大手企業との提携が増えれば、仮想通貨による革新は加速する?
2018年11月29日 20:00

イノベーションが早まり黎明期を脱する?
IFTA認定のアナリストで、株や仮想通貨・FXの投資家としても活躍し、ヘッジファンドとも交流の深い「天空の狐」さんが、注目ニュースをピックアップ。今の株・為替・仮想通貨相場について解説する。
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仮想通貨市場全面安の中、ファクトムに注目
2018年11月にビットコインキャッシュはハードフォークしたが、すんなりと新通貨へ移行できたわけではない。BitcoinABCとBitcoinSVに分岐したことで、国内の主要取引所は、どちらがビットコインキャッシュの後継となるか、結論が分かれている。
BitcoinABCはブロックチェーンの巻き戻し対策のアップデートから、攻撃リスクを増大させてしまった。またBitcoinSVは送金ができない状態にあり、海外の取引所によっては、取り扱いをしないなど、分岐を機に存在意義が失うような恰好となった。
仮想通貨の信認を低下させた「技術の紛争」といえるだろう。仮想通貨における長期の潜在的問題として、「開発者間の争い」も頭の片隅に置いておかなければならない。
仮想通貨市場が全面安の中、気になる銘柄がある。ファクトムだ。11月29日にファクトムとマイクロソフトとの技術提携が公表予定のため、市場の期待が高まっている。ファクトムは通貨ではなく、デジタル記録の書類をブロックチェーンに保管する技術だ。記録の金庫の役割があり、通貨名はFactoid(ファクトイド)と呼ばれている。
ファクトム円は上昇基調で、先月比+90%強。ボリンジャーバントにおけるテクニカル分析では、969~1024の価格推移が予想され、+2σ(シグマ)に到達後、利食いの展開を見ている。
上昇もしくは下落のトレンドを示す、移動平均線を見ても上昇を示唆する格好となり、分析をまとめると、ファクトム円は上昇基調の期待が継続される。
既存企業との提携で、仮想通貨市場は成長期へ移行するか
グローバルマーケットに目を向けると、ダウ平均株価は先週比―4.44%、ナスダック総合指数―3.86%で、個別銘柄に目を向けると、フェイスブック―5.63%、アマゾン―5.74%、ネットフリックス―9.67%、グーグル―3.54%、アップル―11.01%と、米国株の上昇のけん引役が軒並み下落。
これまでの米国株式相場の盛隆に陰りが見え始めた。ハイテク株は希望の象徴であったが、成長性としての期待は薄れている。イノベーションが生まれるときには、株価に兆候が現れる。マーケットは新陳代謝の時期に差し掛かっているかもしれない。
今後は仮想通貨の企業と、多種多様の企業と業務提携の発表が考えられる。仮想通貨市場の全体を見回すと、まだまだ黎明期ではあるものの、銘柄によっては成長期への移行を期待させるものがある。
海外では通貨の機能に特化した仮想通貨と、クレジットカード会社の提携が見受けられる。ネットワーク機能に特化した仮想通貨では政府の関連事業で取り組みが始まっているものも。
仮想通貨のプロジェクトによる大幅な市場開拓には、莫大なエネルギーがいる。仮想通貨が既存の市場経済と結合し、大手企業の枠組みと融和できれば、イノベーションが生まれるだろう。成長への助走に期待が高まる。
【PROFILE】天空の狐:IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムの講師、国内Aiアドバイザー、PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発に従事。メールマガジン「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、「ビットコイン&グローバルマーケット ミニ版」にて、マーケットレポートを配信中。Twitter:@firmamentfox