チャートとは、過去の価格推移をグラフに描き表したもので、FX取引や相場分析において欠かせないツールといえる。チャートからは様々な情報を読み取れるが、ここではFXにおけるチャートの基本的な見方、トレンドの把握方法について紹介する。
- 1.FXのチャートから読み取れる3つのこと
- 2.FXチャートの基本的な見方
- 3.FXチャートの3種類の表示方法
- 4.初心者がFXチャートから相場を見るための4つのコツ
- 5.ローソク足を使った相場の見方
- 6.初心者でも簡単! 移動平均線でトレンド判断する方法
【目次】
FXのチャートから読み取れる3つのこと
FXチャートからは大きく3つの情報を得られる。
【FXのチャートからわかること】
- 過去の値動きの傾向
- 今の値動きの傾向
- 取引価格の目安
過去の値動きの傾向
チャートは過去の値動きの傾向が視覚的に把握できる。例えばリーマン・ショックが起きた2009年のドル円チャートを見れば、その当時の激しい変動を知ることができる。
また、チャートから過去の値動きを眺めていると、今後のトレードに活かせる様々な情報を得ることができる。
【チャートの過去の値動きを見てわかること(例)】
- トレンドの始まり方や終わり方
- 大きな変動の「前触れ」
- 特定の時期・時間帯における「特徴的な動き方」
トレンドの種類に関しても簡単に紹介する。
【3種のトレンド】
- 上昇トレンド
- 下落トレンド
- 横ばいトレンド(レンジ相場)
上昇トレンド
上昇トレンドは価格が右肩上がりに上昇する相場を指す。上昇する通貨ペアを見て、どの通貨が買われ、どの通貨が売られているのかをイメージできるといい。例えばドル円が上昇トレンドになった場合、ドル買い/円売りが多くされている、とイメージできれば、他の通貨ペアへの影響の把握も早くなるだろう。
下落トレンド
下落トレンドは、価格が右肩下がりの相場を指す。FXの通貨ペアは片方の通貨は買われ/片方の通貨は売られる、という取引が行われるので、下落トレンドといっても、株価のようなイメージをもたないように。例えばドル円が下落しているとき、ドルは売られているが、円は買われている。
横ばいトレンド(レンジ相場)
横ばいトレンドは価格が上下はっきりせず動く状態を指す。「レンジ相場」「もみ合い相場」などとも呼ばれる。その通貨ペアの「買い」「売り」の勢いが拮抗している場合や取引量が少ない場合にも、レンジ相場になりやすい。
為替相場は株式相場とは異なり、価格がずっと上昇する・ずっと下落するということは主要通貨に至ってはほとんどない。為替相場は7~8割がレンジ相場と言われるほど、はっきりとしない値動きが多いことは覚えておこう。
今の値動きの傾向
チャートは今の値動きの傾向もわかる。今の相場は価格が上昇している最中なのか、下落ばかりしているのか、方向感のないもみ合いのような動きなのか。そうした「今のトレンド」をチャートから視覚的に情報を得ることができる。
チャートを見ないと痛い目に合うこともある。例えば、「ドル円急上昇」というニュースが流れたが、チャートを見てみると、下落トレンドにおける「ちょっとした反発だった」ということもある。冷静に今の値動きの傾向を知り、FXをするためにチャートは欠かせないツールなのだ。
取引価格の目安
チャートから「どの価格で売買すべきか」というポイントを知ることもできる。こうしたチャート分析を極めることで、成功を収めるトレーダーも多くいる。
取引価格の目安は「エントリーポイント(新規売買価格)」「エグジットポイント(決済価格)」として、為替アナリストのレポートなどにも書かれていることがある。
このようにFXのチャートからは「過去の値動きの傾向」⇒「今の値動きの傾向」⇒「どの価格で取引するか」という情報を得ることができる。
FXチャートの基本的な見方
FXのチャートはどのように見ればいいのか。チャートのまずは基本的な見方を紹介する。
縦軸は為替レート・横軸は時間を表す

