マネーポストWEBマネーポスト公式サイト
トライオートFX
FX入門ガイド> FXスワップポイント 会社比較や取引の基礎知識、コツを紹介> トルコリラ2019年の見通しをトルコ出身エコノミストが徹底予想

FX

トルコリラ2019年の見通しをトルコ出身エコノミストが徹底予想

公開日:2018年12月13日 7:00
最終更新日:2020年3月22日

トルコリラの2019年の見通しをエミン・ユルマズさんが解説
トルコリラの2019年の見通しを
エミン・ユルマズさんが解説

 高金利通貨として日本人に人気のトルコリラだが、2018年は不安定だった。8月の大暴落で、トルコリラの投資を控えた投資家も少なくない。

 2019年のトルコリラの見通しはどうなるのだろうか。以前にも「マネーポストWEB」に出演していただいたトルコ出身エコノミストのエミン・ユルマズさんに、2019年トルコリラの注意点・取引戦略など詳しくインタビューした。

    【目次】

  1. 1.政策金利24%のトルコリラの2018年を振り返る
  2. 2.トルコリラ2019年のポジティブ材料
  3. 3.トルコリラ2019年の注目イベント
  4. 4.トルコリラ+メキシコペソの取引戦略
  5. 5.2019年の株式相場は世界的に上昇するのか
  6. 6.トルコとアメリカの政治にも注意を払う

政策金利24%のトルコリラの2018年を振り返る

 2018年のトルコの政策金利上昇は、国内のインフレ率上昇を食い止められなかったことが大きな要因。4月時点では8%だった政策金利を16.5%、17.75%と上げ、9月には24%まで引き上げた。

 当初、トルコの大統領エルドアンは金利の引き上げに後ろ向きな姿勢をとっていた。利上げ躊躇の理由は国内支出の多くを占める不動産・住宅セクターの景気に響くこと、支持基盤への懸念を考慮してのこと。

 結果的に、24%まで政策金利を上げたが、インフレは改善されたのだろうか。

政策金利を大きく引き上げたことにより、インフレ率の高騰は徐々に落ち着いてきました。その他にも、原油価格の下落やドル高のペースダウンが影響し、トルコリラ安は改善されつつあります」(エミンさん・「」内以下同)

 トルコリラの価格は8月に1トルコリラ=14円台まで下落したが、現状は1トルコリラ=20円台で推移し、一時の危機的状況から脱したように思える。

 2019年にトルコリラは安定した価格推移になってくれるのだろうか

トルコリラ2019年のポジティブ材料

 2019年のトルコリラを予想する上で3つの明るい材料があると、エミンさんは言う。「原油価格の下落」「アメリカの金融引き締めのスローダウン」「経常赤字改善の兆し」だ。

原油の値下がりはポジティブ材料

今のトルコリラには原油価格の下落がポジティブに影響します。1バレル=50ドル台で推移することが理想的です。可能性は低いかもしれませんが、40ドル台まで下がることになれば、1トルコリラ=25円程度まで上昇することも考えられます」

 原油産出国ではなく、輸入の多いトルコにとって、原油の値上がりは経常収支を圧迫する。原油価格の上昇と反比例するように、トルコリラ価格は下落した。今年の夏場には1バレル=70ドル台まで原油価格が高騰したが、12月に入ると1バレル=50ドル台で落ち着いたので、2019年もこの価格帯で安定してくれると、トルコリラにとっては嬉しい。

急激なドル高がなければ、新興国通貨売りもないだろう

 2つ目のポジティブ材料として、アメリカの利上げペースが減速しそうな点。2018年はトルコリラに限らず新興国通貨全般が安くなった背景にはドル高の影響もある。

「アメリカの金融引き締めが今年よりペースダウンしそうなことも、新興国通貨にとってポジティブ材料。急激なドル高が起こらないなら、2018年のように新興国通貨が極端に売られる可能性は低くなるでしょう

