FXの基本注文方法を紹介 初心者向けの注文は?
公開日:2018年6月24日 8:00
最終更新日:2021年6月16日
FXトレードは注文を出すことから始まり、注文によって損益を確定する。本ページではFXの基礎的な注文方法から、取引の戦略を広げる注文方法、FX初心者におすすめの注文方法まで紹介する。
FXの「新規注文」「決済注文」について
FXの注文は「新規」と「決済」の2種類に大きく分けられる。FXは「買い」「売り」の両方とも、よく活用する金融商品なので、「買い」「売り」と表現しても、それが「新規」なのか「決済」なのかで意味合いは異なる。
新規注文
新たにポジションを保有する場合の注文は「新規注文」と呼ばれる。これは買いポジションを保有するときでも、売りポジションを保有するときでも使う。
注文を出してから、注文が成立することを約定(やくじょう)といい、新規注文が約定されれば、ポジションを保有できることになる。
買いポジションを保有することを「ロング」、売りポジションを保有することを「ショート」と呼ぶ(例:1ドル=100円でドル円をロングする)。
決済注文
保有しているポジションの損益を確定する注文は「決済注文」と呼ぶ。買いポジションを保有しているとき、反対の売り注文を出しそれが約定されれば、保有する買いポジションの損益を確定することができ、反対に売りポジションなら買い注文により決済が可能である。
決済注文を出すことは、決済取引とも呼ばれ、ポジションを「クローズする」「閉じる」などとも呼ぶ。
FX初心者がまずおさえるべき「成行」「指値」「逆指値」注文
FXでは新規・決済の注文を出す方法はいくつかあり、ここでは基本となる「成行」「指値」「逆指値」注文を紹介する。
【FX初心者がまずおさえるべき「成行」「指値」「逆指値」注文】
- 成行注文
- 指値注文(新規・決済)
- 逆指値注文(新規・決済)
成行注文(ストリーミング注文)
成行注文は、今の為替レートの水準で注文を出す方法。新規・決済共に使える注文で、マーケットオーダーとも呼ばれる。
成行注文は、急に相場が動き出したとき、とにかく今ポジションを保有したい(決済したい)というときに活用できる。しかし、成行注文をFX会社に出し、FX会社に注文の情報が届いてから、実際に注文が約定するまでのタイムラグで、思ったレートとは異なる水準で約定することもある。
成行注文とほぼ同じ注文方法として、ストリーミング注文がある。ストリーミング注文は提示された為替レートに対し、成行注文のように注文を出すが、不利な価格になった(スリッページした)ときは約定しない、ということも可能で、その許容できるスリッページ幅は指定できる。
新規の指値注文
指値注文は、指定した価格レートで注文を出す方法。指値注文はリミットオーダーとも呼ばれる。
例えば1ドル=105円のとき、1ドル=100円でドル円の買いポジションを保有したいと考える場合、「1ドル=100円に買いの指値注文を出す」ことになる。
のちに紹介する逆指値注文も価格を指定できるが、指値注文は「買い注文なら現在の価格より安い場合、売り注文なら現在の価格より高いときに出せる注文」である。
どんどん価格が上がる上昇相場のとき、新規で買いポジションを保有しようと考えるなら、今の価格より少し下の価格帯でポジションを保有した方が、相場が上昇したとき、利益は多くなる。
逆に売りの指値注文で新規ポジションを保有したいと考える場合、下落相場にいるときは少し高い価格で売りポジションを保有した方がトレードは有利に働く。
決済の指値注文
決済の指値注文は「利益確定」で使われることが多い。
例えば1ドル=100円のときに保有したドル円買いポジションに対し、即座に「決済の売り指値注文」を出す場合、現在の価格より上の値段で注文を指定するので、1ドル=100円で保有したドル円ポジションに対する「利益幅」を決めることとになる。売りポジションに対する決済の買い指値注文も、同様に「利益確定の価格」を決めるイメージ。
新規の逆指値注文
逆指値注文も指値注文のように指定した価格レートで注文を出す方法だが指値注文とは逆で、逆指値注文は「買い注文なら現在の価格より高い場合、売り注文なら現在の価格より安いときに出せる注文」である。
例えば今は1ドル=103円程度で推移しているが、1ドル=105円を超えたら勢いの強い上昇相場になりそうというとき、1ドル=105円でドル円の「新規の買いの逆指値注文」を入れておけば、その上昇トレンドに乗った取引も可能となる。
逆に新規の売り逆指値注文は、1ドル=100円を下回れば、さらに下落に拍車がかかるだろうというとき、新規の売り逆指値注文を1ドル=99円50銭などに入れるイメージ。
決済の逆指値注文
決済の逆指値注文は、「損切り」で使われることが多い。損切りで使う逆指値注文は「ストップロスオーダー」「ストップ注文」とも呼ばれる(新規も含む逆指値注文自体は「ストップオーダー」と呼ぶので混同しないように)。
1ドル=100円で保有したドル円買いポジションがあるとき、1ドル=99円まで下落してしまった。もう少し我慢すれば反発しそうだが、さらに損失を広げすぎることは避けたい、ということで1ドル=98円で決済の売り逆指値注文を入れる――、これは、損失を確定する「損切り注文」になる。同様に売りポジションを保有している場合、決済の買い逆指値注文も損切りに使うことが可能だ。