縦軸が価格、横軸は時間を表す(画像はDMM FXのチャート、クリックすると拡大)
FXのチャートでは、「縦軸=為替レート(価格)」「横軸=時間」を表している。
縦軸の為替レートは、通貨ペアの右側の通貨単位が表示されている。例えば「ドル円」の場合は1ドル=○○円と判断する。
一方で横軸は時間軸となり、チャート画面の右の方に最新の価格が表示される。過去のデータを遡りたい場合、チャートを左にスライドする。
チャートの表示期間「日足」「時間足」など
チャートは1日単位、1時間単位などで、表示する価格の期間を調整できる。「時間足(じかんあし)」「日足(ひあし)」など様々な種類がある。
【チャートの表示期間】
- 分足(ふんあし)
-
1分足、3分足、5分足、15分足など、分ごとの値動きを表す
- 時間足(じかんあし)
-
1時間足、4時間足、8時間足など、時間ごとの値動きを表す
- 日足(ひあし)
-
1日ごとの値動きを表す
- 週足(しゅうあし)
-
1週間ごとの値動きを表す
- 月足(つきあし)
-
1か月ごとの値動きを表す
- 年足(ねんあし)
-
1年ごとの値動きを表す
FXチャートの3種類の表示方法
FXチャートは3種類の表示方法がある。
【FXチャート表示方法3種】
- ローソク足
- バーチャート
- ラインチャート
ローソク足

ロウソク足チャート(画像はGMOクリック証券のチャート)
FXチャートのメジャーな表示方法は、ローソク足だろう。ローソク足は江戸時代の日本で開発され、期間中の高値・安値などをわかりやすく見られることから、今では海外のトレーダーも好んで使う人が多いといわれる。
ローソク足には下記4つの情報を表す。
【ローソク足からわかること】
- 始値(はじめね)
-
その期間の最初の価格
- 高値(たかね)
-
期間中で最も高い価格
- 安値(やすね)
-
期間中で最も安い価格
- 終値(おわりね)
-
その期間が終わったときの価格
ローソク足の陰線と陽線
ローソク足は「陽線」と「陰線」の2つに分けられる。
【ローソク足の陽線と陰線】
- 陽線
-
始値よりも終値が高い価格で終わった場合。陽線はFXチャート上では赤や青、白色などで表示されることが多い。
- 陰線
-
始値よりも終値が安い価格で終わった場合。赤や青、白色などで表示される(陽線とは異なる色が使われる)。
ローソク足の「実体」と「ヒゲ」
ローソク足には「ヒゲ」があり、実体から高値まで引いた線を「上ヒゲ」・下に安値まで引いた線を「下ヒゲ」と呼ぶ。ヒゲの長さで売り・買いの圧力の強さを把握できる。
バーチャート

バーチャート(画像はGMOクリック証券のチャート)
バーチャートも高値・安値・始値・終値を表示するが、ロウソク足とは異なり、細い1本の線で表示する。
海外のトレーダーの中には、バーチャートを用いた方が、チャート分析を行いやすいと考える人もいる。価格転換の岐路となるポイントを見出したり、トレンドの終わりを判断する際にバーチャートの方が見やすいのだろう。
ラインチャート

ラインチャート(画像はGMOクリック証券のチャート)
ラインチャートとは、折れ線で終値を結んだだけの非常にシンプルな表示形式。相場の平均的な動き・トレンドを見るために使われることもある。
終値以外の情報が分からない点やチャートに線を描き加えたりすると、見づらくなるところは難点といえるだろう。価格推移を俯瞰して見たいときには使える表示方法である。
初心者がFXチャートから相場を見るための4つのコツ
初心者がチャートから相場を見る方法のうち、参考までに4つのコツを紹介する。
【FX初心者向けチャートによる「相場の見方」】
- 「長期」⇒「短期」の順でチャートを見てトレンドを把握
- テクニカルツールでトレンドを確認
- チャート上に線を引く
- ロウソク足の特徴から相場を見る
「長期」⇒「短期」の順でチャートを見てトレンドを把握
FX初心者はチャートを長期から短期の順で見ると、現在の値動きの傾向がわかりやすく、チャートの情報からトレードに繋げることも可能だろう。
例えば「長期のトレンドを確認する(月足、週足などを確認)」⇒「目先のトレンドを確認する(日足、時間足などを確認)」⇒「取引価格を確認する(時間足、分足などを確認)」という順番で値動きの傾向を確認し、FXの取引をするというイメージ。
短期のチャートだけを確認していると、目先の値動きしか把握できないため、最初のうちは長期~短期までバランスよくチェックし、相場のトレンドを把握するようにしたい。
テクニカルツールでトレンドを確認
テクニカルツールは相場のトレンドを視覚的に把握するためには使いやすい。「移動平均線」や「一目均衡表」などのツールはパッと見で現状のトレンドをチェックすることも可能だ。テクニカルツールは豊富で、トレンドの把握以外にも、取引価格の目安を探るツールもあるが、ここでは基本的なツールのみを紹介する。
移動平均線

