豪ドル円はFX黎明期から日本人トレーダーの間で人気の高い通貨ペアだろう。豪ドルを取引する際に気になるスワップポイント(金利差収益)は、FX会社によって異なる。本記事では豪ドル円のFX会社別スワップポイント比較や注目のFX会社について紹介する。
- 1.FX会社別の豪ドルスワップポイント比較表
- 2.豪ドルスワップポイント運用をする場合FX会社をどう選ぶ?
- 3.豪ドルスワップポイントでFX会社を厳選 おすすめは?
- 豪ドルのスワップポイントが高水準のSBI FXトレード
- 前年度平均スワップポイントが高いヒロセ通商
- 国内口座数トップクラスのDMM.com証券
- 高いスワップポイントを提供するLIGHT FX
- FX取引高が世界一のGMOクリック証券
- 4.豪ドルのスワップポイント運用における3つの特徴
- 5.豪ドルでスワップポイント生活は可能? 収益例と運用レバレッジは?
- 6.豪ドルでスワップポイント運用する際の4つの注意点
【目次】
FX会社別の豪ドルスワップポイント比較表
会社名 |
スワップポイント |
SBI FXトレード |
2円/日 |
ヒロセ通商 |
3円/日 |
外貨ex byGMO |
0円/日 |
FXネオ (GMOクリック証券) |
1円/日 |
LIGHT FX (トレイダーズ証券) |
1円/日 |
DMM FX (DMM.com証券) |
3円/日 |
みんなのFX (トレイダーズ証券) |
1円/日 |
FXプライムbyGMO |
0円/日 |
※2020年12月2日HPより調査、10000通貨の買いポジションを保有した際に発生するスワップポイント
豪ドルのスワップポイントを狙った取引をする場合、スワップポイントが高いFX会社の利用を検討したい。ただしスワップポイントは日々変動するため、最新のスワップポイントだけでFX会社を選ぶのは避けたい。直近のスワップポイントが高くとも、長期で見ると、他のFX会社の方がスワップポイントが高いケースもある。
豪ドルスワップポイント運用をする場合FX会社をどう選ぶ?
豪ドルのスワップポイント運用を行う場合、どうFX会社を選べばよいのだろか。ここではFX会社選びの参考となる4つのポイントをピックアップする。
【FX会社を選ぶ4つのポイント(参考例)】
- 直近3か月のスワップポイント実績が優れているか
- スプレッド(取引コスト)は低い方がいいのか
- 未決済ポジションでもスワップポイントを引き出せるか
- スワップポイントの課税タイミング
直近3か月のスワップポイント実績が優れているか
豪ドルの最新のスワップポイントが高くとも、1年間安定してスワップポイントが高いとは限らない。スワップポイントは日々変動し、1週間で10円以上変動するFX会社も存在する。
直近のスワップポイントだけで判断すると、「他のFX会社の方が良かった…」と後悔する可能性もあるため、FX会社の豪ドルのスワップポイントの直近3か月の実績をチェックする。
各FX会社の公式サイトには、過去のスワップポイントの実績を紹介する「スワップカレンダー」が掲載されているところが多い。月間の実績や年間の累計額で比較することも可能だ。
スプレッド(取引コスト)は低い方がいいのか
豪ドルのスプレッドに関して気になる人はいるだろう。スワップポイントを狙うFXの場合、例えば買いポジションを保有したまま、スワップポイントだけをもらえればいいという運用スタイルなら、スプレッドは気にする必要はないだろう。この運用スタイルでは取引を頻繁に行わないため、スプレッドによるコストを感じることが少ない。
売買差益をメインの収益として狙い、サブ収益としてスワップポイントももらえたらいいという運用スタイルなら、スプレッドも気になるかもしれない。このページでは基本的に頻繁な売買をせず、スワップポイントをメインの収益として狙うケースを想定しているため、スプレッドはそこまで重要視しない。
未決済ポジションでもスワップポイントを引き出せるか
保有中のポジションを決済せずとも、スワップポイントを引き出せるFX会社もあり、それらの会社を利用する場合コツコツ貯めたスワップポイントだけ、3か月や半年後に引き出す、ということも可能。
例えば「SBI FXトレード」やトレイダーズ証券の「LIGHT FX」なら、ポジション未決済のまま豪ドルのスワップポイントを引出すことができる。
スワップポイントの課税タイミング
スワップポイントの課税タイミングはFX会社ごとに異なる。スワップポイントに対する課税は3種類あり、スワップポイントが付与されたとき、ポジションを決済したとき、スワップポイントを引き出したとき。
スワップポイントへの課税タイミングは、FX会社ごとに見解が異なるため、気になる人は事前にチェックしておくといいだろう(スワップポイントの課税に関しては「スワップポイントの税金はどうなる?」の記事も参照)。
豪ドルスワップポイントでFX会社を厳選 おすすめは?
