2018年は円高リスクも 仮想通貨は右肩上がりの最終コーナー?
公開日:2017年12月13日 19:00
最終更新日:2020年2月26日

高名なヘッジファンドマネージャー、ドラッケンミラー氏は「今年(2017年)は、投資機会という意味でおそらく最悪の年」と、CNBCとのインタビューで述べました。
ソロス氏の片腕として毎年高いリターンを叩き出した彼の発言は、常に高い注目を浴びます。最近では、原油相場が100ドルを割り込み急落する前に、彼のファンドの関係者が原油価格暴落を見事に予想していました。
彼のファンドも今年は株式投資では好調なものの、マクロ投資、特に通貨に関しては運用成績が初のマイナスとなる可能性があるようです。それだけ、今年の為替相場は難しかったということでしょう。
実際、ドル円は年初の118円台からダラダラと調整し、9月に107円台を攻めましたが失敗、現状113円台とレンジの真ん中にいます。一般の方には馴染みはないですが、債券相場も難しかったと思います。年初は、米長期金利は3%をいつテストするのかという議論ばかりでしたが、結果的には米長期金利は低下を続け、現状ドル円同様、レンジの真ん中である2.4%前後です。
しかしながら、為替・債券投資以外では投資は活況でした。株式相場と、特に今年から注目を集めた仮想通貨に関しては、ただただ上昇する典型的な右肩上がり相場となりました。
仮想通貨の相場がどうなるのかというのは、今年も注目を集めるでしょう。多くの識者、いわゆる「偉い人達」がビットコインは「危険だ」「バブルだ」「詐欺だ」と言い続ける中で、20倍近く値上がりしています。最終的にどの様な結末を迎えるのか、興味深いものがありますが、個人的には2000年の米ITバブルに似ているなと感じます。
あの時も結論は見えていました。しかし「無価値」な株とわかっていて見逃すのも一つの見識かもしれませんが、バブルに「飛び乗り」「飛び降り」して財を作った人を何人も知っています。「どうしてバブルに参加しなかったのか?」その最中には本当に、参加していたに自分が間抜けなのかと思ってしまいます。
話をドラッケンミラー氏に戻しましょう。彼がソロスファンドを離れるきっかけになったのは、まさにそのITバブルのときでした。その年のソロスファンドは不調でした。マクロの為替、債券の運用が全く上手く行きませんでした。そこで、投資責任者であったドラッケンミラー氏は禁断のネット株への投資を敢行したのでした。
当初はものすごく上手くいきました。マイナスだったファンドのパフォーマンスも大きくプラスに転じました。しかし、ソロスほどのファンドになると、運用資金は巨額です。
逃げようと思ったとき、マーケットに彼らの売りを吸収できる買いオーダーはほとんどなくなっていました。逃げるに逃げられない状況に追い込まれたのです。
ドラッケンミラー氏は「ポジションをキープして、持ちこたえられれば、いずれまた相場は上がる」と主張しました。しかし「サバイバル」こそ重要との信念を持つソロス氏は、ドラッケンミラー氏の意見を排除し、すべてのネット株を売り払いました。ファンド再編されドラッケンミラー氏、そしてNo.3であったニック・ロディーティ氏はソロスファンドを離れることになったのでした。
現在の為替マーケットを見ていると、株や仮想通貨をトレードした方がよく見えます。それは当たり前でしょう。しかし、状況は常に変わります。
そのうち、為替相場にも良いときが戻ってきます。特に現在、ドル円相場は大きな三角持ち合いを形成しています。この三角持ち合いをどの方向に抜けるのか、それで相場は大きく動き出すことになると思います。経常収支の黒字拡大、円が割安なことを考えると、その面では円高リスクが高そうに感じます。
一方、日本の金融政策を見ていると、金利を上げることが出来ない以上、何時かは円安が加速する、そうにも思えます。ビットコイン相場は、投機の力を見せつけました。ドル円相場も、基礎的ファンダメンタルズというより、投機の力で円安に持っていかれる、そのような可能性があるように思えます。
【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。公式サイト(http://shimarikio-official.com/)
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