ビットコイン他「仮想通貨」の基礎知識 法定通貨との違いは?
2017年11月16日 20:00

ビットコインの取引価格が1年で約10倍に上昇しており、仮想通貨への注目度が日増しに高まっている。とはいえ、その一方で、ビットコインをはじめとする仮想通貨とはどんなものか、その実態を知らない人も少なくないのではないか。そこで、フィスコデジタルアセットグループ代表取締役でビットコインアナリストの田代昌之氏に、仮想通貨とは何かを解説してもらった。
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ビットコインに代表されるネット空間で存在している通貨を「仮想通貨」と呼ぶ。その仮想通貨と従来からある日本円や米ドルなどの「法定通貨」との一番の違いは、仮想通貨には「紙幣」や「硬貨」といった実態がないことだ。
法定通貨は「米ドル」「日本円」「ユーロ」といったように国や地域ごとに様々な種類が発行されているが、仮想通貨も同様にたくさんの種類が発行されている。ビットコイン以外で知られている仮想通貨には「イーサリアム」や「リップル」などがあるが、ほとんど知られていないものまで含めると、1000種以上が発行されているといわれる。
なかでも、ビットコインは全仮想通貨の時価総額のうち約7割を占める圧倒的な存在だ。また、ビットコイン以外のすべての仮想通貨のことを「アルトコイン(代替コイン)」と呼ぶことも、ビットコインが仮想通貨のなかでいかに特別な存在であるかを示している。そこで、ビットコインを例に仮想通貨の基礎知識を紹介してみたい。
従来の通貨に「円」「ドル」などの通貨単位があるように、ビットコインにも通貨単位がある。それが「BTC(ビーティーシー)」だ。米ドルに「ドル」以下の単位として「セント」があるように、BTC以下の「Satoshi(サトシ)」という単位もある。1Satoshiは1BTCの1億分の1で、ビットコインの最小単位となっている。
ちなみに、「サトシ」という単位は、ビットコインを考案したとされるサトシ・ナカモト氏にちなんだもの。ビットコインは、同氏が2008年にネット上に発表した論文をもとに生まれた。だが、名前からは日本人とも思える同氏が何者なのかは特定されていない。偽名と考える人も多く、日本人ではないとの見方が大勢を占めている。
ビットコインと法定通貨には、紙幣や硬貨がないこと以外にも違いがある。例えば、日本円は「日本銀行」、米ドルは「連邦準備制度理事会(FRB)」といった中央銀行、つまりは国が通貨発行の役割を担っている。ところが、ビットコインに発行主体は存在しない。発行・管理に、どこかの国が関与しているわけではないのである。そのため、法定通貨は基本的にその国・地域だけで使われるのに対して、世界中どこでも使える。国境に縛られない“世界共通通貨”といえるのだ。
また、法定通貨、例えば日本円は発行上限が決められていない。中央銀行である日本銀行が紙幣を刷れば、世の中に流通する日本円の総量をいくらでも増やすことが可能だ。だが、ビットコインは発行上限が2100万BTCと決められていることも法定通貨との大きな違いだ。