短期が黒、中期が緑、長期がオレンジで移動平均線を表示(画像はヒロセ通商のチャート、クリックすると拡大)
移動平均線とは、一定期間の平均価格を結んだライン。それぞれのラインには平均値を算出する期間を設定することができ、短期(期間は5程度)・中期(期間は25程度)・長期(期間は75程度、もしくはそれ以上)の3種類に分けられる。
移動平均線の上に価格があるときは、強気(買い圧力が多い)相場を示し、移動平均線の下に価格があるときは弱気(売り圧力が多い)を示すといわれる。長期の移動平均線ほど、息の長いトレンドを示唆する。
一目均衡表

雲の上部に価格があるときは強気、下部で弱気を示唆(画像はヒロセ通商のチャート、クリックすると拡大)
一目均衡表も移動平均線のように、一定期間の平均値をもとにしたテクニカルツール。「雲」と呼ばれる部分(上図の黒い部分とオレンジの部分)の上に価格があれば強気、下なら弱気と視覚で、トレンドを判断しやすい。
一目均衡表は基準線や転換線といったさらに詳細に相場を分析できるラインを表示することも可能だが、上図では初心者でもトレンドをわかりやすく把握できるようにそうした線を表示していない。
チャート上に線を引き、トレンドを見る

斜めのオレンジ色の線はトレンドライン、緑の水平線は抵抗ラインとして相場を見ることも可能(画像はヒロセ通商のチャート、クリックすると拡大)
チャートには線(ライン)を引くことができる。一定期間の高値同士をラインで結んだり、安値同士を結ぶことで、トレンドを把握することができる。
また、テクニカルツールと同様に、ラインを引くことで取引価格の目安をつかむこともできる。ラインの引き方は奥が深いので、別記事にて紹介する。
ロウソク足の特徴から相場を見る
チャート上のロウソク足からも相場の行く末を予想することはできる。ロウソク足の形状が、相場の勢いや市場参加者の心情を示唆することがあるので、次の「ローソク足を使った相場の見方」で詳しく紹介する。
ローソク足を使った相場の見方
ローソク足からは、そのときの相場の傾向・トレンドを見ることもできる。ローソク足を使った具体的な相場の見方を4つ紹介する。
陽線と陰線の割合から相場の傾向を把握

画面左の下落トレンドでは陰線が多く、上昇トレンドは陽線が多い(画像はマネーパートナーズのチャート、クリックすると拡大)
陽線と陰線の割合をチェックすることで、相場に対する期待感を把握できる。例えば陽線が10本連続して続いている場合、価格が上昇ぎみであることを表す。一方で陰線が続く場合、軟調な相場となっている可能性がある。
陽線と陰線の出現比率から、リズムやパターンを読み取り、今後の相場を予想する手法もある。
大陽線・大陰線で「勢い増」「相場転換」などの可能性

大陽線の出現で、上昇の勢いが増した(画像はマネーパートナーズのチャート、クリックすると拡大)
実体がその他の期間よりも大きく現れたローソク足を「大陽線」や「大陰線」と呼ぶ。大陽線・大陰線が発生したときは、相場が大きく変動したことを表すので、「それまでのトレンドの勢いが大きくなる」または「相場が大きく転換する」可能性を示唆する。
長いヒゲの出現で相場転換の可能性

左から「上影陽線」「下陰陽線」「上影陰線」「下陰陰線」(イメージ)
ローソク足の「ヒゲ」は買い・売り圧力の強さを表すこともあり、そこから相場の転換を予測する方法もある。ローソク足とヒゲの長さによる相場の見方の例として、下記4つを紹介する。
種類 | 形状 | 特徴 | 今後 |
上影陽線 | 上ヒゲの長い陽線 | 一度は上昇したが、強く売り戻された | 高値圏なら下落への転換を示唆 |
下陰陽線 | 下ヒゲの長い陽線 | 一度は下落したが、強く買い戻された | 安値圏なら上昇への転換の示唆 |
上影陰線 | 上ヒゲの長い陰線 | 価格が上がった時に一気に売られ、始値を下回った | 高値圏なら下落への転換を示唆 |
下陰陰線 | 下ヒゲの長い陰線 | 価格が下がった時に買い戻された | 安値圏なら上昇への転換を示唆 |
T字型やクロス型のヒゲが表すトレンドの勢い

