FXのチャートは、難しい分析手法を学ばなくとも、過去の値動きパターンを用いた取引方法もある。そうしたFXのチャートパターンは、FX初心者でも取引に活用しやすいメリットもある。ここではFXのチャートパターンの形状と取引における注意点について紹介する。
- 1.FXのチャートパターンとは?
- 2.トレンド継続を示唆する7種のチャートパターン
- 3.トレンド転換を示唆する10種のチャートパターン
- 4.初心者がFXチャートパターンで損をしないための3つの心得
【目次】
FXのチャートパターンとは?
FXのチャートパターンとは、チャートの形に注目した分析手法。「フォーメーション分析」などとも呼ばれ、過去の相場でも出現したチャートの形から、今後の値動きを予想する。
FXチャートパターンの活用方法
FXのチャートパターンから今後の値動きを分析するため、FX初心者でもその形さえ見つけられれば、今後の値動きの予測を立てやすくなる点はメリットだろう。
チャートパターンは自身でチャートにラインを引き、形を判断することが多く、正確に見極めるまでは多少の慣れも必要とする。チャートパターンの判断に確信を持てるまでは安易に取引するのは避けた方がよいだろう。
FXチャートパターンは「トレンド継続」「トレンド転換」に分類
FXチャートパターンは「トレンド継続を示唆するパターン」と「トレンド転換を示唆するパターン」の2種類に分別できる。
トレンド継続パターン
上昇もしくは下落トレンド中に「トレンド継続パターン」が現れると、今後さらに価格が上昇・下落する可能性がある。「トライアングル」や「ウェッジ」、「フラッグ」などのパターンがある。
トレンド転換パターン
「トレンド転換パターン」が現れると、今後の相場の流れが変化する可能性を示唆する。例えば「ダブル」や「ヘッド&ショルダー」などが挙げられる。
【参考記事】
トレンド継続を示唆する7種のチャートパターン
まずはトレンド継続を示唆する7種類のチャートパターンを紹介する。
種類 | 名称 | 形状 | 今後 |
トライアングル | シンメトリカル・トライアングル | 二等辺三角形に近い | 現トレンドを継続 |
アセンディング・トライアングル | 左上が直角・斜辺が右肩上がりの直角三角形 | 上昇トレンドを継続 | |
ディセンディング・トライアングル | 左下が直角・斜辺が右肩下がりの直角三角形 | 下落トレンドを継続 | |
ウェッジ | 上昇ウェッジ | 右肩上がりに伸びる形状 | 現トレンドを継続 |
下降ウェッジ | 右肩下がり伸びる形状 | 現トレンドを継続 | |
フラッグ | 上昇フラッグ | 右肩下がりの平行四辺形 | 上昇トレンドを継続 |
下降フラッグ | 右肩上がりの平行四辺形 | 下落トレンドを継続 |
トライアングル(三角保合い)
トライアングルは、特定の値幅で三角形を作るチャートパターン。「三角保合い(さんかくもちあい)」、「トライアングルフォーメーション」とも呼ばれる。期間が進むにつれ、上下の値幅は狭くなり、三角形が完成しそうなタイミングで、大きく上昇もしくは下落する。
トライアングルは、細かく3種類に分けられる。
【3種のトライアングル】
- シンメトリカル・トライアングル
- アセンディング・トライアングル
- ディセンディング・トライアングル
シンメトリカル・トライアングル

左が上昇パターン、右が下落パターン
シンメトリカル・トライアングルは、二等辺三角形に近い形が特徴で、上下バランスの取れたまま頂点を形成しにいく。「ペナント」とも呼ばれる
アセンディング・トライアングル
アセンディング・トライアングルは、下値を切り上げながら徐々に直角三角形を形成する。斜め上と切りあがるということは、買い圧力の強さを象徴しており、支持線を越えてブレイクした場合、上昇トレンドを継続する可能性が高くなる。
ディセンディング・トライアングル
ディセンディング・トライアングルの形状は、アセンディング・トライアングルとは逆に、上値を切り下げながら三角形を形成する。下落時の「強い売り圧力を保っている」と考えられ、下にブレイクすれば、下落トレンドは継続する可能性が高くなる。
ウェッジ
ウェッジは、高値・安値がともに切り上あがるもしくは切り下がるチャートパターン。ウェッジには、「上昇ウェッジ」「下降ウェッジ」の2種類がある。注意点としては、「トレンド反転」のパターンもあること。
上昇ウェッジ

左が上昇時の上昇ウェッジ、右が下落時の上昇ウェッジ
上昇ウェッジは、右肩上がりに伸びる形が特徴。上昇ウェッジは、上昇相場でも下落相場でも出現するので注意。取引をするなら、赤い矢印のようにしっかりブレイクしてから検討した方がいいだろう。
下降ウェッジ

