ブレクジット最終局面 ポンドの反騰相場を逃すな
公開日:2019年3月1日 7:00
最終更新日:2020年2月26日

先月も「イギリスのEU離脱騒動 英政局混乱=ポンド売りは間違い」というコラムを書きましたが、ポンドの反騰相場が始まっています。このところ動きの少ない為替市場ですが、今年前半最大の「ヤマ場」と言えます。
EU離脱交渉の何が問題なのか、そのことに関しては先月のコラムを参照してください。マスコミ報道を見ていると「合意なき離脱」の危険性を報じるものばかりですが、はっきり言ってその可能性は極めて低い。「合意なき離脱」にならないということがはっきりしたとき、ポンドドルは大きく反騰します。
マーケットを見ていると、「合意なき離脱」が避けられたときにポンドが反発するというコンセンサスがあまり無いようにも見えます。英政局があまりにも混乱し、ダイソンがシンガポールに本社移転、ホンダは工場閉鎖と暗いニュースが続くので、英国はもうだめなのではないかという先入観が先立つのでしょう。
しかし現在の英失業率は4.0%と過去43年で最低水準、リーマン・ショック前よりも低い。ホンダは撤退しますが、雇用環境は絶好調と言えます。賃金上昇率も来年3.5%程度まで伸びると予測されています。
ブレクジット問題がない通常の環境下であれば、英中銀は利上げしなければなりませんが、リーマン・ショック後、英中銀はいまだ1回しか引き締めしていません。カーニー総裁は既に利上げ意図を表明しています。
英議会は、少し前まではどこにコンセンサスがあるのかわからない状況でしたが、メイ首相自身、3月12日までに合意がなければ3月29の期限を延長するようEU側に要請するとしています。2月27日には、期限延長を求めるクーパー議員の案を502対20という大差で可決しました。「合意なき離脱」となる可能性は限りなくゼロになりました。
あとは、マーケットにオプション等の形で残る「合意なき離脱」に備えたヘッジポジションが次第にアンワインド(反対売買)されることで、ポンドは次第に上昇するものと思われます。
2016年国民投票直前の1年ほど、ポンドドルは1.40~1.60前後のレンジで取引されていました。中心値で1.50前後、現状の1.30前後と比べて15%ほど高い。ポンド円は155~185円前後で取引されていました。現状は145円前後です。こうした過去、取引されていた水準に次第に戻るのではないかと思います。このチャンスを逃さずつかみたいものです。
【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。公式サイト(http://shimarikio-official.com/)
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