2019年の為替相場を予想する上で注目したい5つの点
公開日:2018年11月28日 20:00
最終更新日:2020年2月26日

トランプ大統領就任以降、2018年まで高成長を遂げたアメリカ。しかし為替相場においては大統領の発言1つで反転することも多く、投資家はしっかりとした戦略を持つことが大変難しい時期でもありました。
2019年も引き続き慌ただしい為替相場が予想されます。本コラム「志摩力男のFX黄金の天秤」では、2019年の相場を見るうえで、トレーダーの皆さんが気になるだろう点を5つピックアップしました。
【2019年の為替相場を予想する上で注目したい点】
- (1)成長はまだ続くのか? 2019年のアメリカ経済
- (2)イタリア、ブレクジットの影響を受けたユーロの行く末
- (3)米中貿易戦争が豪ドル・NZドルに与える影響とは?
- (4)ドル円はレンジブレイクする?
- (5)高金利通貨メキシコペソの今後
成長はまだ続くのか? 2019年のアメリカ経済
トランプ減税策により、ただでさえ好調だった米国経済は異例の成長を遂げました。企業や消費者の景況感、雇用、こういった面では今も勢いが止まりません。しかしながら、一部には陰りも。住宅関連は減速、設備投資の伸びも止まりました。ハイテク企業の売上も一部伸び悩み始めています。
一過性の問題と思われた米中貿易戦争は、米中覇権戦争に姿を変え、終わりが見えません。果たして、米経済はスローダウンするのでしょうか。また、そのとき、どんなリスクが顕在化するのかに注意が必要です。
イタリア、ブレクジットの影響を受けたユーロの行く末
イタリア問題は、個人的にはあまり大きな問題とは思っていませんが、イタリアの低成長は問題です。2019年、イタリア経済はリセッションに陥るでしょう。ユーロ圏全体は、2017年に目覚ましい成長を遂げ、製造業PMIは2017年12月に統計始まって以来最高の60.6を示現しました。しかし、欧州はそこから謎の減速を始めます。1年後の今、製造業PMIは51.50まで低下しています。この減速が続くかどうかで、通貨ユーロの動向も変わるでしょう。
一方、ブレクジットですが、英政権とEU側の合意案ができました。これを英下院が通すのかどうかが焦点ですが、否決でも可決でもポンドは大きく動きます。
米中貿易戦争が豪ドル・NZドルに与える影響とは?
米中貿易戦争は中国の経済成長を減速させ、商品市況低迷に豪経済不振となる。その一方、資金不足に陥った中国人投資家がシドニーの不動産を換金売り、豪経済は不動産不況にも見舞われる。これが典型的オーストラリア経済危機シナリオですが、現実はそんな“Doomsday”はなかなか起こらないようです。
オーストラリアもNZも、経済は回復してきています。特にオーストラリアの成長率は今年3.4%と先進国最高になり、来年も3%成長を実現しそうです。そうなると、悲観シナリオは修正すべきなのでしょうか?
ドル円はレンジブレイクする?
ドル円相場が動きません。2018年は、このままだと年間レンジ9.99円と10円を下回りそうです。低い変動率の年が2年続くのは珍しい。そうなると、来年は動き出すのではないでしょうか。今、その芽は見えませんが、米経済がスローダウンするならば、可能性はでてくるかもしれません。
高金利通貨メキシコペソの今後
トルコリラは乱高下の1年でした。来年も高金利通貨は「熱く」なるのでしょうか。先進国経済が、かつてと違い十分な高金利を提供できなくなっているので、自然と目は新興国に向かいます。
メキシコは、左派系の新大統領が誕生しました。今後混乱もあるでしょうが、国民の信頼は厚く、しかも中央銀行はしっかり金利を上げていきます。トルコは今後も鉄火場のような上下動が続くと思いますが、メキシコはしっかりかなと思っています。
【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。公式サイト(http://shimarikio-official.com/)
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