左が下落時の下降ウェッジ、右が上昇時の下降ウェッジ
下降ウェッジの形状は上昇ウェッジとは反対になる。下降ウェッジも上昇相場と下落相場のどちらでも出現するので、注意。
フラッグ
フラッグは高値・安値が平行に切り上がるもしくは切り下がるパターン。買い・売りの圧力が拮抗したまま推移し、高値・安値の平行ラインを突破すると、その方向へ大きく動き出す。
上昇フラッグ
上昇フラッグは、右肩下がりの平行四辺形のような形状。上昇トレンド中に、高値・安値のラインががほぼ同水準で切り下げられ、どこかのタイミングで平行ラインを上へ突破すると、上昇トレンド継続の可能性が高くなる。
下降フラッグ
下降フラッグは上昇フラッグとは逆で、右肩上がりの平行四辺形となる。下落トレンド中に形成されれば、下のラインを強くブレイクしたとき、下落トレンドが再開する。
トレンド転換を示唆する10種のチャートパターン
トレンド転換を示唆する8種類のパターンについても紹介する。
種類 | 名称 | 形状 | 今後 |
ダブル | ダブルトップ | アルファベットの「M」に近い | 上昇トレンドの終わりを示唆 |
ダブルボトム | アルファベットの「W」に近い | 下落トレンドの終わりを示唆 | |
ヘッド&ショルダー | ヘッド&ショルダートップ | 山なりの左肩・頭・右肩 | 下落トレンドへ転換 |
ヘッド&ショルダーボトム | 谷型の左肩・頭・右肩 | 上昇トレンドへ転換 | |
スパイク | スパイクトップ | 長い上ヒゲで実体の短いロウソク足 | 下落トレンドへと転換 |
スパイクボトム | 長い下ヒゲで実体の短いロウソク足 | 上昇トレンドへと転換 | |
ソーサ | ソーサートップ | 上方に緩やかな丸みを描く | 緩やかに下落トレンドへ転換 |
ソーサーボトム | 下方に緩やかな丸みを描く | 緩やかに上昇トレンドへ転換 | |
ライン | ライントップ | 天井圏で小さくもみ合い | 下落トレンドへ転換 |
ラインボトム | 底値圏で小さくもみ合い | 上昇トレンドへ転換 |
ダブル(ダブルトップ、ダブルボトム)
ダブルは、上昇トレンドの天井圏もしくは下落トレンドの底値圏で2回反発するチャートパターン。天井圏で形成されるのが「ダブルトップ」、底値圏で形成されるのは「ダブルボトム」と呼ばれる。
ダブルトップ(毛抜き天井)

水色の線がネックライン
ダブルトップは、上昇を目指したものの、強い抵抗に2回合うことで、「M」のような形状をする。上昇トレンドの天井を指す可能性があり、Mの部分のネックラインを割るようなら、下落のスピードが加速するかもしれない。
ネックラインを割ると、ネックラインと天井までの価格分と同水準の下落が見込まれる。
ダブルボトム(毛抜き底)

水色の線がネックライン
ダブルボトムは、下落中に、底値圏で2度反発があり、「W」のような形状をする。ダブルトップ同様に、ネックラインをブレイクすると、下落トレンドから上昇トレンドへ転換した可能性が高くなる。
ヘッド&ショルダー(三尊、逆三尊)
ヘッド&ショルダーも天井圏・底値圏で発生する可能性があるパターン。「頭と肩」のような形で形成されることからこのような名前がついた。天井圏で発生するのが「ヘッド&ショルダートップ(三尊)」、底値圏で発生するのが「ヘッド&ショルダーボトム(逆三尊)」である。
ヘッド&ショルダートップ(三尊)

水色の線がネックライン
ヘッド&ショルダートップは、天井圏で3度反落する中で、左肩・頭・右肩が山なりに形成される。右肩からネックラインを大きく割るように下落すると、トレンド転換の可能性が高くなる。ヘッド&ショルダートップは「三尊」「トリプルトップ」とも呼ばれている。
ヘッド&ショルダーボトム(逆三尊)

水色の線がネックライン
ヘッド&ショルダーボトムは、下落トレンドの最中に3度反発し、左肩・頭・右肩が形成される。右肩を形成してから、ネックラインを大きく上回ると、上昇トレンドへ転換した可能性が高くなる。ヘッド&ショルダーボトムは「逆三尊」「トリプルボトム」とも呼ばれる。
スパイク
スパイクとは、急な値動きを指し、ローソク足では長いヒゲが現れるチャートパターン。これも天井圏・底値圏にトレンド転換として出現する可能性がある。
スパイクトップ(スパイクハイ)

