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FX初心者がまず注意したい3つのリスクと5つのリスク軽減法を紹介

 FX初心者がまず注意したいリスクと共にリスク軽減方法をピックアップ。それ以外にも注意したいFXのリスクとリスク軽減に役立つ知識を紹介する。

    【目次】

  1. 1.FX初心者がまず注意したい3つのリスク
    1. 為替変動による損失リスク
    2. 高レバレッジのリスク
    3. 低い流動性によるリスク
  2. 2.FX初心者向け「リスク軽減法」を5つ紹介
    1. 自分に合う「方法」「期間」で取引する
    2. 低レバレッジ&メジャー通貨で取引
    3. 大きなトレンドに乗った取引を心掛ける
    4. 焦らないこと!「相場は明日もある」
    5. 取引の日誌をつける
  3. 3.FXのリスク軽減のために知っておきたい知識
    1. 中央銀行の政策方針
    2. 政治の方針
    3. 株や債券、原油などの他市場の影響
    4. 地政学的リスク
    5. 取引時間
  4. 4.FX初心者も念のためチェックしたい6つのリスク
    1. 金利変動リスク
    2. 取引システムの不具合によるリスク
    3. スリッページリスク
    4. ロスカットリスク
    5. 追加証拠金(追証)によるリスク
    6. FX会社の倒産リスク

FX初心者がまず注意したい3つのリスク

 FXには注意すべきリスクはたくさんあるが、ここではFX初心者がまず気を付けたいリスクを紹介する。

【FX初心者がまず注意したい3つのリスク】

  • 為替変動による差損リスク
  • 高レバレッジのリスク
  • 低い流動性によるリスク

為替変動による損失リスク

 初心者は為替レートが変動して被る損失に最も注意したい。収益をマイナスにする要素は他にも「マイナススワップポイント」や「手数料」、「スリッページ」などあるが、極端なことだがこれらは最初は考えない方法もある。

 為替変動による損失が収益に影響する額が最も大きいため、FX初心者は為替変動による損失を防ぐ・軽減するためには、どうすればよいかを最初に考えるといいだろう。手数料などの細かい要素にとらわれ選んだFX会社で取引して、為替差損ばかり積み重なるようでは、いつまで経っても勝つことはできないだろう。

高レバレッジのリスク

 レバレッジとは、少ない元手資金で大きな金額の取引ができるFXの制度のこと。例えば10万円の元手資金があり、1ドル=100円のとき外貨預金では1000ドルを保有することが可能だが、FXなら1000ドルに対し、25倍までの規模で取引が可能(日本の全FX会社で共通)。

 元手資金に対して、25倍の取引規模に近ければ近いほど、高いレバレッジ(ハイレバレッジ)になる。レバレッジに関しては「FXのレバレッジとは? レバレッジの調整方法と失敗例を紹介」も参考に。

低い流動性によるリスク

 FXにおける流動性とは「通貨の交換のしやすさ」を表す。流動性が低いと、取引したいときに取引できず、損失を大きくしてしまう可能性がある。

 例えば大暴落が起きて、早く相場から逃げたいのに、流動性が低い通貨ペアでは取引ができず、強制ロスカットが施行されるのも、底値の最悪のレートのとき、ということも過去にはあった(別記事「通貨ペアのリクイディティとボラティリティ」を参照)。

 2020年の新型コロナウイルスの感染拡大で予想外のことが起き続けているため、流動性に関しても注意しておきたい。

FX初心者向け「リスク軽減法」を5つ紹介

 FX初心者がリスクを抑えて取引するための方法を5つ紹介する。即効性のある方法もあれば、ゆっくりと役立つ方法も紹介する。

【FX初心者がリスクを抑えて取引する5つの方法】

  • 自分に合う「方法」「期間」で取引する
  • 低レバレッジ&メジャー通貨で取引
  • 大きなトレンドに乗る取引
  • 焦らないこと!「相場は明日もある」
  • 取引の日誌をつける

自分に合う「方法」「期間」で取引する

 FXは短期、中期、長期と様々な期間でトレードでき、それに応じて様々な取引方法がある。しかし、その取引方法が自分の生活スタイルや投資レベルと合わないものであれば、無駄にリスクを高くするケースがある。

 FX初心者はまずは自分に合う取引を見つけることから始めよう。1日5000円程度稼ぎたい、月に30万円欲しいといった利益目標から取引方法を探さず、自分の生活や投資レベルに合い、無理なく実践できる方法から探すことをおすすめする(参考記事:FXのトレード方法やトレードスタイルを探すやり方)。

低レバレッジ&メジャー通貨で取引

「FX初心者がまず気を付けたい3つのリスク」でも紹介したように、レバレッジと流動性には初心者は気を付けなければいけない。この2つのリスクに対応するために、FX初心者は低レバレッジ&メジャー通貨で取引することから始めてみよう。