国力の底上げで、経常赤字改善

 3つ目の明るい材料は「経常赤字改善の兆し」。トルコの国力は近年整いつつあり、GDPも毎年上向いていた。2018年はトルコの隣国である「シリア」の情勢も落ち着き、IS(イスラム国)勢力の減退で「トルコにいたシリアからの難民も減少⇒トルコ国内の失業率が改善」とファンダメンタルズは良くなっていた。

 2017年と比べ最大約40%ものトルコリラ安で、国民の生活は苦しめられたが、リラ安が輸出競争力に寄与する側面もあった。

「トルコリラ安により、輸出競争力が高まったことは中長期的にはトルコ経済に追い風。現状は対GDPで約5%の経常赤字ですが、将来的には3%程度まで改善されるかもしれません

トルコリラ2019年の注目イベント

 トルコは2019年3月に地方選挙を予定しており、2019年最初の注目イベントとなる。

2019年3月の地方選挙

 地方選挙は今年のエルドアン新体制が発足してから、初めて国民に信を問う場であり、トルコリラ相場に影響を与えるだろう。

「地方選挙により、国民が現状のトルコリラ&足元のインフレに対してどう思っているのか、がわかります。エルドアン大統領に6月の選挙ほど支持が集まれば、さほど影響はないでしょうが、大きく支持率を下げるようなら、先行きへの不安が募り、トルコリラ相場のボラティリティは上がるでしょう

 現在のトルコのインフレ問題がどれほど国民を悩ませているのだろうか。たまねぎ価格に目を向けて見ると、トルコ料理に多く使用されるたまねぎは「1kg=約7トルコリラ」で、安定供給できていた時代の「1kg=約1トルコリラ」を考えると、約7倍もの差がある。

 地方選挙の結果次第で、「トルコリラ上昇」「トルコリラ下落」という結論には至らないが、大きく支持率を下げる場合は、荒れ相場になることが予想される。地方選挙なので、政権交代に直結しないものの、政権の支持が大きく揺らぐと、総選挙の可能性まで浮上しかねない。

「私個人の予想としては、今の支持率は多少下がるとは思いますが、大して下がらないだろう、とも。8月のトルコショック以降、相場は持ち直したこと、現政権に期待している人も多いでしょう」

地方選挙後に景気刺激策の影響が現れる?

 選挙以降にも気を付けたい点はある。エルドアン大統領は年明けに景気刺激策を準備しているようで、選挙後に景気刺激策の影響がでてくる可能性もある

「エルドアン大統領としては、金利を緩めたいという思惑はあるものの、直接的に金利を引き下げる方法は市民の反発が予想されるため、行わない。そこで景気刺激策を用いながら、間接的に緩和施策を行いたいようです」

トルコリラ+メキシコペソの取引戦略

 2019年のトルコリラ取引方法として、トルコリラだけではなく、メキシコペソもロングで持つ戦略が考えられるという。

トルコリラ買いには、メキシコペソ買いでリスクヘッジ

「トルコリラと原油は逆相関の関係ですが、メキシコペソは原油と相関関係にあるため、トルコリラとメキシコペソのロングにより、原油価格の下落で被るトルコリラの損失を、メキシコペソでヘッジするような戦略も考えられます。2つの通貨ペアをロングしていればいいので、両通貨からスワップポイントを得られます」

 リスクヘッジの取引は、1つの商品を買い/他の商品を売る、という手法もあるが、FXの場合、売り取引はマイナススワップが発生することもあるため、嫌だと避ける人も少なくないだろう。トルコリラとメキシコペソのロング戦略はわかりやすい。

