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“太っ腹優待”どこまで続く? 「すかいらーく」優待、仕様変更の意図

公開日:2018年5月31日 20:00
最終更新日:2018年6月1日

どっさり送られてきた優待券は、次回の権利確定からカード型に変更される

 株主優待を実施する企業は数あるが、中でもトップクラスの人気を誇るのが「ガスト」「ジョナサン」などの多くの飲食店ブランドを展開する「すかいらーく」だ。同社の株主優待では、系列飲食店で使える食事券がもらえるが、NISA(少額投資非課税制度)口座の人気銘柄を毎週公表しているSBI証券の保有残高ランキングでもすかいらーく株はトップ3の常連。優待銘柄の中ではナンバーワンの人気を誇っている。

 そのすかいらーくが、5月の第1四半期決算発表と合わせて優待変更のIRを発表した。この発表で、「すわ改悪か」と肝を冷やした株主も多かったのではないだろうか。というのも、同社は2017年に店舗で使える食事券の株主優待額をいきなり3倍にするという驚きの「太っ腹拡充」を発表し株主を喜ばせた反面、太っ腹すぎて持続可能性を心配する声も多く挙がっていたからだ。

 しかも、この優待拡充を発表して株価が上昇したところで、当時の筆頭株主だった投資ファンドのベインキャピタルがすかいらーく株の売却を始めたことから、株主の心配はいっそう募ったようだ。同社の優待に惹かれて投資したという個人投資家は当時をこう振り返る。

「大株主に高値で売り抜けさせるために一時的に拡充しただけではないかと、保有しているのが怖くなりました。筆頭株主が売り出して需給が悪化したところに、優待額を減らすような改悪が発表されれば、優待の魅力が薄れるばかりか株価も急落することは目に見えていましたからね」

「太っ腹株主優待」が営業利益を圧迫?

 2017年12月期のすかいらーくの通期決算をみると、売上高はプラスだが営業利益は優待拡充前の前年度を下回っている。同社は減益要因のひとつとして株主優待の拡充をあげており、「太っ腹優待」が利益を圧迫している面は否定できない。ベインキャピタルも2017年11月までに保有株を全売却しており、前出の個人投資家のように「いつ優待改悪が発表されてもおかしくない」と戦々恐々としている株主は少なくなかったようだ。

 今回発表された優待変更は、これまで1枚500円の優待券を束にして送付していたのをカード化するというもので、優待券の額に変更はない。たとえば、500株保有する株主には年間66枚もの優待券が届けられていたのが、変更後は3000円のカードが9枚、1000円のカードが6枚に変更となる。株主にとっては持ち運びやすくなるうえ、従来は1枚1枚レジでバーコードを読み取っていて会計に時間がかかっていたのが、解消されると考えられる。

 ただし、変更後の優待カードは宅配では使用不可になることに注意したい。同社にその理由を問い合わせたところ「優待カードでの会計には専用端末が必要になり、現状では対応できないため」との回答だった。使い道を狭める意図はないようだが、宅配で利用していた株主は注意したい。

 この仕様変更の発表で、ツイッターでは「これで当面、改悪はなさそう」などと安心する声も多く投稿されていた。次の権利確定が6月末に迫っていることもあって発表後の株価はじわじわ上昇しており、安心して買い始めた投資家も多いのかもしれない。ちなみに同社IRは「現時点で優待内容変更の予定はございません」と話している。

 すかいらーくの魅力的な株主優待に惹かれて、株式投資を始めたという人も多い。投資の裾野を広げてきた同社の功績は大きく、この優待は末長く継続してほしいものだ。今回の優待仕様変更は、2018年6月末の権利確定分から適用となる。

すかいらーく(東証1部・3197)
100株以上300株未満:自社店舗で使える優待券3000円分 300株以上500株未満:同9000円分(12月は1万1000円) 500株以上1000株未満:同1万5000円分(12月は1万8000円) 1000株以上:同3万3000円分(12月は3万6000円)(6月末、12月末、年2回)

文■森田悦子(ファイナンシャル・プランナー/ライター)


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