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FXスワップポイント 会社比較や取引の基礎知識、コツを紹介

スワップポイント比較

 FXではポジションを保有することでプラスのスワップポイント(金利差損益)を得られる場合がある。スワップポイントはFX会社により提供額は異なるため、取引する通貨ペアのスワップポイントをFX会社間で比較したい人もいるだろう。

 本ページではスワップポイントの基礎知識からFX会社を選ぶうえでのポイント、スワップポイント比較に関して詳しく見ていく。

    【目次】

  1. 1.スワップポイントとは?
  2. 2.スワップポイントで決めるFX会社選びのやり方
  3. 3.FX会社別スワップポイント比較
    1. トルコリラスワップポイント比較
    2. メキシコペソスワップポイント比較
    3. 南アフリカランドスワップポイント比較
    4. 豪ドルスワップポイント比較
  4. 4.スワップポイントの高い通貨の特徴と見通し
    1. 米ドルの特徴と見通し
    2. トルコリラの特徴と見通し
    3. メキシコペソの特徴と見通し
    4. 豪ドルの特徴と見通し
  5. 5.スワップポイント狙いのFX取引のコツ
  6. 6.スワップポイント狙いのFXにおける残念な失敗例

スワップポイントとは?

 FXのスワップポイントとは金利差損益のこと。FXでは例えば「ドル円の買い」という取引が行われる際、「ドル買い/円売り」という取引が行われており、必ず2国間の通貨を売買する。取引する2通貨にはそれぞれ金利が存在し、その「金利の差」から損益は生まれ、これがプラスのときは収益として得られる。

 こうしたスワップポイントの基礎知識に関しては、下記記事で解説する。

スワップポイントで決めるFX会社選びのやり方

 スワップポイントを狙ったFXでは、取引するFX会社をどう選べばよいのだろうか。スワップポイントで決めるFX会社選びのポイントを3つ挙げる。

【スワップポイントで決めるFX会社選びのポイント(参考例)】

  • (事前準備)取引したい通貨ペアを明確にする
  • 取引する通貨ペアの条件が良いFX会社を比較
  • 長期間でスワップポイントの実績をチェック

(事前準備)取引したい通貨ペアを明確にする

 まずは自分が取引したい通貨ペアを決めよう。スワップポイントは通貨ペアごとにFX会社も提供額が異なる。

 高スワップポイントを期待できる通貨ペアのおすすめの組み合わせは「高金利通貨買い/低金利通貨売り」。例えば日本円はゼロ金利政策を実施しているため低金利通貨に分類され、トルコリラやメキシコペソといった通貨は高金利通貨に分類される。

 外国通貨の中でもユーロは低金利通貨に分類されるが、スワップポイント狙いのFXで低金利通貨売りの対象となるのは「日本円」が一般的だろう(ユーロ売り/トルコリラ買いといったこともできなくはないが取引条件が良くないケースもある)。

 日本のFXユーザーで人気の高金利通貨ペアは「トルコリラ円」や「メキシコペソ円」「南アフリカランド円」、今では少しスワップポイントが見劣りするものの「豪ドル円」も取引量が多い傾向にある。

取引する通貨ペアの条件が良いFX会社を比較

 取引したい通貨ペアが決まれば次はFX会社選び。メジャー通貨ペアのスワップポイントが高いFX会社もあれば、高金利通貨ペアのスワップポイントをメジャー通貨より高く付与する業者もある。

 自分が取引したい通貨ペアのスワップポイントが、高く付与されるFX会社を利用したい。取引したい通貨ペアごとにFX会社を分ける方法もあるので、複数のFX口座を開設するのもひとつの手。

長期間でスワップポイントの実績をチェック

 直近のスワップポイントが高いから1年間安定してスワップポイントが高いとは限らない。FX会社によっては期間限定でスワップポイントを高くする場合もある。

 取引を始めてから別のFX会社の口座に乗り換えるのは大変面倒だろう。FX会社の中には公式サイトで過去のスワップポイント実績を長期間掲載するところもある。事前に「スワップカレンダー」などをチェックしてから、どのFX会社で取引を始めるか検討したい。

FX会社別スワップポイント比較

 FX会社ごとにスワップポイントの提供額は異なるが、どの通貨ペアでどこの会社が高いスワップポイントを提供しているのだろうか。人気を集める通貨ペアのスワップポイントを比較する。

トルコリラスワップポイント比較

 トルコリラ円のスワップポイント狙いのFXは日本人投資家に人気を集めた。トルコリラのスワップポイント比較に関しては下記記事を参照。

FXスワップポイント比較 トルコリラ

メキシコペソスワップポイント比較

 メキシコペソ円のスワップポイントもトルコリラ同様高い。メキシコペソは1メキシコペソ=6円など、価格が安いことも特徴。10万通貨保有で月間3000円以上のスワップポイントを得られたことも。

