1ビットコイン=400万円台突破も、目先は米ドルの動向に振らされるか
2021年1月25日 20:00

IFTA認定のアナリストで、株や暗号資産(仮想通貨)、FXの投資家としても活躍し、ヘッジファンドとも交流の深い「天空の狐」さんが、注目ニュースと共に、ビットコイン市場について解説する。
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ビットコイン円は先月のクリスマス前後では1ビットコイン=240万円台だったが、年初には1ビットコイン=400万円台に一時到達。ビットコインは勢いよく上昇しているが、仮想通貨市場には様々な問題が浮上している。
リップル社の提訴、テザー社の疑惑は市場にどう影響?
12月22日、SEC(米証券取引員会)がリップル社を提訴。報道後にリップル円は1リップル=60円近辺から、1リップル=20円を一時割るほど下落した。リップルが有価証券に該当するかが争点になりそうで、今後の動向次第ではさらに価格へ影響する可能性もある。リップル円の投資は慎重に検討したい。
1月に入ると、テザー社の問題も取り上げられることが多くなった。テザー社は、自社発行のステーブルコイン・テザーの裏付け資産を準備できているのかどうかが問題視されており、ニューヨーク司法当局より財務記録の提出を求められていた。市場関係者もこの動向に注目しており、もしテザー社が不正を働いていた場合、ビットコイン価格へ大きな影響を与える可能性があり、現状の勢いを失速させるかもしれない。
ビットコイン円の直近見通し
ビットコイン円は回帰分析では強気範囲(1ビットコイン=350~450万円台)で価格推移。次は1ビットコイン=600万円台に向けて、中長期的に上昇基調が続くことをイメージしている。テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が上回り、短中期のMAはゴールデンクロスで、買いシグナルが点灯。一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は65付近推移から押し目シグナルの判断になる。
テクニカル分析による今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇展開。直近、1ビットコイン=350~450万円付近で底固めをしながら、1ビットコイン=420万円台、500万円台、533万円台、600万円台を目指すシナリオを考えている。
山高ければ谷深し カウンターシナリオにも警戒
上昇の勢いが強いビットコイン円だが、この局面では相場の格言にもある「山高ければ谷深し」のように急落シナリオ(カウンターシナリオ)も頭に入れておきたい。今後、出来高が伴わず急騰した場合には要注意。1ビットコイン=300万円台を割り込んだ場合には、1ビットコイン=210万円付近まで下落する可能性もある。
カウンターシナリオが訪れるひとつの判断基準として、ドルインデックス(DXY)を活用できる。2020年の年末はドル安の勢いが強かったものの、年が明け、ドル高回帰の噂が浮上すると、米ドルの見通しに不透明感が漂い、ビットコインの上昇トレンドにも水を差した。
こうした米ドルの動向はDXYを見ることでも判断できる。もしDXYが91~92を勢いよく上抜け、「ドル高転換の可能性」を市場が意識するようになれば、ビットコインは中期的に調整シグナルが点灯する。反対にDXYが88~89に向かうなら、ビットコイン円は上昇シナリオが継続する可能性が残る。
目先はシンプルに「ドル高・ビットコイン安」もしくは「ドル安・ビットコイン高」の市場構図を意識するだけでも、ビットコイン投資の参考となるだろう。
【PROFILE】天空の狐:IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。オルタナティブ投資のメディア「ALTS Investor Media」でもマーケットレポートを配信中。Twitter:@firmamentfox