豪ドルのスワップポイントを狙うFXをする場合、どのFX会社を選べばよいのだろうか。ここでは参考までに5社を厳選した。
会社名 |
前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
SBI FXトレード | 27円 | 〇 | 〇 |
ヒロセ通商 | 31円 | 〇 | × |
DMM.com証券 | 25円 | 〇 | 〇 |
トレイダーズ証券 (LIGHT FX) |
23円 | 〇 | × |
GMOクリック証券 | 26円 | × | 〇 |
会社名 |
前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
SBI FXトレード | 27円 | 〇 | 〇 |
ヒロセ通商 | 31円 | 〇 | × |
DMM.com証券 | 25円 | 〇 | 〇 |
トレイダーズ証券 (LIGHT FX) |
23円 | 〇 | × |
GMOクリック証券 | 26円 | × | 〇 |
豪ドルのスワップポイントが高水準のSBI FXトレード

前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
27円 | 〇 | 〇 |
前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
27円 | 〇 | 〇 |
豪ドルのスワップポイントの年間平均が27円と高水準な「SBI FXトレード」。SBI FXトレードは未決済での引き出しも可能で、課税タイミングはスワップポイントを引き出したときになる。
SBI FXトレードは低スプレッドの取引環境を提供しており、豪ドルのスプレッドも狭いことも特徴。また、SBI FXトレードは「1通貨」の少額から取引することができる点も特徴で、少ない資金で試しにFXを始めてみたいという人にも向いている。
前年度平均スワップポイントが高いヒロセ通商

前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
31円 | 〇 | × |
前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
31円 | 〇 | × |
2019年の豪ドルスワップポイントが高かった「ヒロセ通商」。2019年の豪ドルの年間平均スワップポイントは31円と業界最高水準だった。また、豪ドルに限らず、トルコリラ円やメキシコペソ円といったその他高金利通貨でもスワップポイントは高水準で提供している。
その他の特徴として、ヒロセ通商は取扱い通貨ペアが51種類と豊富で、取引量に応じて食品がもらえるキャンペーンも頻繁に開催している。保有中のポジションが未決済の場合でも、スワップポイントは課税対象となるので、気になる人は注意。
国内口座数トップクラスのDMM.com証券

前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
25円 | 〇 | 〇 |
前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
25円 | 〇 | 〇 |
国内第1位のFX口座数を誇るDMM.com証券の「DMM FX」(2019年1月末時点)。2020年1月22日時点の豪ドルスワップポイントは18円/日で、前年度の平均は25円。ポジション未決済でのスワップポイント引き出しはOKで、課税タイミングも引き出し時点だ。
DMM FXはツールの使いやすさに定評があり、スマホアプリは裁量系FX会社の中でもトップクラスの使いやすさだろう。スマホアプリだが決済やチャートの機能が充実しており、PCと遜色ないほど。その他にコストにおいても、低スプレッドの環境を提供している。
