過信は厳禁! FX自動売買の「勝率」に潜む落とし穴
公開日:2019年2月20日 8:00
最終更新日:2021年6月16日
FX自動売買には勝率を過信して失敗する例も見られる。勝率は魅力的に思える数値だが、FX自動売買においてはどのようにとらえればいいのだろうか。ここではFX自動売買の勝率の落とし穴や初心者がその失敗を回避するための対策を紹介する。
勝率100%は罠? FX自動売買に潜む勝率の落とし穴
FX自動売買の勝率だけを信じると、落とし穴にハマる可能性がある。FX自動売買の勝率に関する考え方を紹介する。
勝率100%は意図的に調整できる?
FX自動売買の勝率は「特定期間中の決済損益」で表すことが多い。この場合、例えば期間中に10000円の利益をたった数回稼ぎ、100万円の含み損を抱えていようが損切をしていなければ、勝率は100%。そうした利益額は含み損を換算していない「実現損益(決済した損益)」という言葉で表現する場合もある。
取引回数が数か月で5~6回といった極端に少ないケースでも、同様の方法で勝率の見栄えをよくすることは可能だ。
FX自動売買は「評価損益」「運用期間」なども見る
FX自動売買における勝率を過大評価してはいけない。自動売買プログラムや設定の評価損益や運用期間なども確認し、総合的に優劣を判断すべきだろう。また、勝率は過去の実績であり、今後の相場でも利益を出せる期待度を表すわけではないので注意しよう。
FX自動売買で勝率にこだわり失敗する例
FX自動売買には「システムトレード(シストレ)」と「自動発注系・リピート系」の2種類がある。それぞれのツールで勝率にこだわり失敗する例を紹介する。
「シストレ」の勝率で失敗する例
【シストレの勝率で失敗する原因】
- 利益額+勝率だけでプログラムの優劣を判断している
- プログラムの取引期間が短期
- 取引回数が少ない点を見落とした
- 含み損を見ていない
シストレは自動売買プログラムに取引を任せる。勝率が高いプログラムを選んだのに、自分が稼働してからは負けが続く…。こうしたケースは初心者が勝率や利益額だけ注目している場合に多いだろう。シストレは自動売買プログラムの勝率だけではなく、複数のポイントをチェックすべき。
「発注系・リピート系」の勝率で失敗する例
【発注系・リピート系の勝率で失敗する原因】
- 評価損益を見ていない
- 目先の利益を狙うだけの設定かどうかの確認漏れ
- 今後の相場で通用するかどうかを見落としている
発注系・リピート系において「勝率の落とし穴」にハマる人は、「含み損を抱えることが多い」という点を知らない場合もある。勝率は取引した回数内の利食いした数で算出され、そこには評価損益(含み益や含み損)が換算されない。勝率は、発注系・リピート系を実践する上で最も重要な「評価損益」が抜け落ちている数値なので、注意しなくてはいけない。
FX自動売買のプログラムや設定で見るべきポイント
FX自動売買のプログラムや設定は、勝率だけではなく見るべきポイントがいくつかある。初心者がまずはチェックしておきたい箇所を紹介する。
自動売買プログラムのランキングや他の投資家の自動売買設定を見るときの参考にしてほしい。
「シストレ」のプログラムで注目したい3つのポイント
【シストレの自動売買プログラムで見るべきポイント】
- プログラムの稼働期間
- 取引回数
- 取引の特徴
シストレの自動売買プログラムを選ぶ上で、まず注目すべきは「プログラムの稼働期間」「取引回数」「取引の特徴」の3つ。
プログラムの稼働期間
プログラムの稼働期間は3か月程度のルーキーよりは、2年、3年は稼働しているベテランの方が、様々な相場を経験して、生き残っている可能性がある。少なくとも1年は稼働しているかどうかはチェックしよう。
取引回数
取引回数は「何回以上ならOK」という基準は明確にないものの、1年間で取引が数回といった周りと比べて極端に少ない自動売買プログラムは注意したい。
また、プログラムの取引回数を見るときは、「稼働期間+取引回数」のセットで見るように。自動売買プログラムというのは、必ずしも毎月○回は均等に取引するわけではなく、チャンスがあるときに取引をするので、月ごとの取引回数がバラバラの場合もある。
取引の特徴
自動売買プログラムには例えば「大きく利幅を狙うタイプ」「コツコツ利益を稼ぐタイプ」といった売買の癖があるので、自分が理想とする取引スタイルのものを選ぶといい。
また、「上昇相場のときに利益を伸ばしている」「下落相場が得意だな」というように、過去の相場の値動きに対しどのような相場と相性がいいというポイントも見ておくと参考にできるだろう。今後も同じような相場が来た時に、同等の利益を狙えるかもしれない。
「発注系・リピート系」の設定で注目したい4つのポイント
【発注系・リピート系の設定で見るべきポイント】
- 取引期間
- 注文を仕掛ける価格帯・幅
- 1本あたりの取引量
- 評価損益
発注系・リピート系の設定においては、「取引期間」「注文幅」「1本あたりの取引量」「評価損益」の4点は見ておこう。
取引期間
発注系・リピート系は3か月や半年以上は稼働しないと、その設定の良し悪しは判断しにくいだろう。中長期の運用戦略における1週間や2週間での利益額は、その設定が今後も通用するかどうかの参考には全くならないので注意。
注文を仕掛ける価格帯・幅
発注系・リピート系は、幅広い価格帯に注文を仕掛ける戦略が多い。例えば1ドル=65~125円に買い注文を仕掛ければ、長期の運用戦略として考えられる。1ドル=100~110円に仕掛けた場合は、65~125円よりはカバーできる範囲が狭くなるので、短期的な運用とわかる。
こうした注文幅は、「自分が稼働したあとも、その範囲内の推移で収まるか(戦略を同じように再現できるか)」という判断の基準となりうる。1年前まではその注文幅でよくとも、今年からは全く違う相場になっていれば、その設定は今の相場では優秀ではない、という可能性もあるのだ。
1本あたりの取引量
1本の注文の取引量は、リスク・リターンとも密接に関連する。例えば1回の取引で数万円の利益を得られた場合、1本あたりの取引量は大きくしている可能性がある。
発注系・リピート系の場合、1つの注文を10000通貨や10万通貨で長期的に運用する場合、何百万円、何千万円という資金が必要となる。長期で運用する場合は、1本あたりの注文の取引量を10000通貨未満で設定することも散見される。
大きい利益額を短期的に得られたことをアピールしている場合、それは短期的な設定の可能性もある。
評価損益
利益額だけではなく評価損益もどれくらいなのか調べるようにしよう。発注系・リピート系自動売買は含み損を背負うことが多いので、含み損があるからと敬遠する必要はない。
過去実績を見る上で、含み損が見られない場合は、「注文を仕掛けた価格帯」「取引期間」からある程度推察することはできる。例えば2019年4月の1ドル=111円前後で推移しているときに「買い」で運用をスタートしたとわかれば、2020年3月9日にその設定を見た場合、1ドル=102円台まで下落したときなので、相当含み損を抱えている可能性がある、ということはわかる。
まとめ
FX自動売買の勝率は全く参考にならないわけではない。自動売買プログラムにおいて、勝率20%以下でも大きく利益を残しているものは珍しいだろう。ただし、勝率にはトリックが隠されている場合もあるので、本記事で紹介したように、自動売買プログラムや設定を見るときは様々な要素を確認するようにしよう。
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