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急なリフォームが必要になった高齢者が助かる「もらえる・借りられるお金」

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要介護認定を受けていれば浴槽のリフォームにも助成金が
要介護認定を受けていれば浴槽のリフォームにも助成金が

 69歳の男性Aさんは1年前、自宅の階段で転倒して膝を骨折してしまった。

「築40年以上の古い家だから階段が急で……それから膝が曲がりにくくなってしまって、やむなくリフォームを決めました。

 ところが、階段の勾配を緩やかにする工事には100万円以上かかるらしいんです。浴槽の段差を少なくするだけでも50万円、全面バリアフリーにすると800万円以上かかる。貯金が1000万円しかないので、階段だけリフォームしました」

 体が不自由になると、簡単に元には治らないだけに環境を整えていくしかない。そうした大規模なリフォームには相応の出費がつきまとう。そんな高齢者のために救いの手は用意されている。住宅ジャーナリストの山本久美子氏がいう。

「超高齢化社会への対応と在宅介護を促すために、自宅のバリアフリー化には各種の補助金や優遇制度があります。たとえば東京都は23区すべてでバリアフリー化工事費用を一部補助する制度が整えられています」

 新宿区なら「住宅改修費の支給」として「段差の解消」や「手すりの取り付け」などに上限20万円を助成する。要介護認定を受けていれば、「浴槽の取替え」「便器の洋式化」なども対象だ。

 また、65歳を過ぎるとローンを組めないことが多いが、リフォーム関連であれば融資を受けられるものがある。

「住宅金融支援機構の『リフォーム融資(高齢者向け返済特例)』は満60歳以上の人が部分的バリアフリー工事などを行なう際に組める、限度額1000万円のローンです。毎月の支払いは利息のみで、元金は申込人が亡くなったときに、家の相続人が一括して返金する仕組みです」(同前)

 たとえば1000万円を年利0.75%で借りた場合、月々の返済額は6250円となる。持ち主が亡くなると、家を相続した人が元金の1000万円を支払う。つまり、バリアフリーにかかった金額(借金)を、そのまま家屋と一緒に相続するというのだ。

 家の評価額が低い場合、融資額によっては妻や子に“負の相続”を残してしまう可能性もあるから、慎重な判断が必要だ。

 マンション住まいの場合、「大規模修繕工事」の費用を求められることも。

「マンションの共用部分を修繕する際、積立金では修繕費をまかなえず、管理組合が各戸に数十万円から100万円ほどの負担を求めることがある。

 修繕費が払えない場合には住宅金融支援機構の『マンション共用部分リフォーム融資』が使えます。これも1000万円が上限。月々の支払いは利息だけで、元金は相続人が支払います」(同前)

 家に住めなくなる、あるいは住む家を失うリスクを回避する方法として知っておきたい。

(*週刊ポスト2018年5月18日号)

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