、急変相場への対応力を向上させることだけではなく、メンタルへの負担も軽減することが可能だ

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稼働する自動売買プログラムを増やせる

 シストレ系自動売買においても少額取引を活用することで、稼働させる自動売買プログラムを増やすこともできるだろう。

 稼働できる自動売買プログラムを増やし、別の通貨ペアからの利益を狙うこと、同じ通貨ペアでも異なるトレード方法を実践する自動売買プログラムを追加で稼働させられるなど、戦略のバリエーションを広げることができる。

仕掛けた価格帯の中の注文数を増やし、収益チャンスUP

 発注系・リピート系自動売買で、少額注文を行い元手資金に余剰ができれば、「注文を仕掛けた価格帯の中の注文数を増やす」方法も考えられる。

 例えば1ドル=100~120円の間で20本の注文を仕掛けていたが、40本の倍にすることで、収益チャンスを増やすことも可能。1円間隔で配置していた注文が50銭間隔や20銭間隔など狭まることで、小さな値動きからもコツコツ利益を稼ぐことができるようになる。

 ただし狭い間隔で注文数を増やした場合、注文を仕掛けたエリアから価格が外れると、含み損の額が一気に膨らむリスクもある。この戦略を検討するなら、「過去数年の高値・安値」や「もし注文を仕掛けたエリアから価格が外れた場合、現状の資金ではどの価格帯までなら強制ロスカットにならないか」などを運用前に調べ、リスク・リターンのバランスを把握した上で、実行するかどうか考えよう。

FX自動売買の少額取引方法は2つ

【FX自動売買の少額取引方法は2つ】

  • 注文1本あたりの取引量を1000通貨単位の少額にする
  • 注文数を減らして運用額を少額にする

 FX自動売買で少額運用を行う場合、2つの方法が考えられる。

注文1本あたりの取引量を1000通貨単位の少額にする

 自動売買で使用する注文1本1本の「取引量」を1000通貨単位にすることで、少額の自動売買が可能。

 発注系・リピート系においては、戦略で使用する注文本数が50本や100本と大量になるケースもあり、1本あたりの注文数は用意する資金に大きく影響する。シストレ系自動売買においても、注文数を10000通貨単位で取引する場合と1000通貨単位で取引する場合では必要な資金に大きな影響を及ぼす。

発注系・リピート系自動売買における取引量の調整方法

 発注系・リピート系自動売買は、注文の設置に関する設定をする画面において、「注文金額」や「取引数量」という項目にて、注文1本あたりの取引量を調整することができる。

 過去実績が良い設定をランキング形式で紹介している自動売買ツールでは、その設定をそのまま活用することができる会社も多く、その実績の良かった設定で自動売買を稼働する際には、1本ずつ注文の取引量を調整することができないケースもある。例えばインヴァスト証券の自動売買セレクトにおいては「セット数」というかたちで、注文全体の取引量を一括で調整できるが、最終確認画面で1本あたりの注文が何通貨で取引されるかは必ずチェックしよう。

シストレ系自動売買における取引量の調整方法

 シストレ系自動売買においては、取引を任せる自動売買プログラムを選び、稼働をするかどうかの最終確認画面の1歩手前ぐらいで、取引量を調整することが可能。

 会社によっては最低取引量が5000通貨で、5000通貨以降は1000通貨単位で調整できるという自動売買もあるので注意。

注文数を減らして運用額を少額にする

「注文本数」も運用資金に関係する。自動売買は複数の注文を活用することが基本となるので、少額運用を行いたいなら注文本数にも注意を払いたい。

 注文本数は多ければ多いほど、収益チャンスを増やすこともできるが、リスクも同等に増える可能性があり、また用意する資金も膨らむ。初心者の場合、注文本数は儲けたい金額よりも、すべての注文が設置された場合どれくらいの損を最大で抱える可能性があるのかを考慮して決めた方が賢明だろう。

発注系・リピート系自動売買における注文数の調整方法

 発注系・リピート系の注文設定をする画面で、何本の注文を設定するか自身で入力できる場合と自動で注文数は決められてしまう場合がある。

サービス名(会社名)

注文数の決定方法

トラリピ

(マネースクエア)

手動で何本の注文を設置するかを設定することが可能 詳細⇒

トライオートFX

(インヴァスト証券)

「自動売買セレクト」の画面からは注文数を設定することはできない。手動で注文数を決められる「ビルダー」では設定が可能 詳細⇒

ループイフダン

(アイネット証券)

「最大ポジション数」にて設置する最大注文数は設定可能 詳細⇒

トラッキングトレード

(FXブロードネット)

「自己資金」と「対象期間のボラティリティ」から注文数は自動で決定される 詳細⇒

iサイクル2取引

(外為オンライン)

「自己資金」と「対象期間のボラティリティ」から注文数は自動で決定される 詳細⇒

サービス名
(会社名)

注文数の
決定方法

トラリピ

(マネースクエア)

手動で何本の注文を設置するかを設定することが可能 詳細⇒

トライオートFX

(インヴァスト証券)

「自動売買セレクト」の画面からは注文数を設定することはできない。手動で注文数を決められる「ビルダー」では設定が可能 詳細⇒

ループイフダン

(アイネット証券)

「最大ポジション数」にて設置する最大注文数は設定可能 詳細⇒

トラッキング
トレード

(FXブロード
ネット)

「自己資金」と「対象期間のボラティリティ」から注文数は自動で決定される 詳細⇒

iサイクル2取引

(外為オンライン)

「自己資金」と「対象期間のボラティリティ」から注文数は自動で決定される 詳細⇒

シストレ系自動売買における取引量の調整方法

 シストレ系自動売買は、選んだ自動売買プログラムの「最大注文数」に応じて、注文数は決定される。最大注文数が4の自動売買プログラムの場合、4本の注文を発注してしまう可能性がある。

 しかし、最終確認画面などで選んだ自動売買プログラムの最大注文数を減らすことも可能なので、注文数を調整する際は確認画面で設定をするといい。

まとめ

 FX自動売買を少額で運用する際に、初心者がハマってしまう可能性のあるポイントを注意し、メリットをうまく活かすことができれば、多彩なFXのトレードが可能になる。

 少額・簡単というキーワードだけに注目せず、FX自動売買の仕組みや戦略を理解した上で、運用を検討したい。上辺だけの自動売買の魅力に惑わされては、かえって大損するリスクを抱える可能性があるので、十分注意したい。

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