FXスワップポイント比較 メキシコペソ

南アフリカランドスワップポイント比較

 南アフリカランド円のスワップポイントは10万通貨保有で月間5000円以上もらえたこともある。スワップポイント狙いのトレーダーにとっては馴染み深い通貨ペアだろう

FXスワップポイント比較 南アフリカランド

豪ドルスワップポイント比較

 豪ドル円はFXブームの火付け役としても活躍した通貨ペア。最近は利下げの影響で、スワップポイントは少し見劣りするが、それでも日本人トレーダーの中では取引する人も多いだろう。

FXスワップポイント比較 豪ドル

スワップポイントの高い通貨の特徴と見通し

 スワップポイントの高い通貨の特徴を紹介する。米ドルや豪ドル、メキシコペソやトルコリラなどの特徴を簡単に見ていこう。

米ドルの特徴と見通し

 米ドル(表記はUSD)は世界で最もメジャーな通貨で、ユーロ米ドルの取引量は世界第1位で、その他米ドルに関連した通貨ペアも比較的取引量が多い傾向にある。

 米ドル円は世界でも取引量が多く、アメリカ国内の経済情報や金融政策は日本語でも情報が入手しやすく、FX初心者は米ドル円から取引を始めた人も多いだろう。

 アメリカの政策金利は2020年1月時点で1.75%と意外にも金利が高い。アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度)は、近年は利上げ傾向にあったが、2019年に利下げをしている。米ドル円は2013年のアベノミクス以降、1ドル=100円以上で推移しており、近年は1ドル=105~110円程度をメインに推移。

 様々な通貨価格に影響する米ドルは、トランプ大統領の動向とFRBの金融施策などから動向をチェックしておきたい。

トルコリラの特徴と見通し

 トルコリラ(表記はTRY)は2010年代に入り、日本でも高金利通貨として認知度が徐々に広まった。2019年には政策金利24%まで引き上げたものの、2020年1月には11.25%、5月には8.25%、11月には15%と近年は政策金利を頻繁に変更している。

 スワップポイントはトルコリラ円を10000通貨保有すれば、1日100円もらえることも過去にはあったが、トルコリラ円の価格は2014年に1トルコリラ=50円台で推移していたものの、2020年10月には1トルコリラ=12円前後まで下落している。

 トルコ共和国の大統領エルドアンはトルコリラの利下げを望んでおり、今後利下げを行う可能性も否定できない。また近隣のシリアとの地政学リスクも孕んでおり、これらの要因がトルコリラの価格に影響することも多々見受けられる。

 トルコリラのスワップポイントは魅力的だが、政策金利引き下げや価格下落のリスクも見据え、運用する場合は余裕を持った資金で臨みたい。

メキシコペソの特徴と見通し

 メキシコペソは2016年に東京金融取引所が運営する「くりっく365」で取り扱いが始まると、その他FX会社でも取り扱いが始まり、近年人気を集めている通貨だろう。

 メキシコペソ円もトルコリラ同様に高いスワップポイントを誇る。2015年の夏以降、1メキシコペソ=5~6円程度で推移しており、価格の安さも特徴といえる。

 メキシコは近年高いインフレに悩まされていたが、2019年はメキシコの中央銀行が定めたインフレターゲットの3%を下回る数値となり、政策金利を引き下げた。メキシコの経済は近隣のアメリカの経済情勢とも関係しているが、普段生活している中ではメキシコペソに関連するニュースを頻繁に入手できないため、メキシコペソ円を取引する場合は、価格の急落に備え、資金に余裕を持たせた状態で臨みたい。

豪ドルの特徴と見通し

 オーストラリアの通貨オーストラリアドル(表記はAUD)は10年以上前から高金利通貨として、日本人にも馴染み深いだろう。近年はオーストラリアの中央銀行にあたるRBA(オーストラリア準備銀行)が利下げを行い、2020年1月時点で0.75%と、以前よりは高金利通貨とは言いづらくなった。

 特徴としては、リーマン・ショック以降も、1豪ドル=70~100円程度をメインに推移しており、その他通貨ペアに比べ、比較的安定した値動きをしてきた。

 オーストラリアの経済は中国に強く依存しており、中国の経済指標が悪化すると、豪ドルが下落するということも散見される。トランプ大統領が対中関税の引き上げを表明した際は数日で2~3円下落することもあった。

 利下げの影響で今後価格は下落する可能性もあるため、今後の動向を見極めたい。

スワップポイント狙いのFX取引のコツ

 スワップポイント狙いのFXは差益をメインで狙う取引とは異なる。長期でスワップポイントを得るための代表的な取引のコツを5つ紹介する。

【スワップポイント狙いのFXのコツ】

  • 取引対象国の金融情勢をチェックする
  • 平均購入価格を安くする
  • 低レバレッジを心掛ける
  • 損失最大想定額を割り出しておく
  • 追加資金をあらかじめ用意しておく

取引対象国の金融情勢をチェックする

 取引を検討する通貨ペアの金融情勢もチェックしておこう。どのようなニュースがレートに影響を及ぼすのか、事前に把握しておくと、通貨ペアを保有してからパニックになる可能性を軽減できるだろう。

 また、事前に発表されており、レートに大きな影響を与えそうな「経済指標発表」や「中央銀行総裁の会見」などは、そのイベント後に急落・急騰する可能性を考慮し、イベント前にポジションを決済するという選択肢も検討できる。

