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トルコリラ急落の背景「通貨危機は忘れた頃にやって来る」

公開日:2018年5月23日 20:00
最終更新日:2020年2月26日

トルコリラ急落の背景

 一部新興国通貨が急落しています。最初のきっかけはアルゼンチン・ペソの暴落でしたが、それが他の通貨ペアにも伝播し、ドミノ倒し的状況となっています。特に日本人の間で人気の高い「トルコリラ」、少し前までは26円前後での取引でしたが、現状23円前後での取引となっています。

 トルコリラ急落の引き金になったのは5月14日に行われた、トルコ政府代表団によるロンドンでの投資家説明会でした。その場でエルドアン大統領は「金利を更に引き下げることでインフレを落ち着かせる」と「珍説」を披露。また「トルコ中央銀行は独立した機構だが、大統領からも独立しているわけではない」と発言し、投資家の信頼を一気に失ったのでした。

 大統領は高金利が「諸悪の根源」と思っているようですが、前々回の当コラムにも書いたように、トルコに必要なのは「利上げ」です。インフレと戦う姿勢がないと、通貨安に歯止めがかからない。市場のリラ売り圧力に対抗するために金融引き締めを行うのが普通の中央銀行の仕事なのですが、大統領がこのような姿勢であると、必要な時に必要なタイミングで利上げ等も出来ないのではないか、通貨安に歯止めがかからないのではないか、との投資家の不安がトルコからの資金流出をもたらしています。

 今回はエルドアン大統領の失言という「政治的リスク」が顕在化しただけであり、「経済的」にトルコリラに問題はないという意見が多く見受けられます。長期的には絶好の買い場との意見もネット上に沢山見られます。

 ただ、こうした多くの意見はトルコリラが安いという「水準」だけを議論しています。インフレに対抗しようとしない中央銀行、中央銀行をコントロールしようとする政府といったファンダメンタルズが変わらなければ、一時的なボトムはあるかも知れませんが、トルコリラを安心して買えるという状況は永遠に来ないと思います。

 日本の為替業界を見て違和感があるのは、テクニカル分析ばかりという点です。アノマリーやジンクス等、表層的な議論が多い。要は、ファンダメンタルズの軽視が甚だしい。今回のトルコリラ安は事故ではありません。起こるべきして起こった事件です。その意味では、トルコリラを買うという判断そのものが悪い。

 トルコの歴史は通貨安の歴史です。デノミネーションがあったこともあり、長期のトルコ円のチャートは、猛烈な右肩下がり、慢性的な経常収支赤字国です。こうした歴史的経緯を理解し、中央銀行が必要な措置をとり、インフレに適切に対応できる、そうした状況が確認できれば、本来ポテンシャルの大きな国なので、それからで遅くないと思います。


【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。市場参加者の動向やヘッジファンドの動き、外資系トレーダー等の動きは、メルマガ「志摩力男の実戦リアルトレード」で詳しく配信中。公式サイト(http://shimarikio-official.com/




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