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アメリカ貿易問題 従来どおり「円高」とはならない可能性も

公開日:2018年6月13日 16:00
最終更新日:2020年2月26日

貿易問題=円高ではないかもしれない

 貿易問題を理由にドル安円高を予想する人はたくさんいます。しかし、トランプ大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)離脱や、鉄鋼関税をカナダ・メキシコに掛けると発言したとき、ドル高ペソ安、ドル高カナダドル安、つまりドル高に反応しました。ドル円のときはドル安円高、メキシコペソの場合はドル高ペソ安と真逆ですが、それに疑問を呈する人はあまりいません。どうしてでしょうか。

 貿易問題悪化で円高というのは、かつての日米貿易摩擦の時に円高となったからです。プラザ合意という米、日、独で協力してドル安にもっていったこともありますし、クリントン大統領時代には「数値目標を受け入れないならば、市場の力で円高もやむなし」という議論でした。

 ただその時は、米貿易赤字を減少させることが目的であり、同盟国同士協力しようという意向が背景にありました。

 ところが今は、トランプ大統領はいきなり関税引き上げを仕掛けてきます。関税引き上げは、純粋にマクロ経済学的には、他の条件が一定なら、その国の通貨は高くなります。

 例えば今回の場合、トランプ大統領はNAFTAから離脱し、日本に対し25%の自動車関税をかけてくるかもしれません。その一方、米国に投資し、工場を作ることは大歓迎です。こうした場合、日本の自動車メーカーは日本での生産を縮小して、米国に工場を建設するということになります。NAFTAがあればカナダやメキシコに工場を建設するところですが、米国がNAFTAから離脱するリスクが高い今は、そうすることはできません。

 日本から米国に直接投資のための資金が流れることになり、その分だけドル高になります。米国で工場建設し人を雇うので、米景気は刺激され、雇用者の賃金にも上昇圧力がかかります。その分、米国の金利にも上昇圧力がかかります。貿易赤字も縮小します。

 結果的に、ドル高円安圧力がかかります(その結果、米国はまた競争力を失い、貿易赤字が増えるかもしれません)。

 米国側からは、ドル安口先誘導があるかもしれません。しかし、最近はG20等で、自国通貨を意図的に安く誘導することは禁じられています。かつての日本の為替介入を念頭においた改革だったのですが、全ての国に適用されます。いかなる国も通貨安誘導はできません。

 そうは言っても、これまでは米側から口先介入等があれば、覇権国アメリカの意向を市場が「忖度し」ドル安円高にうごきました。ところが今はトランプ大統領です。

 先のG7では米国は孤立しました。それを見ていますから、米国の口先介入は「ガン無視」されることになるでしょう。実際、今年2月のムニューシン米財務長官によるドル安誘導は、ドラギ総裁から「誰かさんのせいでユーロ高だ」と激しく避難され、それ以降、ムニューシン財務長官も静かにしています。

 トランプ減税が成立したこともあり、米国経済は日本や欧州よりもかなり状況が良くなっています。米国だけ金利を上げることができますし、そうしていかないとインフレになるかもしれません。

 口先介入でドル安に持っていきたいところですが、その口先介入に説得力がなければ、市場は言うことを聞きません。米経済は好調、金利も高く、もっと高くなることが見えている。そうしたときにはドル高に向かわざるを得ない、そんな状況になりつつあるのではないか、そう感じます。

 米国の意向とは反対かもしれませんが、米経済政策はドル高を示唆している。そう感じます。


【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。市場参加者の動向やヘッジファンドの動き、外資系トレーダー等の動きは、メルマガ「志摩力男の実戦リアルトレード」で詳しく配信中。公式サイト(http://shimarikio-official.com/




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