高いスワップポイントを提供するLIGHT FX

前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
23円 | 〇 | × |
前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
23円 | 〇 | × |
高い水準で豪ドルのスワップポイントを提供するトレイダーズ証券の「LIGHT FX」。その他の高金利通貨ペアでも高水準のスワップポイントを提供していることが特徴。ポジション未決済でもスワップポイントの引出しは可能だ。
取引コストに関しても低スプレッドの環境を提供しており、頻繁に売買をする裁量FXトレーダー向きのFX会社ともいえる。
FX取引高が世界一のGMOクリック証券

前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
26円 | × | 〇 |
前年度平均 スワップポイント |
ポジション未決済でのスワップポイント引き出し | ポジション未決済ならスワップポイントは非課税 |
26円 | × | 〇 |
GMOクリック証券は、FXの取引高が世界1位(2012年1月~2019年12月)。GMOクリック証券では株取引も提供しており、利用者はネット証券の中でもトップクラス。豪ドルのスワップポイントに関しては前年度の平均が26円と高水準なのも魅力だ。
大手のFX会社ということで取引ツールにも力を入れており、低スプレッドの環境も特徴だろう。GMOクリック証券もスワップポイントをポジション未決済で引き出しができない会社のひとつ。
豪ドルのスワップポイント運用における3つの特徴
豪ドルでスワップポイント狙いの運用には他の高金利通貨と比べ3つの特徴がある。
- 豪ドル円は10年ほど70~100円の間をメインに推移
- 豪ドル円はその他高金利通貨より情報が豊富
- オーストラリアの政策金利は日本より高い
豪ドル円は10年ほど70~100円の間をメインに推移
豪ドルはリーマン・ショック以降、1豪ドル=70~100円の間をメインに推移している。リーマン・ショック時は1豪ドル=55円近辺まで下落したものの、2009年から徐々に回復し、2020年までは1豪ドル=70円を割ることはほとんどなかった。
信用度を示す格付けでは、オーストラリア国債はムーディーズから「Aaa」、S&Pからは「AAA」と上位の評価を得ている(2020年2月調査)。
ただし、オーストラリアの政策金利は近年引き下げをする傾向にあり、2020年2月時点では0.75%である。その影響もあってか、1豪ドル=70円近辺まで下落しており、今後1豪ドル=70円を割るか注目が集まる。スワップポイント目的の長期FX取引を検討する際は、例えばリーマン・ショック級の急落があっても大丈夫な資金を準備するなど、余裕をもって取引に臨みたい。
豪ドル円はその他高金利通貨より情報が豊富
オーストラリアはトルコやメキシコなどよりは、中央銀行の制作や経済情勢に関する情報が日本でも入手しやすい。豪ドルはFX黎明期から人気の高い通貨であったことも影響もしてか、FX会社や証券会社の中でも投資情報に関するレポートが散見される。
最近では中央銀行にあたるRBA(オーストラリア準備銀行)総裁の発言や動向に注目が集まっているため、取引する際には注意を払いたい。
オーストラリアの政策金利は日本より高い
日本の政策金利はほぼゼロ金利で推移しているが、オーストラリアの政策金利は日本より高い。豪ドル円の値動きや情報の入手のしやすさなどを考慮し、その他高金利通貨よりも豪ドルを選びたい人もいるだろう。
豪ドル円相場がレンジになりやすい傾向を活かし、FX自動売買ツールを利用しながらスワップポイントを狙うトレーダもいるようだ。
豪ドルでスワップポイント生活は可能? 収益例と運用レバレッジは?
