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トランプ税制改革実現でドル高期待だが、目先はドル安な理由

公開日:2017年11月22日 17:00
最終更新日:2020年2月26日

来年の年初からドル高に?

 日本のニュースソースでは、トランプ税制改革はまだ実現が難しいという論調が強いです。しかし、筆者の私見としては、実現の可能性はかなり高まっているように見えます。

 税制改革の上院案と下院案には相違がありますが、埋められない相違ではないと思います。何れの案でも6兆ドル程度の減税、4.5兆ドル程度の増税の結果、ネット1.5兆ドルの減税と、規模的には同程度で揃っています。Tax Foundationの試算によると、何れの案でも米経済成長は年率0.4%ほど押し上げられる可能性も。

 年率0.4%程度の押し上げは、トランプ大統領就任当時の論調からするとかなり低いですが、米経済の好調さを考えると、十分すぎるアシストです。また、法人税の低下により、各国に逃げていた様々な資金が還流してくることになり、実際には0.4%以上の効果があると思われます。

 さて、この税制改革が為替相場にどの様な影響を与えるのか、考えてみましょう。

 このところドル円相場は米長期金利との連動を強めているので、トランプ大統領の税制改革でどの程度米長期金利が上がるのか、この点が重要です。

 債券市場はこの税制改革法案が通過することはある程度織り込んでいるはずなので、すごく米長期金利が上昇することもないのかもしれません。

 それでも現状の2.3~2.4%ということはないと思います。もう少し上、2.6%から上をうかがうことになるのではないでしょうか(筆者は債券の専門家ではないので、この点は債券のスペシャリストの方々の意見もご参考に)。

 ただ、米長期金利も重要ですが、トランプ大統領の税制改革ではいわゆる「リパトリ減税」というのも実現されます。税制改革が実現し、2018年1月1日から施行されるということが前提ですが、海外で得た利益を2018年に限り低率で(下院案で10%)で米国に送還できるというものです。

 現在、米企業は海外に300兆円程の資金を滞留させており、その資金の相当な部分が米国に戻る事になります。ただ、300兆円程とはいえ、そのかなりの部分(8割程と試算されている)は既にドルになっており、新たにドル買いしなければならない資金は見た目ほど多くありません(この点を誤解している人は多いです)。

 それでも、相当な金額であり、それが2018年に米国に戻ってくることになります。

 もう一つ重要なことは、毎年年末に米企業は利益を本国に送還することが多いのですが、2018年に入ると低い税率が適用されるということが見えています。そうなると、多くの企業の財務担当者は、利益を2017年中に米国に戻すのではなく、2018年になるのを待って戻すでしょう。

 米企業による本国への利益送還は結構な金額で、その影響もあり最近の年末はドル高傾向でした。今年の利益送還がないようであれば、年末のドル高はあまり期待できないのかもしれません。

 しかし年が明けると、利益送還を待たせていた資金が一気に米国に戻ることが予想され、来年1月はドル高になりそうです。1月のドル高期待が高まると、投機筋はその相場が動く前に行動するので、12月のある時点からドル高に向かうことになりそうです。

 すなわち、目先はもう少しドル軟調かもしれませんが、来年のドル高を見越して、どこかの時点からドル買いが入ってくる可能性は高いと思われます。


【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。市場参加者の動向やヘッジファンドの動き、外資系トレーダー等の動きは、メルマガ「志摩力男の実戦リアルトレード」で詳しく配信中。公式サイト(http://shimarikio-official.com/




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