【気にしておきたい経済指標やニュース】

  • 各国の経済指標の発表
  • 各国の大統領選挙
  • 経済危機
  • 要人の重要発言
  • 政策金利の発表
  • 地政学的リスク(大規模災害や戦争など)
  • その他世界的に大きなニュース

平均購入価格を安くする

 対象となる通貨ペアの購入価格を分散させることで、価格が下落しても含み損を軽減することが可能。購入平均価格を安くすることは、株などでも使われるドルコスト平均法と似ており、投資の王道的戦略ともいえる。

 購入価格を分散させる際、常に為替レートを見ながら、「いつ買おうか」と検討すれば、感情に左右されて曖昧な行動をとる可能性もある。こうしたときには事前に「1円おきに購入する」「50銭おきに購入する」という戦略を考えておき、その考えに沿って指値を入れる方法もある。

低レバレッジを心掛ける

 レバレッジを大きくかけすぎると、強制ロスカットのリスクが高まる。高金利通貨の南アフリカランド円で考えると、レートが1南アフリカランド=8円で、保有通貨量が10000通貨の際、レバレッジ1倍なら必要資金は80000円だが、少額で取引できるからと、日本のFX会社における最大レバレッジ25倍近くで運用したら、少しの為替変動で強制ロスカットが執行されるだろう。

 大きなレバレッジをかけて取引してしまっては、為替変動による含み損に耐えられず、強制的に取引を止められる可能性がある。

 為替変動に気にせず、ほったらかしでスワップポイントによる収益を狙いたいなら、ポジションを保有する前に数年単位で過去の為替変動を確認し、その変動幅分のマイナス変動に耐えられるような資金とレバレッジの調整を確認しておく方が賢明だろう。

損失最大想定額を割り出しておく

 最大でどれくらいの含み損を抱える可能性があるのか、を事前に割り出しておく。例えば1メキシコペソ=6円のとき、1円おきに買い下がった場合はどれくらいの含み損を抱えるのかシミュレーションをしてみた。

【1メキシコペソ=6円のとき、1円おきに買い下がる方法で、10000通貨ごと購入するという戦略】

購入価格(円) 購入単位 2円まで下落したときの想定損失額
6 10000通貨 40000円
5 10000通貨 30000円
4 10000通貨 20000円
3 10000通貨 10000円
2 ※購入するか検討

 
 表のように1メキシコペソ=6円から1円おきに買い下がった場合、1メキシコペソ=2円までで合計10万円ほどの損失を抱える可能性があると計算できる。2円まで下落した場合に買い増すかどうか、は相場状況に応じて検討するということも可能。

 想定損失は平均購入価格が4.5円で、1メキシコペソ=2円になるまでには合計40000通貨保有することとなる。1メキシコペソ=4円50銭で40000通貨を買い、1メキシコペソ=2円まで下落したときの損失額とおおよそ同じだ。

追加資金をあらかじめ用意しておく

 もし急落でロスカットの危機に見舞われたとき、追加できる資金をあらかじめ用意しておく、という方法もある。たとえば資金50万円でスワップポイント目的の取引をしようと考えるなら、口座には40万円入金し、残りの10万円は緊急時に口座に追加するなど。

 保有している通貨ペアの価格が急落したときは予想以上にパニックになるものだ。投資に慣れていない人は、混乱して思わぬ取引をしてしまう可能性も考えられる。そうした行動をとらないための予防策である。

スワップポイント狙いのFXにおける残念な失敗例

 スワップポイントを狙ったFXでの失敗例を紹介する。そうならないための教訓として役立ててほしい。

一度に多くの金額を買う

  • 今が最安値だと思うから、当初組んでいたスケジュールを崩して、トルコリラ/円を10万通貨買い増しました。気がつくとハイレバレッジで取引しており、トルコリラ/円が2円程度下落したところで、強制ロスカット。底打ちしたと思った矢先だったので、これまでコツコツ頑張ってきた苦労がすべて無駄になりました……。

  •  スワップポイント生活に憧れ、多くのスワップポイントを得られるように、一度に多くの高金利通貨を買う失敗例。一度に多額の取引を行うと、価格が下落した際の含み損も大きくなりがち。長期的な運用を目指すなら、こうした失敗は避けたい。

    買う価格帯が近い

     高金利通貨は買う価格帯を分散するため、10銭おきに買ったという残念な例。購入価格を分散する方法は、通貨の下落幅や自己資金との兼ね合いから、じっくり考える必要がある。

     用意できる資金とも関連するため一概には言えないが、初心者の人はとりあえず1円程度の間隔を想定したい。

    含み損を想定していない

     FXは株とは異なり、価格が下落すれば、必要最低資金に含み損を加えた額を口座に準備しなければいけない。高金利通貨を取引するとき、購入に必要最低資金(証拠金)で多額の高金利通貨を購入してしまう例もある。

     高金利通貨を提供する各FX会社の中には「資金に余裕を持って取引を」などの注意喚起もしており、価格下落による含み損を想定して取引に臨む方が賢明だ。