左から「クロス型ローソク足」「T字型ローソク足」「逆T字型ローソク足」(イメージ)
ローソク足の「ヒゲ」には、特徴的な形を示すこともある。そうした形が表れたとき、相場のトレンドの勢いや転換を表す可能性があるので、その例を3つ紹介する。
種類 | 形状 | 特徴 | 今後 |
クロス型ローソク足 | 上下のヒゲの長さが均一 | 始値と終値が同じで、売り・買いに迷いがある | トレンド転換を示唆 |
T字型ローソク足 | 長い下ヒゲが伸びている | 一時的に強く売られたが、強く買い戻された | 強い上昇を示唆 |
逆T字型ローソク足 | 長い上ヒゲが伸びている | 一時的に強く買われたが、強く売り戻された | 強い下落を示唆 |
初心者でも簡単! 移動平均線でトレンド判断する方法
単純移動平均線をチャートに表示させ、今どのトレンドにあるのかを判断する方法がある。大まかにトレンドを判断する方法なので、初心者でも可能だ。
チャートの時間は「日足」で、FX会社のツールに基本的には搭載されている「単純移動平均線」を期間「20」、期間「200」に設定して表示させる。
移動平均線の位置と傾きでトレンド判断
【移動平均線でトレンド判断する際のポイント】
- 期間200の移動平均線と期間20の移動平均線が上回っている? 下回っている?
- 期間20の移動平均線の傾きは急? なだらか? 平行?
期間200の移動平均線に対して期間20の移動平均線が綺麗に上回っている(もしくは下回っている)とトレンド相場の可能性が高くなる。そのとき、期間20の移動平均線の傾きが、急であれば強いトレンド相場を示唆する。
ただし、期間200の移動平均線と期間20の移動平均線が交差したり、傾きが横ばいであれば、レンジ相場である可能性が高くなる。
ドル円の日足チャートでトレンド判断

ドル円日足チャートに期間200(オレンジ色のライン)と期間20(紫色のライン)の移動平均線を表示
(画像をクリックすると拡大、チャートはTrading View)
ドル円は2014年の上昇と2016年の下落、トランプ大統領誕生による上昇以降は、200の移動平均線と20の移動平均線が交差している時期が多く、レンジ相場で推移しているとも考えられる。
レンジ相場の中でも小さな上昇トレンド・下落トレンドはあるが、2014年や2016年のトレンドに比べるとわかりにくいものでもある。FX初心者で取引に自信がない人は、レンジ相場の期間はトレードをしないという選択肢も考えられる。
豪ドル円の日足チャートでトレンド判断

豪ドル円日足チャートに期間200(オレンジ色のライン)と期間20(紫色のライン)の移動平均線を表示
(画像をクリックすると拡大、チャートはTrading View)
豪ドル円は2015~2017年までは下落トレンド、2017~2018年までは反発、2018~2020年5月頃まで緩やかな下落トレンドであったことがわかる。FX初心者の場合、こういったトレンドが明確にわかる通貨ペアの方が取引はしやすいだろう。
豪ドルNZドルの日足チャートでトレンド判断

豪ドルNZドル日足チャートに期間200(オレンジ色のライン)と期間20(紫色のライン)の移動平均線を表示
(画像をクリックすると拡大、チャートはTrading View)
レンジ相場が長い通貨ペアとして、豪ドルNZドルがある。2014年の下落トレンド終了後は、200と20の移動平均線は絡むことが多く、レンジ相場で推移している。こういった通貨ペアは裁量取引では面倒なので、自動売買を使うことで効率的に利益を狙うことは可能だ。
トレンドを判断するときは日足を使う
移動平均線を見るとき、チャートの時間は「日足」が丁度良いと思われる。チャートの時間を「4時間足」や「週足」にしてトレンド判断することも可能だが、最初は日足から始めるといい。
日足でトレンドを確認したのち、実際のどう取引するかを考えるときは「4時間足」や「1時間足」など時間を短くすることが一般的だろう。
移動平均線によるトレンド判断はただの“おまじない”
注意したいのは、移動平均線を使ったトレンド察知は、過去の値動きの傾向から分析しているだけで、「必ずそうなる」「今後もそうなるだろう」と強く思いこまないこと。
200日移動平均線が下回っている・上回っているなどの結果は“おまじない”程度に考え、もし意図したとおりに相場が動かなかった場合は、スパッと損切りや利食いを行うように。
「前回のトレードではその見方で成功したから今回も成功するはず…」「Twitterを見ると、皆が自分と同じ予想をしている…」など現在の考えに固執するようになると、確実に大損する可能性が高まるので、FX初心者はシンプルな思考で感情を排除してトレードすることを心掛けたい。
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