赤が陽線、青が陰線
スパイクトップは、高値圏で長い上ヒゲが伸びたとき。「逆T字型ローソク足」の形状と似ている。上昇トレンドの最中に、強い売り圧力があり、価格が押し下げられた格好に見える。このまま上昇の勢いがなくなれば、下落トレンドへ転換する可能性は高くなる。
スパイクボトム(スパイクロー)

赤が陽線、青が陰線
スパイクボトムは底値圏で長い下ヒゲが現れたとき。「T字型ローソク足」の形状もよく見られる。下落していたが、強力な買いが現れ、このように、急激な反発を示唆するような形状となる。このまま買いの勢いが続くなら、上昇トレンドへと転換する可能性が高くなる。
ソーサー
ソーサーは「皿」を意味し、緩やかな山を描いたのち、横ばいで推移してから上昇もしくは下落のトレンド転換を行う。天井圏で現れるのが「ソーサートップ」、底値圏で発生するのが「ソーサーボトム」である。
ソーサートップ

丸みを帯びた天井を形成し、その後レンジで推移してブレイク
ソーサートップは天井圏で丸みを帯びた山を描き、少し買いの勢いが弱まったところで、もみ合いで推移する。その後、上昇の力が弱まると、支持線を下にブレイクして下落トレンドに転換する。
ソーサーボトム

丸みを帯びた底を形成し、その後レンジで推移してブレイク
ソーサートップをひっくり返したようなソーサーボトムは、下落トレンドのときに丸い半円を描く。そしてもみ合い相場に移行してから、上昇の勢いが強まると、下落トレンドから上昇トレンドへ転換する可能性が高くなる。
ライン(ライントップ、ラインボトム)
ラインは天井圏や底値圏で、線のように上下幅が少ないもみ合いをしたのち、トレンド転換を迎えるチャートパターン。天井圏では「ライントップ」、底値圏では「ラインボトム」が発生する。
ライントップ

天井圏で、1本のラインに見えるほど小幅な値動き後、下落
ライントップは何度も天井突破を試みるも叶わず、天井圏で小幅なもみ合いを続けて、そののち力をなくしたように下落トレンドに移行する。
ラインボトム

底値圏で、1本のラインに見えるほど小幅な値動き後、下落
ラインボトムも底値圏で何度も下押しを繰り返すが、ブレイクできず、やがて上昇トレンドへ転換する。
初心者がFXチャートパターンで損をしないための3つの心得
FXのチャートパターン分析におけるにはいくつか心掛けたい点がある。
【FXチャートパターン分析における初心者向け3つの心得】
- 日足以降の長期期間から判断する
- 取引は「ブレイク」を確認してからが基本
- チャートパターンの動きはあくまで傾向
日足以降の長期期間から判断する
FXのチャートパターン分析は長期間の足であればあるほど、信頼度が増すといわれている。分足や1時間足より、週足や月足で出現しているパターンの方が、そうなる可能性は高くなるということ。
チャートパターンを用いた取引に慣れていない人は、日足や週足、月足などからチャートパターンを探し、スイングトレードなど少し期間の長いトレーディングから始める方法もある。
取引は「ブレイク」を確認してからが基本
FXのチャートパターンで取引をする場合、「ブレイク」をしてからポジションを持つようにしたい。チャートパターンは教科書通りにならない可能性も多分にあるため、早めにエントリーをしてしまうと、痛い目を見ることがある。
また、初心者の場合、教科書などで指摘されているエントリーポイントより、少し遅らせてから取引を始めるくらいで丁度いいだろう。チャートパターンではなかったリスクと、チャートパターン形成失敗のリスクを軽減できる。
チャートパターンの動きはあくまで傾向
チャートパターンは、あくまで傾向として留めておくようにしたい。特に初心者の場合、チャートパターンを信じすぎると、その形が出そうになったら、「取引しないと、チャンスを逃してしまう」という心理に陥り、早とちりして損をする可能性もある。
また、チャートパターンは下記のような例外もある。
「だまし」と呼ばれるフェイク
チャートパターン通りにならなかった場合、「だまし」と呼ぶこともある。チャートパターンはプロのトレーダーももちろん把握しており、そのパターンで取引しようとする人たちをターゲットにして、チャートパターン通りにはならないよう取引を仕掛ける可能性もある。
金融危機や地政学リスク浮上時
金融危機や地政学リスクなどの普段の相場とは取引のされ方が異なる場合、チャートの形状が出来上がっても、パターン通りには動かない可能性もある。
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