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あまりにも曖昧な日銀の政策変更

公開日:2018年8月8日 20:00
最終更新日:2018年8月8日

7月の日銀の金融会合は海外からは不評だった

 7月31日に行われた日銀の政策変更が海外メディアから酷評されています。FT紙のジョン・オーサーズ氏は「解釈不能(inscrutable)」とまで言っています。結局、金融政策が引き締まるのか緩和されるのか明確でないこと、そして黒田総裁の会見が「建前」のオンパレードで、「本当の意図」が全く語られないことからくるのでしょう。

 事前のリーク報道もあり、日銀の意図は伝わっています。金融緩和を続けたい。しかし続けるには「緩和の副作用」、貸出金利の低下から来る金融機関の経営不振に対処しなければならない。そこはどうしても部分的に金融引き締め的になる。しかし、なんとか上手く引き締めの意図は全く無いことを伝えなければならない。

 よって黒田会見では金融緩和続行・強化の「建前」だけの話になります。市場の先走りを抑えるために、フォワードガイダンスを導入、長期金利の変動幅も、「上下両方向」に同じだけ変動幅を広げました。日銀発表の声明文、黒田総裁の会見を見る限りにおいては、今回の政策変更に引き締め的要素は全くありません。

 しかし、この日銀の政策変更を伝える新聞各社は、日銀の声明文をどう解釈したのかわかりませんが、「長期金利の上昇を容認」と、あたかも日銀が政策転換したかのように伝えています。

 この差は何でしょうか? 各社同じ論調なので、勝手に解釈しているのでは無いと思います。マーケットには「金融緩和継続」のメッセージを流し、国内的には「金融機関の経営に配慮」したと伝えたいのでしょう。

 この曖昧さが、外人勢には我慢ならない。FRBもECBも、量的金融政策を終了する際のメッセージは、非常に明確でした。FRBはテーパリングのスケジュールを提示し、1年ほど時間をかけて徐々に「量」を減らし、その後ゆっくりと金利を上げていきました。ECBも今年9月から試算買い入れ「量」が半分になり、来年以降はゼロとなり、夏場以降に利上げという手順になっています。

 ところが日銀は、「バズーカ1」「バズーカ2」と史上最大規模の量的緩和政策を実施し、市場に大きな変動をもたらしておきながら、2016年のYCC(イールドカーブコントロール)導入では、「量」も「金利」も両方追求と曖昧なことを言い、知らないうちに、「量」を明確な宣言もなく半減しています。いつ撤退を決めたのでしょうか。いつ、「転進」したのでしょうか。

 市場に大きな変動を与えずに、事実上の政策転換を成し遂げたとして、評価して良い部分もあるのかもしれません。私個人としても、関係者のご苦労は痛いほどわかるので、「プロの仕事」として批判は避けたい。

 しかし、その後の海外の反応を見るたびに、やはりこうした曖昧さは、世界第3位の経済大国の中央銀行として、やってはいけないことだと感じます。市場を上手くコントロールする代償として、「信用」を失っています。

 今後のマーケットをどう考えれば良いのか? 事実上、少し長期金利が上昇することを考えると、少し円高方向に推移すべきなのかもしれません。しかし、米国は今、引き締め局面にあります。日本の長期金利が上昇するといっても僅かです。0.2~0.3%程度、20年物以上の金利が上昇する、それだけです。

 中長期的に見て、日本の短期金利はこれから先も、ずっとゼロです。超円安にでもならない限り引き締める必要がない。その一方、米国は金融引き締め局面が続きます。JPモルガンCEO、ジェイミー・ダイモン氏は米長期金利が5%に向かうと、強気です。

 米国株も、今年1兆ドルにも達する自社株買いに支えられ、貿易戦争にも関わらず、下がる気配がない。圧倒的な日米のファンダメンタルズ格差の前に、日銀の政策変更はあまり影響ないのかもしれません。

【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。市場参加者の動向やヘッジファンドの動き、外資系トレーダー等の動きは、メルマガ「志摩力男の実戦リアルトレード」で詳しく配信中(http://fx-on.com/rikio/)。公式サイト(http://shimarikio-official.com/



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