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海外投資家はドル円に弱気 2018年は「円高」攻めの可能性も

公開日:2018年1月10日 14:00
最終更新日:2020年2月26日

海外投資家の次のターゲットは円?

 海外トレーダーと話していると、意外なほどドル円に対して弱気なことに驚かされます。欧米金融機関の出す予想レンジ等は円高・円安それぞれバランスよく並び、特にどちらかの方向に見方を傾けているようには見られません。

 しかし、実際にアクティブにトレードしている海外のプレーヤーと話すと、驚くほどドル円に対して弱気な人が多い。

 この温度差がどこからくるのか? その理由を尋ねると、一つは「テクニカル的なもの」、もう一つは、黒田総裁が言及した「リバーサルレート」です。日銀はどこかの時点で金融政策を変更してくるのではないかとの思惑です。

 日銀が今年政策を変更するでしょうか。我々日本人の感覚からすると、それはありえない。2%のインフレ目標は、はるか彼方です。万が一、政策を変更するのであれば、それは「円安」に行った場合だけでしょう。「円安」の行き過ぎを抑えるために、少し長期金利のカーブを立たせる方向に進む、それぐらいはありえます。

 しかし、為替レートが現状レベルで政策変更に踏み切れば、円高は避けられません。それは日銀としても、政権としても受け入れられないでしょう。

 では、海外勢は日本の金融政策に対して「誤解」しているから、その誤解に基づいて「円高」に行った場合は、それを咎める方向に賭ければよいのでしょうか。

 この原稿は1月10日に書いていますが、昨日9日に日銀が超長期債のオペをわずか100億円ほど減額したということで「円高」に進み、欧米の長期金利も急騰しています。米10年債は2.48%前後だったのが2.55%へと上昇しました。

 これはどう見ても「誤解」からの動きですが、この動きは間違いだから円売りドル買いすべきなのでしょうか? どうもそのようにも見えません。

 昨年、多くのマクロファンドは散々なパフォーマンスでした。軒並みマイナスです。多くの一般投資家の方々は、株価も上がり、なかには仮想通貨に投資して大きな利益を上げられた方もいらっしゃるでしょう。

 それに対し、世界でも最も優秀な人達が集まり、知力を振り絞って運用しているヘッジファンドの運用が不振。こういうのを見ると、資産運用とはなんだろうと考えさせられます(笑)。ただ、トレーディングの世界でのエリートである彼らがこのまま黙っていることはないでしょう。

 彼らは「円」をターゲットにし始めた感じがします。日銀はすぐには政策変更しない。それはわかった上で攻め始めている感じがします。

 昨年、ドラギ総裁が6月27日に「デフレからリフレへ」と話しただけで、ユーロドルは大きく上昇しました。実際、その後資産買い入れの金額を半減したので、マーケットの思惑は正しかったのですが、どうも日銀は動かないことはわかった上で、その方向を攻め始めているのでしょう。

 5年間のアベノミクス相場で大きく「円安」となり、日本経済は回復しました。ただ、そのために無理な政策をいろいろ積み重ね、維持不可能なことは明白です。JGB(日本国債)の買い入れ額を減らす「ステルステーパリング」をしていることも事実ですし、欧米が出口に向かっている中で、日銀もあわよくば一緒に出口に出たいという「色気」があることも事実でしょう。ただ、それは当局的には「円高」に行かないことが条件です。

 日本は長い間、円安という僥倖を享受してきました。円のあり得べき水準、例えば購買力平価等を考えると、円はあまりにも低いところにあります。

 海外に一歩出ると、日本の物価の低さが異常だと気付かされます。日本経済が回復してきた今、この状況が長続きしないだろうとも感じさせられます。

 欧米のファンド勢は、この「円」の割安さを突き始めようとしているのかもしれません。


【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。市場参加者の動向やヘッジファンドの動き、外資系トレーダー等の動きは、メルマガ「志摩力男の実戦リアルトレード」で詳しく配信中。公式サイト(http://shimarikio-official.com/




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