国内業者6社に行政処分 ビットコインは最安値64万円を狙う展開だが…
2018年6月28日 20:00

IFTA認定のアナリストで仮想通貨の投資家としても活躍する天空の狐さんが、仮想通貨関連の注目ニュースをピックアップ。今の仮想通貨相場についても解説する。
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【仮想通貨NEWS】大手含む国内仮想通貨交換業者が行政処分
6月22日、金融庁は国内の仮想通貨交換業者6社に対して、行政処分を下した。国内最大級の仮想通貨交換業者のbitFlyerも対象に含まれたこの報道は悪材料にとられ、1日でビットコインの価格が約9%も下落。
一方で、同日、東京地裁はマウントゴックスの民事再生の手続き開始を決定。同社はそれまで破産手続きを進める予定で動いており、保有の約20万ビットコイン(1400億円相当)を現金化する可能性もあった。この現金化による「相場への大きな売り」リスクが懸念されていたものの、その心配は後退したため、長期下支えの材料と市場には好感された。
マウントゴックスの事件や今回の金融庁の行政処分もそうだが、仮想通貨の変動要因には技術的リスクが伴う。株やFX、商品取引など、従来の金融商品よりも未成熟な点もあるため、技術的リスクが頻繁に表れるのは仕方がない。
なかでもマネーロンダリング(資金洗浄)においては、世界的に注意を払っている。IMF(国際通貨基金)やFATF(金融活動作業部会)といった国際的組織が、顧客確認(KYC)から「疑わしき取引がないか」の報告義務などを各国に求めている。
マネーロンダリング防止対策として行われる、ダークネットといわれる不法取引から生まれたネットワークの解析、仮想通貨のブロックチェーンの記録データを追跡などが、新たな技術開発の創造を促し、より良い社会構造への糸口が見えてくると考えている。世界的な機構が対策に乗り出しているので、仮想通貨の普及と技術革新のスピードは想像以上に早くなるだろう。
【仮想通貨Market Watch】ビットコインは今年最安値の64万円近辺だが、長期目線では買い場となるか?
グローバルマーケットでは、アメリカ大統領トランプ氏が、EUからの輸入車に対して20%の関税をかけるとツイートしたとこで、世界景気の悪化不安から下落を呼び込み、特に自動車や製造業関連の下げ幅が拡大した。
エネルギー株は、OPEC(石油輸出国機構)が原油増産に合意したことで、原油供給見通しの安堵感からの買い材料となったが、ダウジョーンズは先週比から-2%安となった。また、25日ウォールストリートでは、米国のハイテク企業に対する中国企業の投資を禁止する報道など、市場全体で上値が重い材料が増えている。
米国、中国、EUの各国との貿易摩擦への懸念が広がり、日本も関税する可能性が高まりだしたことで、円高バイアスも重なり、仮想通貨ビットコイン円も短期で下落の傾向が強まった。各国の報復関税への応酬から、市場全体が下降トレンドを描く可能性が出てきた。
6月18日の週はビットコイン円は73~74万円台で推移し、市場心理の節目80万円台を探る値動きだったが、22日の行政処分などの悪材料の報道が先行され約65万円台までの急落を呼び込み、今年の最安値64万円台を狙う展開だ。
ビットコインのマイニング(発掘)の速度を表す指標「ハッシュレート」に目を向けると、強固な上昇をしている。これは多くのマイナー(採掘者)が参加し、信頼を集めているということも示しており、今回のビットコイン相場の下落はグローバルマーケットへの懸念に振られた、短期的な下落に過ぎず、長期資産としては信頼に揺らぎはないと考える。

グローバルマーケットは政治要因の報道に左右される状況が続くだろう。トレードの本質を見定めるために、どのようにマーケットと対話をするか、向き合う姿勢を律していきたい。仮想通貨は下落幅を拡大しながら、長期の買い場形成を待つ時期になり、梅雨明けを待つマーケットだ。
【PROFILE】天空の狐:IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。オルタナティブ投資のメディア「ALTS Investor Media」でもマーケットレポートを配信中。Twitter:@firmamentfox