世界的リスクオフムードでは要注意

 しかし、世界的なリスクオフムードが訪れた場合には、新興国通貨は売られやすくなるので、その際は「迷わず即撤退」の姿勢を念頭に

 原油価格と新興国通貨の関連性が強いのは、世界的に金融引き締めの傾向がある昨今だからこそ、ともエミンさんはいう。

 金融緩和により、世界中でお金が余っている状況なら、新興国通貨への流入が見込めるが、今はそうではない。金融引き締めの状況では、対外直接投資は躊躇されやすい。このような状況下ではトルコのような経常赤字国は、輸入商品の価格が経常収支に影響しやすくなり、輸入額が大きい原油は経常赤字拡大に繋がる。結果として、原油価格の上下動が、トルコリラの価格にも影響を与えてしまうということ。

2019年の株式相場は世界的に上昇するのか

 エミンさんは来年の株式相場について、世界的にそこまで悲観する状況にならず、期待できる点もあるという。かつてのアメリカ大統領の就任年数と、S&P500との法則を見ると、大統領就任3年目は株式市場が好調の時が多かったよう

トルコリラ2019見通し-大統領年数とS&P500の関係性
(図はクリックすると、拡大)

「相場は不思議なもので『皆が弱気のときは下がらない』ということがよく見受けられます。逆に相場全体に楽観ムードが漂うときこそ、暴落への警戒をしなくてはいけません」

S&P500とは?】

 ニューヨーク証券取引所やNYSE MKT、NASDAQに上場する500銘柄をもとにした指数。イメージとしては、東証株価指数(TOPIX)のアメリカ版のような指標で、アメリカ株式市場全体の好不調を表す。

トルコとアメリカの政治にも注意を払う

 2018年のトルコリラはアメリカの政策からも影響を受けた。アメリカは大規模な減税政策を行うために、2018年に米国債を1兆3000億ドルも発行する計画を立てた。メインの買い手は、バランスシートを縮小し始めたFRB(連邦準備制度理事会)ではなく、投資家が中心に。

 2010年以来の大規模な米国債発行は、米ドル高/新興国通貨安を引き起こし、トルコリラ安の要因のひとつとなった。

 トランプ大統領は2018年の中間選挙で完勝とまではならなかったため、2019年は大きな減税策を行うとは予想しづらい。2019年は2018年ほどの米国債の過度な発行は行われないだろう。ドル高地合いは継続されそうだが、一時期のドルを買い/新興国通貨を売る、というトレンドにはならないだろう、とエミンさんも言う。

 8月のアメリカ人牧師の件も政治絡みによるもので、相場に多大な影響を与えたため、トルコとアメリカの両大統領の動きには注意を払いたい。

 トルコリラのポジティブ材料や注意したい点を見てきたが、取引を検討する場合は、過度なリスクを取りすぎず、自分の資産に応じたかたちで行いたい。

【PROFILE】エミン・ユルマズ:エコノミスト、為替ストラテジスト。1996年に国際生物学オリンピックで優勝後、1997年に日本に留学。東京大学工学部卒、同大学院で生命工学修士も取得。野村証券において、M&Aアドバイザリー業務や機関投資家向けの営業を経て、2015年に「四季リサーチ」へ入社。2016年「複眼経済塾」取締役・塾頭就任。エコノミストに加え、ポーカープレイヤーとしても活躍する。ツイッター@yurumazu

 




  • トラッキングトレード
  • FX自動売買ツールをピックアップ
    トライオートFX
    トライオートFX
    長期・短期のどちらの運用にも対応可。自動売買の設定選びを補助する「自動売買セレクト」機能が特徴
    使い方や特徴はこちら>
    トラリピ
    トラリピ
    元祖「ほったらかしFX」。中長期で自動売買を始めたい人・シンプルな操作性を求める人に向く
    使い方や特徴はこちら>
    シストレ24
    シストレ24
    約6000種類の自動売買プログラムを利用可能。アイコンが豊富で直感的な操作から自動売買を始められる
    使い方や特徴はこちら>
  • SNSでマネーポストWEBをフォロー

    • facebook:フォローする
    • twitter:フォローする
  • 当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。