少しややこしいが、決済の逆指値注文は「利益を確保する」ケースでも使える。例えば、1ドル=100円で保有した買いポジションが、1ドル=105円まで上昇したが、上昇の勢いが弱まった。せっかく含み益が生まれているので、1ドル=103円で利益確定の売りの逆指値注文を入れておく、となれば、3円分の利益は確保できることになる。こうした利益確定の注文としても活用できるので、覚えておこう。
FXの取引戦略を広げる5つの注文方法
FXには取引戦略を広げる便利な注文方法が他にもある。指値、逆指値といった基本注文を理解したら、ここで紹介する注文方法の活用も検討したい。
【FXの取引戦略を広げる5つの注文方法】
- IFD注文
- OCO注文
- IFDOCO注文
- トレール注文
- 途転(ドテン)注文
IFD注文
IFD(IF Done)注文は、新規注文と決済注文を1回で同時に出せる。
例えば現在1ドル=100円で、1ドル=95円に新規の買い注文、1ドル=105円に決済の売り注文を出す、ということがIFD注文では可能。これなら相場をずっと見ていなくても、価格が指定したとおりになれば、自動で取引がされる。
OCO注文
OCO(One Cancel Other)注文は、2つの注文を出すが、1つが約定されれば、もう1つの注文は取り消しにする、という注文。
OCO注文なら、1ドル=100円のとき、1ドル=105円では新規の売り注文、1ドル=95円では新規の買い注文を出すことが可能。OCO注文は新規注文でも決済注文でも活用できる。
IFDOCO注文
IFDOCO注文とは、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文(IF-Done-OCO)。
もし「1ドル=100円になったら新規買い注文を入れ、1ドル=105円には利益確定の決済注文、1ドル=95円には損切りの決済注文を入れる」ということが、1回で可能。自動売買では、このIFDOCO注文を50本、100本と大量に使った戦略で取引することも多い。
トレール注文
トレール注文は、逆指値の価格も為替レートに応じて変化する注文方法。
例えば1ドル=100円で買いポジションを保有しているとき、1円幅で設定したトレール注文を入れるケースを考える。買いポジションを保有したとき、トレール注文の設定幅は1円なので、1ドル=99円のところに決済の逆指値注文が入る。
そのあと、相場が1ドル=101円と1円上昇すると、決済の逆指値注文も1ドル=100円に注文価格が上昇し、その後も相場が上昇するなら、逆指値注文の設定価格も上昇する。これにより、相場を見ていなくても、相場の上昇や下落のトレンドを追い続けるような取引が可能となる。
設定が変更されるのは、買いポジションなら相場が上がったとき、売りポジションなら相場が下がったとき。
途転(ドテン)注文
途転注文とは、保有しているポジションを決済し、即座に逆の新規ポジションを保有すること。
例えば買いポジションを持っていたが、相場は下落しそうなので、今保有している買いポジションを決済し、新規の売りポジションを持って利益を狙いたい、というケースでは途転注文を出すと便利。
根拠もなく途転注文を行うと、往復ビンタをくらうように損失を膨らませることになるので、使用には注意したい。
FX初心者はどの注文方法を使う?
FX初心者は数ある注文方法の中から、どの注文で取引すればよいのだろうか。FXに慣れていない人はここで紹介する内容も参考にしてほしい。
FX初心者におすすめの「IFDOCO注文」
IFDOCO注文は、「新規注文」と「決済注文」において価格を指定することが可能なため、FX初心者にはおすすめといえる。
FX初心者に見られる失敗例の中でも、根拠のないトレードや雑なリスク管理は大きな損に繋がる可能性が高い。これらの原因による失敗を防ぐためにも、IFDOCO注文は役立つ。
取引するレートを指定し、取引前に決めたルールに基づきトレードを行うことで、初心者によくある失敗は軽減できるだろう。IFDOCO注文を効率的に活用しようとするトレード方法が自動売買で、近年は初心者向けのサービスも増えている。
成行注文を使うなら、損切り注文も必ず検討
FXに慣れてくれば、急に訪れたチャンスを前に、成行注文で取引を始めたいと思うこともあるだろう。IFDOCO注文でいちいちレートを指定すると、好機を逃す可能性もある。
そういった状況で成行注文を使用した場合、のちに損切り注文も入れておくことを必ず検討するように。もし見当が外れ、思った相場にはならなかったときでも、損切り注文により、損失額を軽微にすることができるかもしれない。
FX破産の一因「強制ロスカット」はあてにしない
日本のFX会社では、損失が膨らみ過ぎると「強制ロスカット」として、ポジションをすべて決済する注文が自動的に出される仕組みになっているが、これはあてにしない方が賢明だろう。
強制ロスカットはレートを指定できず、急変相場のときには、元手資金を大きく下回る損失でロスカットが執行されるケースもある(FXの口座開設時に読む約款にもその可能性はしっかり記載されている)。2015年のスイス・ショックでは、一夜にして数千万円の借金を背負った人もおり、その一因は強制ロスカットがとても不利なレートで執行されたことによるもの。
強制ロスカットがあるからとリスクへの対処を怠ると、取り返しのつかない損失に繋がる可能性があるので、強制ロスカットはあてにせず、自身でポジション管理を厳重に行うように注意したい。
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