ビットコインvsリップル 仮想通貨の世界に存在する二大勢力
2018年3月8日 20:00

3月1日、トランプ大統領が鉄鋼・アルミに高関税を課す方針を明らかにしたことで、貿易摩擦や保護主義とグローバリズムの対立懸念が台頭。
先月比で-3.85%と大きく下落したNYダウをはじめ、世界中の株価が下落ムードに包まれる中、ビットコイン価格は3月3日に先月比+29.83%となる120万円台まで上昇した。
グローバルマーケットの避難先として、仮想通貨の上昇機運が高まっているが、仮想通貨の世界にも、2つの勢力がしのぎを削っていることをご存知だろうか。
非中央集権型と中央集権型の仮想通貨
過去から現在に至るまで、あらゆる事象は二項対立を繰り返しながら成長を続けてきた。
たとえば、保護主義に傾く米国と、グローバリズムを維持する中国は世界経済に影響を与える激しい対立を繰り広げている。力が弱まった国が内向きの保護主義となり、力を蓄えた国が外に出ようとグローバリズムに傾くという国家間の強弱関係は、いつの時代も繰り返されてきた現象だ。
一方、仮想通貨の世界でも2つの勢力がある。
ひとつは、非中央集権型と呼ばれる「パブリック・ブロックチェーン」という派閥で、もうひとつが、中央集権型の「プライベート・ブロックチェーン」と呼ばれる派閥である。
パブリック・ブロックチェーンの仮想通貨には開発者の代表がおらず、ネットワーク上で自由な開発と監視が可能なため、供給量と価値を変動させることができない。パブリック・ブロックチェーンの代表例が「ビットコイン」である。
プライベート・ブロックチェーンの仮想通貨は、開発者の代表がおり、供給量の操作を代表が行うことができるため、その価値は法定通貨の仕組みと変わらない。代表例は「リップル」だ。
この二大勢力を見ると、かつてのビデオ戦争と呼ばれたVHS対ベータマックスの規格統一争いを思い出す。結局、この戦いに勝利したのは、製造が容易で家庭への普及、量産化をスムーズに行い、低価格化による映像コンテンツの充実を実現させ、多数派を占めたVHSであった。
ベータマックスの敗因は、画質と機能性ではリードしながらも、一般ユーザーのニーズを聞き取らなかったことにある。「政治は数であり、数は力、力は金だ」という田中角栄元首相の言葉が頭をよぎる。
数の論理が歴史を作るのならば、パブリック・ブロックチェーンとプライベート・ブロックチェーンについても、ジャッジを下すのは大多数のユーザーということになるだろう。どちらの勢力が優勢かを判断するには、まだ時間が必要だ。
新しい技術が2つのグループに派生し、そこから様々な仮想通貨が新星のごとく誕生している。
時代の潮流を読み、多くのユーザーの渇望と、心のささやきをいち早く察知した側が、歴史の勝者となるだろう。どの仮想通貨に投資するかということは、2つの陣営のうちどちらを選ぶかの選択でもある。
【PROFILE】天空の狐:IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。オルタナティブ投資のメディア「ALTS Investor Media」でもマーケットレポートを配信中。Twitter:@firmamentfox