 元手資金に対して大きな金額で取引せず、5倍程度の低レバレッジでトレードするよう心掛けてみるといい。レバレッジや通貨ペアに関する記事は、「FXとは? FXってどうなの? FXの基礎知識」をチェック。

大きなトレンドに乗る取引

 FX初心者は短期的なトレードほど難しく感じるため、最初は大きなトレンドに乗る取引から始める方法もある。ドル高・ドル安のトレンドは、ニュースでも多く報道されるため、初心者でも状況を把握しやすいだろう。

 トレンドに乗るなど、取引根拠を定めた取引を心掛けると、不必要なトレードがなくなり、損失リスク軽減に繋がる。特に初心者はシンプルな取引根拠ほど良い。あれもこれもと情報を取り入れ過ぎて、どの情報を信じて良いか分からなくなり大損する例もあるため注意。

【トレンドを確認するための参考記事】

焦らないこと!「相場は明日もある」

 焦って取引しないことは、リスクを抑えることに案外役立つ。億を稼ぐFXトレーダーはしっかりした根拠と共に取引をするが、「焦って前のめりに取引しようとするFX初心者たち」は、根拠が薄く、直感で取引する人も中には多い。

 相場は明日もあり、儲けられる相場は明日以降にも必ず訪れる。本当に今、取引すべき根拠があるのかを「買い」「売り」のボタンを押す前に、落ち着いて考え直してみるだけでも、無駄なトレードが減り、リスクを抑えることに役立つだろう。

取引の日誌をつける

 取引の日誌をつける、ということは即効性のない「リスクを抑える方法」だが、トレード記録をしっかりつけることは、今後余計なリスクを取らないことに繋がる。

 書籍やネット記事を読んで、取引するだけではなく、その経験を蓄積するシステムを作っておくと、トレードの上達スピードもUPするだろう。投資レベルを着実に上げることが、リスクを抑えることになるので、「なぜその取引をしたのか」「トレードの価格」「結果」「それらをもとにした振り返り」を記録してみてはいかがだろう。

FXのリスク軽減に役立つ初心者向け知識

 FXのリスク軽減は、為替相場の変動原因を知り、無駄なトレードを減らすことでも可能。ここでは為替相場に影響するいくつかの要素を紹介する。「FX初心者がまず気を付けたい3つのリスク」で挙げた「為替変動による損失」を防ぐことにも繋がるだろう。

【FXのリスク軽減のために知っておきたい知識】

  • 中央銀行の政策方針
  • 政治の方針
  • 株や債券、原油などの他市場の影響
  • 地政学的リスク
  • 3大マーケットの特徴

中央銀行の政策方針

 通貨ペアの変動には中央銀行の方針も影響する。中央銀行は定期的に会見を開き、中銀総裁が今後の方針を述べている。金利が下がるのか、上がるのか以外にも中央銀行の施策は色々とあるので、会見の要旨を原文で読むことが理想的だが、ニュースサイトなどに掲載される中央銀行の会見の解説記事を読むことでも最初は問題ない。

 初心者は日本(日本銀行)やアメリカ(FRB)、ヨーロッパ(ECB)の3つの中銀は最低限注目しておこう。

政治の方針

 政治方針も為替相場に影響する。例えば強いドルを標榜するアメリカ大統領が誕生すると、市場参加者の中にはそうした発言や意向に沿うトレードが増えるなどして、為替相場が強いドル(ドル高)に移行することもある。2012年のアベノミクスによる円安相場も、そうした政治による相場への影響は少なからずあっただろう。

 通貨の流通に関しては各国の中央銀行が基本的には決めるが、政治動向も為替相場に影響を及ぼすことがあるので、覚えておきたい。

株や債券、原油などの他市場の影響

 為替相場には、株式市場や債券市場、原油などの商品市場も影響を与える。

 投資家はお金をすべて現金で保有することはなく、株式・債券・商品など色々な金融商品と交換するため、市中のお金の流通量は、他の金融商品の相場とも関連する。

 為替相場だけを見ていては、通貨ペアの上昇・下落の原因を理解できず、的外れな取引をしてしまう可能性もあり、そうなっては余計なリスクが増えてしまう。中でも株式市場は為替相場に影響を与えることが多いので、初心者は日本の株式市場(日経平均、TOPIX)とアメリカの株式市場(NYダウ、S&P500)の動向はチェックしておこう。

地政学的リスク

 地政学的リスクとは、ある国や地域で紛争や戦争が起こることによるリスクを指す。紛争や戦争が起きその国の資源を輸出できなくなれば、各国の貿易に影響を及ぼすことになり、それら関連諸国の経済を一部ストップさせることに繋がり、景気悪化となる可能性がある。

