米国一強の時代は続く 好調維持なら2019年はドル上昇の年に?
公開日:2019年4月26日 8:00
最終更新日:2020年2月26日

為替相場は、年初こそ大きく動きましたが、このところは膠着状態が続き、強い方向感はありません。ユーロドルや豪ドル米ドルといった通貨ペアも、動きは至って静かです。2017年、2018年と比較的動かない年が続きましたが、今年はそれが3年目に突入している感じがします。
なぜ動かないのか? 様々な理由があるのでしょうが、1つにはファンダメンタルズが拮抗しているからでしょう。
円の絶対レベルは安い。だから多くの観光客の方々が訪れます。その一方、日本の金利は(短期も長期も)ゼロであり、運用してリターンを高めるには、どうしても資金を海外に持っていくしかありません。
だが、海外の金利も以前ほど高くありません。オーストラリアはかつて高金利で有名でした。人気を集めた2000年台半ば、豪10年金利は5~7%ぐらいありました。ところが今では1.77%辺りまで下落、しかもゴールデンウィーク明けには政策金利を下げるのではないかと言われています。
日本の機関投資家は運用に本当に困っています。国内の金利はゼロ。頼みの海外金利も決してすごく高いわけではありません。それ故、少しばかり信用度の低い企業の社債や、ヘッジファンド等のオールタナティブ投資を増やしています。
それでは、個人はどうすれば良いか。機関投資家は金融庁が定めるレギュレーションに沿った投資をしなければいけません。いわば、手かせ足かせを引かれている状態です。個人の場合はもっと自由度が高いわけですから、もっとリスクが取れます。
要は、誰が富を生み出しているのか。そうした観点から世の中を見てみると、米国企業が際立っていることがわかります。世界中で利益を上げ、米国に還流させて、最終的には自社株買いになります。昨年は100兆円近い金額の自社株買いを行いました。アップル1社でも、10兆円です。これだけ巨額の自社株買いをすると、1株辺りの利益率等数字が変わるので、アップル株は「希少」ということになります。
米企業の収益力が世界でも際立つ状況が続くのであれば、現状の水準でもドルは安いと言わざるを得ないことになります。2019年は最終的にドルが上昇する年になるのではないでしょうか。
ドルインデックスは過去最高レベルを上抜けし始めていますが、米国1強の時代が始まりつつある感じがしております。
【PROFILE】志摩力男(しま・りきお):慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。公式サイト(http://shimarikio-official.com/)
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