豪ドルのスワップポイントだけで生活をすることは可能なのだろうか。1豪ドル=80円のとき、資金100万円で10000通貨の買いポジションを保有した場合を想定する。スワップポイントは30円/日で単純計算し、手数料等は考慮しない。
豪ドルでスワップポイント生活のシミュレーション
まずはレバレッジなしで運用した場合。
- 月間(30日間)スワップポイント:900円
- 年間スワップポイント:10800円
1年間運用すれば、資金100万円に対して、約1%のリターンが想定できる。それではレバレッジを2倍(資金100万円)にして運用した場合はどうだろう。
- 月間(30日)スワップポイント:1800円
- 年間スワップポイント:21600円
資金100万円に対するリターンは約2.16%となる。オーストラリアの国債を運用するよりは高いリターンを期待できるかもしれないが、スワップポイントだけの生活は相当な資金量をもって取引しないと困難だろう。
豪ドルでスワップポイント生活を目指す際のレバレッジ目安
スワップポイントを目的とした運用の場合、レバレッジをかけたとしても、3~5倍程度抑えたい。豪ドルはここ10年の間は、一定の水準をメインに推移しているといえど、レバレッジをかけすぎると、強制ロスカットのリスクが高まる。
例えば、1豪ドル=80円のとき、10000通貨を保有する場合、レバレッジを20倍かけると、40000円の必要証拠金で取引可能だが、その金額で保有しても数銭の変動で、強制ロスカットとなるだろう。長期で保有する場合、1豪ドル=10円程度下落したとしても、強制ロスカットにならないように運用資金や取引量を調整したい。
豪ドルでスワップポイント運用する際の4つの注意点
手軽に始められる豪ドルのスワップポイント運用だが、以下の点にも4つの注意したい。
- 豪ドル価格の下落による含み損も想定する
- オーストラリアの政策金利変動にも注視する
- 時期を分散して購入することも検討
- 豪ドル価格に影響を与えるニュースをチェック
豪ドル価格の下落による含み損も想定する
豪ドル円でスワップポイント目的のFXをする場合、必ず価格が下落した際の含み損も想定したい。ポジションを保有した時点から数か月前の価格変動以上の下落は為替相場では起こりうること。
米中貿易摩擦の影響もあり、2019年5月は1豪ドル=78円から1豪ドル=75円程度まで下落した。このようにオーストラリア国内のニュースに限らず、豪ドル円は変動することが多く、予想外の変動により強制ロスカットを避けるためにも運用資金は余裕を持って準備したい。
目先の価格が安定しているそうに思えるから、スワップポイントを多くもらいたいからと、レバレッジ10倍以上のハイレバレッジからトレードするのはNG。長期で保有することを目的とするなら、必ずレバレッジは5倍以下には抑えた状態でポジションを保有するように検討したい。
オーストラリアの政策金利変動にも注視する
オーストラリアの政策金利は引き下げ傾向にある。2020年以降は政策金利がどうなるか予想できない。利下げとなれば、当然スワップポイントも下落するだろう。
もらえるスワップポイントが目減りし、豪ドル円の価格も下落することとなれば、含み損だけ増える可能性も考えられる。こうしたリスクには次の「時期を分散して購入することも検討」を参考にしたい。
時期を分散して購入することも検討
スワップポイントを狙う運用の場合、ポジションを保有する時期をズラすことも検討したい。株取引や投資信託では、ドルコスト平均法という「購入価格を平均化する」方法があるが、FXでも似たように「購入時期を分散する」ことで、豪ドル円の平均保有価格を引き下げることは可能。
例えば毎月の給料日の近辺でポジションを1000通貨保有するなど、決まった時期に決まった通貨量で取引するイメージだ。購入時期を分散することで、必ずしも安く買えるとは限らないが、多額のポジションを一度に保有した場合に比べ、精神的な負担は少なくなるだろう。
豪ドルに影響を与えるニュースをチェック
豪ドルの価格変動に影響を与えるニュースはチェックしておこう。中央銀行のRBA総裁の会見や動向はもちろん要注意だが、それ以外にもオーストラリアは中国に強く依存していることでも知られ、中国の経済指標の悪化などでも豪ドル円に影響を及ぼすことがある。トランプ大統領が対中関税の引き上げを表明した際には、数日で豪ドル円が1豪ドル=2~3円変動したこともあった。
また、豪ドルは「資源国通貨」に分類され、原油などの商品市場の変動も影響することがあるため注意。
まとめ
10年以上、日本人トレーダーから高い人気を集める豪ドル円。直近では利下げの影響もあり、高金利通貨とは言いにくい状況にはなっているが、豪ドル円のスワップポイントを高く提供しようとするFX会社はまだある。
豪ドルのスワップポイントでFX会社を選ぶときは、直近3か月のスワップポイント実績が優れているか、スプレッド、未決済ポジションでもスワップポイントを引き出せるか、スワップポイントの課税タイミングなど複合的に判断したい。
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