 景気後退の懸念が浮上すると、真っ先に株式市場が反応し、株式市場が下落すると、債券や為替市場にも影響を及ぼす、というように、遠い国の紛争や戦争でも、巡り巡ってFXトレーダーへも影響を与える。

 また、地政学的リスクは要人の暗殺や事故などの突発的事態からも浮上するため、急に相場が慌ただしくなることもある。

3大マーケットの特徴

 為替相場の3大マーケットの特徴を知り、不必要なリスクを取らないことに繋がる。

 為替相場は大きく3つの時間に分けることができ、「東京時間(およそ9~15時)」「ロンドン時間(およそ17~1時)」「ニューヨーク時間(およそ22~5時)」がある。FXは平日24時間取引できるが、すべての時間で均等にチャンスが訪れるとは限らない。例えば東京時間ではドル円が大きく動くこともあるが、ユーロドルなどは、ロンドン時間やニューヨーク時間の方がトレンドになりやすい。

 3大マーケットの特徴は、価格チャートからもわかる。これら3つの時間帯を意識して、値動きをチェックしてみると、どの時間帯でどの通貨ペアがトレンドになりやすいといったクセを把握でき、トレードに役立てることも可能だ。

FX初心者も念のためチェックしたい6つのリスク

 FX初心者は他にも下記6つのリスクに関してチェックしておきたい。

【FX初心者も念のためチェックしたい6つのリスク】

  • 金利変動リスク
  • 取引システムの不具合によるリスク
  • スリッページリスク
  • ロスカットリスク
  • 追加証拠金(追証)によるリスク
  • FX会社の倒産リスク

金利変動リスク

 金利変動リスクはFXの場合、まずスワップポイント(金利差収益)と関連する。高金利通貨を保有し、プラスのスワップポイントを得ていても、急遽金利が変更されたことで、逆にスワップポイントを支払わなければならないケースもある。

 また、政策金利の変更は債券価格など他の金融商品にも影響を与え、結果的に為替レートも影響を受けるので、金利変動の際にはスワップポイントと通貨の価格が変動する可能性も考慮に入れておきたい。

取引システムの不具合によるリスク

 使用している取引システムが不具合を起こせば、思い通りに取引できない可能性がある。もし急変相場でそうしたシステムエラーが起こり、相場からうまく逃げられなかった場合、大きな損失に繋がりかねない。

 取引システムが脆弱であることは、大きなリスクといえる。

スリッページリスク

 スリッページとは、意図した価格とは不利な価格で決済がされてしまうこと。普段のFX取引でもスリッページによるリスクはあり、例えば1ドル=100円20銭でドル円を買うように注文を設置したのに、実際の約定価格は100円21銭で約定されれば、1銭分不利な価格で取引がスタートすることになる。

 スリッページが発生すると、スプレッド(買値と売値の差)に加えて、余分なコストを支払うことになるため、スリッページリスクが大きいFX会社で取引することはなるべく避けたい。

ロスカットリスク

 FXは証拠金取引のため、ロスカットリスクもある。証拠金取引は、取引金額に対し、口座資金が一定の率を下回ると、強制的に決済をする(ロスカット)仕組み。

 この強制ロスカットが急変相場で発動された場合、大きく不利な価格で決済をされてしまう可能性がある。2015年のスイス・ショックでは強制ロスカットが大幅に不利な価格で発動されたため、何千万円という損失を被った投資家もおり、それらの影響でFX会社が倒産に追い込まれたケースもある。

 ロスカットは口座資金がマイナスにならない段階で発動する場合ももちろんがあるが、そうした大幅に損失を被るリスクもあるので、取引資金の管理には十分注意したい。

追加証拠金(追証)によるリスク

 強制ロスカットが起こる前に、口座資金が一定の率を下回ると、追加で口座に証拠金を入れるように求められる(マージンコール)。こうした追加で証拠金を入れるように要請されることを追証(おいしょう)とも呼び、各FX会社の定める時間までに証拠金を追加で入金できない場合、強制的にロスカットが実行される。

 口座資金に対して過剰な取引金額でトレードすると、FXの追証リスクは大きくなる。追証に対応できず、強制ロスカットが発動され、その後、相場が自分の目指した価格に戻ったとしても後の祭りだ。

FX会社の倒産リスク

 FX会社が急遽倒産に見舞われる場合のリスク。日本の金融庁に登録されているFX会社の場合、「信託保全」が法律で義務付けられているため、FX会社が倒産しても、口座に入れているお金は全額保証される。

 しかし、急な倒産となった場合、保有ポジションは自分の意図する価格で決済されない可能性があるため、FX会社の倒産リスクにも十分注意したい。

 FX会社の財務の健全性を見る上で、参考になる指標が「自己資本規制比率」である。自己資本規制比率が高いFX会社ほど、不意な相場リスクなどに対応できる余力があることを示すため、FX会社の安全性を見極める際のひとつの参考となる。

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