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FXのレバレッジとは? レバレッジの調整方法と失敗例を紹介

 レバレッジはFX取引において収益やリスクに繋がる重要な要素。レバレッジの基礎知識から注意点まで紹介する。

    【目次】

  1. 1.FXのレバレッジとは?
    1. レバレッジの仕組み
  2. 2.レバレッジの調整方法
    1. 元手資金100万円に対し取引量から考えるレバレッジ試算
    2. 取引量に対し元手資金から考えるレバレッジ試算表
  3. 3.レバレッジによるFXの失敗例
    1. 寝ている間に強制ロスカット
    2. スイス・ショックなどの大相場で大損

FXのレバレッジとは?

 FXはレバレッジにより自己資金が少なくとも、大きな金額感で取引ができる。

レバレッジの仕組み

FXのレバレッジの仕組み

 レバレッジは元手資金よりも大きい金額を取引できる制度で、例えば、外貨預金なら100万円必要な取引でも、FXなら最低4万円程度から取引することも可能。

 レバレッジの倍率は「元手資金(証拠金)」と「取引数量」に応じて決まる。100万円必要な取引のとき、レバレッジ2倍なら50万円の自己資金で取引でき、レバレッジ10倍なら自己資金10万円で取引できる、ということ。

証拠金取引と差金決済

差金決済の仕組み

 FXは株や投資信託などの投資商品とは異なる「証拠金取引」という方式を使う。証拠金取引は「差金決済」という仕組みをとる。

 差金決済とは投資資金の差額を受け取る、もしくは支払う仕組み。100万円の取引をした場合、上図のように儲けた分の差額10万円をもらうか、損した差額10万円を支払うかということ。

 投資資金は100万円全部を用意する必要はなく、「取引する金額の数%」を担保として入金する。この担保が「証拠金」と呼ばれる。

証拠金取引の仕組み
 
 たとえば外貨預金なら「1ドル=100円のとき、10000ドルを預金したい」となると、100万円の資金が必要となるが、FXなら必要資金の4%となる最低4万円の「証拠金」があれば、取引することが可能だ。

レバレッジの調整方法

 レバレッジは元手資金と取引額に応じて「自動的に」決められる。ポジションを保有するときには、自身でレバレッジ何倍で取引するのか把握しておきたい。

【レバレッジの調整方法】

  • 取引量を調整する
  • 元手資金を調整する

元手資金100万円に対し取引量から考えるレバレッジ試算

 元手資金が100万円の場合、取引量でレバレッジを調整する場合、下記のようなイメージとなる。取引時の価格や通貨ペアが異なれば、必要資金は変動するため、取引したい通貨ペアの金額にあわせて、レバレッジを調整したい。

【元手100万円に対し取引量から考えるレバレッジイメージ】

  • 取引金額10000通貨(10000ドル分):レバレッジ1倍
  • 取引金額30000通貨(30000ドル分):レバレッジ3倍
  • 取引金額50000通貨(50000ドル分):レバレッジ5倍
  • 取引金額10万通貨(10万ドル分):レバレッジ10倍

※1ドル=100円のとき、ドル円のポジションを保有する場合、手数料等を考慮しない

取引量に対し元手資金から考えるレバレッジ試算表

 10万通貨取引したい場合、元手資金に対し、どれほどのレバレッジをかけることになるのかという試算。同様に取引時の価格や通貨ペアにより、必要資金が変動する点は注意。

【10万通貨取引する場合のレバレッジ簡易イメージ】

  • レバレッジ1倍:元手資金1000万円
  • レバレッジ3倍:元手資金300万円
  • レバレッジ5倍:元手資金200万円
  • レバレッジ10倍:元手資金100万円

※1ドル=100円のとき、10万ドル分購入する場合(ドル円を10万通貨の「買い」で保有する)、手数料等を考慮しない

レバレッジによるFXの失敗例

 レバレッジを高い状態(ハイレバレッジ)で、“意図せず”取引してしまう初心者の失敗例は多くあるため、注意したい。

寝ている間に強制ロスカット

 寝る前にハイレバレッジの状態でドル円を「買い」、明日の朝になってみると、相場は思ったとおり上がっているのに、自分のポジションが損切りされ、資金残高が減っている……。

 これは「強制ロスカット」にあった例。FXの「強制ロスカット」とは、証拠金に対し、FX会社の定めた値より含み損(確定・決済していない損)が大きくなると、損を確定するようにFX会社の方で強制的に決済する制度。顧客保護の観点により、法律で義務付けられている。

 この例の場合、買った価格から少し下落した際に、強制ロスカットにされ、強制ロスカット後に相場は上昇してしまった。レバレッジを高くしすぎず、強制ロスカットにならなければ、利益を得られたが、ハイレバレッジのせいで、逆に損が発生しまった例である。

スイス・ショックなどの大相場で大損

 レバレッジを安易にかけてはいけないという教訓で、スイス・ショックの大相場を紹介する。

 スイス・ショックとは2015年の1月にスイス国立銀行が、急遽スイスフランへの介入を辞めたことによる大事件。スイスフラン関連の通貨が何の前触れもなく、大変動(確か日本時間の夕方ごろ)。世界中の誰もが予想できず大騒ぎとなった。

 市場は大混乱となり、一時為替レートが配信できなくなる状態にまで陥ったことで、当初の強制ロスカットの水準よりも、かなり悪い条件で顧客の損を決済せざるを得ない状況も散見された。これにより数千万円の損を抱える個人投資家もいたという。

 日本の個人投資家にも大きな損失を与え、個人投資家の莫大な損を抱えたFX会社の中には、破綻に追い込まれる会社もあった。こうした大相場は前触れもなく急に訪れることがあり、ハイレバレッジで取引していれば、相当悪い条件で損を抱えさせられることにも繋がりかねない。

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